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第二の人生はファンタジー ~七つの玉を集めるぞい~  作者: 不亜後
第二章 オルスト編
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第三十九話 十文字焼き 前編

 夜になり十文字組のお屋敷の周りにはほとんど人通りがなかった。


「エミ、早く来ないかな〜」


 十文字雷壱は寝室でエミのことを待っていた。

 組員たちはまだ大広間で宴会をしている。

 雷壱は念願のエミを手に入れることができ、我慢することができずエミと共に宴会を抜けていた。

 現在エミは「汗をかいているから」と言い、風呂場にいる。

 雷壱は「一緒に入ろう」とエミに提案したが断られてしまった。

 普段なら相手の意見など聞かず一緒に入っていたが今回は我慢した。

 今の雷壱の状態でエミの裸体を見てしまったら、その場で襲ってしまいそうだったからだ。

 雷壱は初めてする相手とは必ず布団でやるという謎のこだわりがあったのだ。


「楽しみだな〜カカカカカ」


 呑気に笑ってると寝室の襖が開いた。


「お〜やっと来たか…ってなんだ光人か」


 そこにいたのがエミではなく雷壱は落胆した。

 襖を開けたのは眼帯を付けた長髪の男、光人だった。


「組長。今お時間よろしいでしょうか?」

「別に構わんが早く済ませよ」

「はい。地下牢に幽閉していた2人が脱獄して現在大広間で暴れています。不測の事態だったので一応伝えに参りました。申し訳ございません」

「幽閉していた2人って1人は獅子童(ししど)か。もう1人は誰だったっけ?」

「今日捕らえたエミ様のお知り合いです」

「あ〜そうだったな。でも、2人だけなんだろ。それだったら抑え込めるだろ?」

「はい。ただ勢いで殺してしまうかもしれませんが…」

「別にかまわん。事がすんでもいちいち報告しに来なくていいぞ。邪魔はされたくないんでな、カカカ」

「かしこまりました」


 光人は襖を閉じた。


「あ、獅子童は殺さない方がよかったかな。まぁ、別にいっか、カカカ」


 雷壱は布団に寝転がりエミが来るのを待った。



 一方、その頃大広間では…


「ははは、思っていたより強いじゃないか、内海君」

「それはどうも!」


 俺は目の前にいた十文字組の組員を斬りつけた。

 脱獄した俺たちは大勢で騒いでいる部屋を見つけ突入した。

 そして現在、その部屋、というより大広間にいた十文字組の組員たちを獅子童と互いに背中を合わせて戦っている。

 組員の正確な数はわからないがかなりの人数がいた。

 相手があまり強くないのが不幸中の幸いであった。


「でも、やっぱりこの量だと少し疲れるね」


 獅子童は周りにいる奴ら殴り飛ばしながら言った。

 獅子童の能力は触れたもので人以外のものをなんでも吸収できるだ。

 だからそれは対人戦ではあまり効果を発揮しない。

 せいぜい相手の武器を吸収するくらいだ。

 それでも獅子童は体術で相手を圧倒していた。


「ちくしょ〜さっさとエミを見つけなきゃいけないのに!」


 一向に減らない敵の数に俺は少し焦り始めた。

 すると遠くの方で何か聞こえてきた。


「エミはどこだ!!」


 ん?今の声、どこかで聞いた気が……

 それになんだかあっち側が騒がしいぞ。


 俺は声がした方もとい騒がしい方を見てみるとそこには見知った顔をした奴が組員達と戦っていた。


「なっ!先生!それに貞郎!」


 俺の声にタツヒコと貞郎が気付いた。

 彼らの背後には十文字組の組員ではなさそうな人たちが大勢いる。

 そしてそいつらも貞郎とタツヒコ同様戦っている。

 とりあえず俺たちの味方であるようだ。


「その声は…永輔か!」


 貞郎の声が聞こえ、俺は目の前にいる敵を薙ぎ払いながら貞郎の方へ向かった。


「ちょっと内海君!どこ行くんだい!?」


 獅子童が俺についてきた。

 そして俺は貞郎たちと合流した。


「永輔!お前探したんだぞ!今までどこにいたんだ!」


 貞郎がバットで組員を殴りながら言った。


「どこってここだよ!」

「あっそうか。それより大変だ!エミが

「そんなのわかっている!だが居場所がわからねぇ!」

「とりあえずここにはいないようだな。永輔君!貞郎君!ここは君たちに任せてもいいか?」


 タツヒコが俺と貞郎の会話に入ってきて聞いてきた。


「はぁ…はぁ…多分エミは組長といる。先生…あんたもし死ぬつもりだったら悪いが承諾できねぇ」


 以前タツヒコはこう言っていた。

「十文字組の組長とは道連れにして死ぬつもりだ」と。

 この戦いでエミが助かってもタツヒコが死んだら意味がないのだ。


「心配しなくても大丈夫だ」

「…死んだら…エミは救われないからな」

「わかっている」

「待て!俺もいくぞ!」


 貞郎が言い出した。


「それはこっちとしては助かるが…」


 タツヒコが俺の方を見た。


「俺の方は大丈夫だ。元々こいつと2人で十文字組をぶっ潰す予定だったしな」


 俺は肘で獅子童をつついた。


「どうも」


 獅子童は軽く会釈した後、すぐに攻撃してきた組員をぶっ飛ばした。


「そうか、それは頼もしいな!」


