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第二の人生はファンタジー ~七つの玉を集めるぞい~  作者: 不亜後
第二章 オルスト編
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第四十二話 2つのニュース

 十文字組が壊滅してから2日後…

 昨日は2つのニュースがシンジュク中を沸かせた。


 1つ目は当然、十文字組の壊滅だ。

 20年以上はシンジュクを支配していたと言っても過言ではない十文字組が壊滅したのだ。

 その報せにシンジュクの住民は大変喜んでいた。

 ちなみに生き残った十文字組の組員は「さすがに殺すのは…」という意見もあり、全員十文字組のお屋敷にある地下牢に幽閉された。

 しかし、中には友人などの知り合いを十文字組に殺された人たちは「殺すべき」と訴えていた。

 まぁ、それは俺には関係ないことだから皆さんで決めてくれ。


 一方、十文字雷壱の嫁たちはお屋敷の一部屋に全員集められていた。

 当然全員解放され、その嫁たちとの再会に喜ぶ人や嫁がすでに亡くなっていて悲しむ人がいたようだ。

 実際俺は見ていないから知らないけど。


 俺や貞郎、獅子童を含めた十文字組との戦いに参加した人たちはシンジュクの住民から祝福を受けた。

 しかし、俺たちは素直に喜べなかった。

 タツヒコが死んでしまったからだ。

 シンジュクの住民はタツヒコが死んだことどころかタツヒコを知らない人たちがほとんどだからしょうがないことだが、俺は祝福されるたびに「やめてくれ!」と心の中で叫んでいた。


 2つ目のニュースは『オルスト』が壊滅したことだ。

 俺たちがジンを倒して2ヶ月くらいが経ち、ようやくシンジュクに知れ渡ったのだ。


 俺はオルストの()()に違和感を感じた。

 なぜなら、俺たちはオルストを完全に倒したわけではない。

 少なくとも遠征などに行っていた生き残りがいるはずだ。

 ジンがいなくなったことで統率するものがいなくなり生き残った社員たちは解散したのかな…と俺は勝手に思い込んだ。

 ちなみにジンが所有していた玉の行方も話題に上がった。

 誰も俺が持っているなんて思いもしないだろう。


 そんな2つのニュースに沸いているなか、昨日の俺の行動はというと、まず獅子童に別れの挨拶をし………



 〜回想〜


 場所はシンジュク北西の町外れ……


「じゃあ、僕は行くよ。おっかないお姉さんが帰りを待っているからね」


 おっかないお姉さんって捕まっているときにモノマネしていた上司みたいな人かな?

 どうでもいいけど。


「そうか。お前にはその〜…いろいろ世話になったな。ありがとう」


 思い返してみれば獅子童がいなければ俺は脱獄できていなかったかもしれない。

 それに十文字組の組員たちを最も多く戦闘不能にさせたのもおそらく獅子童だ。

 もし仮に獅子童がいなかったら、おそらくこっち側の死人は先生だけでは済まなかった。

 先生も死ななければベストだったんだが……


「ははは、いいよ。僕も君という存在が知れてよかったよ」

「どういう意味だよそれ?なんか怖いんだけど」


 漫画とかだとこういうこと言う奴は後々敵として出てくるイメージがある。

 正直、俺は獅子童の敵になんかなりたくない。


「はは、別に気にしなくていいよ」

「…俺のことをお前の上司みたいな人に話して、俺がお前たちの敵になるとかないだろうな?」


 俺は恐る恐る聞いた。

 すると獅子童は俺が今まで見た中で一番笑い声をあげ言った。


「はははははは!内海君、それは自意識過剰すぎだよ」


 なんだか恥ずかしくなり体温が上がっていくのを感じた。


「うるせえ。お前が変なこと言うからだろ」

「確かに君のことは僕の仲間には教えるけど」

「何ぃ!?」

「でも安心しな。僕たちが内海君の敵になることは絶対にないよ」


 すると獅子童は俺に手を出してきた。


「…その言葉信じるぞ」


 俺も獅子童に手を出し俺たちは握手をした。

 そして、獅子童から手を離した。


「それじゃあ内海君。またどこかで会おう」

「あぁ、会えたらな」


 そして獅子童は俺がいる反対方向に歩き出した。

 俺は獅子童の姿が見えなくなるまでその場で見送り続けた。

 こうして俺は獅子童と別れた。


 獅子童と別れたあとは黒崎病院を訪れた。


「おう、永輔か」


 貞郎が俺に気付き声をかけてきた。

 同時に他の患者たちも俺に気付き軽い挨拶を交わした。


 こいつらは十文字組の組員たちと普通に戦えていたのにまだ入院するのか…


 病院のベッドは元々いた患者に加え、今回の戦いで負傷した人たちで埋まっていた。

 現在、黒崎病院の一階には患者たちとシンジュク中から善意で集まってきた治癒能力者たちがいる。

 治癒能力者といっても全員、エミよりその力は弱い。

 でも、いるといないとでは大きな差だ。


 俺は貞郎のベッドの近くに置いてあった椅子に腰をかけ貞郎にこう聞いた。


「腕の状態はどうだ?」

「一応治療は受けたがだいぶ酷使しちまったからな…ほら、腕がこれ以上あがらねぇ」


 貞郎は少し腕を上げて見せた。


「あれからエミは治療したりしているのか?」

「いや…」


 貞郎は首を横に振った。


「そうか…今エミは?」

「病院に戻ってからずっと2階に引きこもっている。…目の前でタツヒコが死んだんだ。無理もない…」

「………」


 俺は後悔していた。

 光人(こうと)を倒してすぐにタツヒコのところへ向かわなかったことに…

 もし、俺が加勢しに行ってたらタツヒコは助かっていたかもしれないのに…


「なぁ、永輔…」


 貞郎は真剣な表情で俺を見てきた。


「ん?なんだ?」

「お願いがあるんだが…」


 〜〜〜


 貞郎の「お願い」とやらを聞いたあと、俺は寝泊まりしているボロ宿に帰り一晩を過ごした。


 〜回想終わり〜


 そして現在の時刻は午前9時。

 俺はボロ宿から黒崎病院に向かっている途中だ。



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