 タツヒコはそう言い、組員を1人殴り飛ばした。


「そうとなりゃ先生!貞郎!さっさとエミのところに行ってやれ!」

「あぁ、ありがとう!永輔君!」


 貞郎が大広間の壁を破壊した。

 壁の向こうには廊下が見える。


「タツヒコ!こっちだ!」

「わかった!」


 貞郎とタツヒコはそこから大広間を出ていった。


「それより?さっきから騒がしいな」


 少し遠くの位置で組員達から歓声が上がっていた。


「やった!これでもう大丈夫だ!」

「十文字組に楯突いたこと、後悔させてやる!」

「やっちゃって下さい!光人(こうと)さん!闇人(あんと)さん!」


 俺は歓声が上がっている方を見た。

 そこには2人の男が歓声を浴びていた。


 1人は俺が屋敷の門扉の前で会った、長髪を後ろで結んでいて右目に黒い眼帯をつけている男。

 もう1人も長髪を後ろで結んでいて眼帯をつけていた。

 しかし、前者と違い眼帯は白色で左目につけていた。


「おい、光人!2人くらいこの部屋から出て行ったぞ。組長とこ行ったらやばくねぇか?」


 白い眼帯の男が言った。


「今更追ってももう遅いだろう。申し訳ないが組長にも戦ってもらうしかないな」

「はぁ〜……敵は2人だけって聞いてたのにめんどくさいな〜」


 2人はそれぞれ日本刀を生成した。


「なんだあいつら。瓜二つじゃねぇか!」


 俺は眼帯以外、容姿が完全に同じである2人を見て少し驚いた。


「彼らは十文字組の……まぁ、最高幹部みたいなものさ。確か双子で〜名前は…そう!光人と闇人!」

「つまり、そこら辺の組員よりかは強いってことだな」

「その通りだね」

「じゃあ、俺らが相手しよう」


 さっきから見ていると貞郎が連れてきた味方は組員たちとどっこいどっこいの強さだ。

 要するに彼らがあの2人と戦うと負ける。

 だからここは俺たちが戦わなければ。


「りょーかい」


 俺と獅子童は光人と闇人の方へ向かった。



 ーーーエミ視点ーーー


 私は現在お風呂を済ませ、寝室の前に浴衣姿でいる。

 私はこれから十文字雷壱に抱かれる。

 彼の妻になったんだから当然のことだ。

 大丈夫…覚悟はとっくにできている。


 私はこれから行為が行われる寝室の襖を開いた。

 そこには十文字雷壱が寝転がっていた。


「おぉやっと来たかエミ!いい湯だったか?」


 雷壱は優しい表情をして言った。

 彼は宴会のときから私の体をベタベタ触ってはいたが終始、私に対して優しい対応をしてくれていた。


「カカカ、それはよかった。ささ、早くこっちに来い」


 私は雷壱の正面へ行き座り込んだ。

 雷壱の手が私の頬に触れる。


「ん〜この可愛いさ…今までで一番だ」

「そう…」


 つまり、私が彼の嫁の中で一番可愛いのか。


「…ところで他のお嫁さんたちはどこにいるの?1人しか見てないんだけど…他にもっといるんでしょ?」


 思い返してみれば、宴会の会場には女性は私しかいなかった気がする。

 このお屋敷に来てから今まで会った女性は1人だけだ。

 それはお風呂場まで案内してくれた人だ。

 その道中、彼女は「34番目の妻」だと自己紹介してくれた。

 要するに少なくともあと33人はいるはずだ。


「あぁ…今日は宴会の準備をしてくれたから別館で休ませてるよ」

「え?宴会の準備は人形がしたって」


 あまりにも豪勢な宴会だったので私は「十文字組の人たちが準備したの?」と雷壱に聞いていた。

 そのとき雷壱は「人形がやった」と言っていた。


「あ、あぁ〜………」


 雷壱が頭を掻き出した。


「カカカ、別にエミには言ってもいいか。他の嫁はな〜だいたい死んでほとんどいない」


 私の体に寒気が走った。


「……ど、どういうこと?」

「えっとな、私が抱き飽きた女の子たちが何人かいたんだよ。そんで、その子達は組員たちにあげるわけ。でもあいつら乱暴でさ〜。そのせいで女の子達が自殺していくんだよね。全くあいつらには困ったよ、カカカ」


 雷壱の話を聞き、私は逃げようと立ちあがろうとした。

 しかし、雷壱は私の肩を両手で押さえつけてこう述べた。


「でも安心しろエミ。お前は私が本気で手に入れたかった女なんだ。決して組員に譲ったりはせん」


 そして雷壱は私のことを押し倒した。


「いやっ!やめて」


 私は雷壱のことを両手を使い押し返す。


「カカカ、なんで抵抗するんだ?エミは捨てたりしないと言っておるだろう。じゃあ、脱がすぞ〜」


 雷壱が私の浴衣に手をかけた。

 でも、私は声を出し抵抗を続ける。

 そして次の瞬間…


 ドンッ!!


 という音がした。

 襖が宙を舞っている。


「ん?なん…

「何やってんだオメェ!!」

「ぶへぇぇぇぇ!!」


 雷壱は誰かに顔を殴られ飛ばされた。


「どうやら間に合ったようだな」


 バットを持っている男が言った。


「十文字!ついに地獄に落ちるときがきたようだな!」


 十文字雷壱を殴り飛ばした男が言った。

 その光景を見て、私の目には涙が溜まっていた。

 私が大好きなタツヒコと私のことが大好きな貞郎が助けにきてくれたのだ。

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