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お弁当

 4時間目の終わりのチャイムが鳴った。


「コウ!これ、約束のお弁当ねっ」


 嬉しそうに弁当箱を手渡してくれる光。


「くっ」


 目の前の光景が幸せ過ぎて思わず涙が出てきてしまった。


「コウ?どうしたの?」


「いや、幸せ過ぎて……」


「ふふっ、そんなに喜んでくれるなら作ったかいがあったわ」


 ニコっと微笑む光に、更に涙が出そうになるがなんとか抑える。


「じゃあ、早く食べましょ」


「うん」


 本当に、戻って良かったと思った。


 ―――



「いただきます」


 弁当の内容はだいたいが俺の好きなもので構成されており感動してしまう。


 まず、1番好物のチンジャオロースを食べる。というか俺の好物を知っていてくれたのだろうか。


「……コウの口に合えばいいんだけど」


「美味しい」


 味付けがちょうど良くて美味しかった。


「……良かった〜」


「光、俺がチンジャオロース好きって知ってたの?」


「一応知ってるわよ。初回位はコウの好きなものを多めに入れてあげようと思って。次回はキュウリ入れてやろうかしら?」


「……ありがとう」


「え、キュウリ嫌いじゃなかったかしら?」


「いや、キュウリは嫌いだけど。そうじゃなくてわざわざ俺の好きなものを作ってくれてありがとうって事。手間だっただろうと思って」


「……どういたしまして。そ、そしたら、その感謝に見合う行動という事で今から私の命令を聞いてもらおうかしら?」


「あ、ラーメンだけじゃやっぱ満足できなかった?じゃあ3000円……」


「バカ!財布を取り出そうとするんじゃないわよ!」


「え?じゃあ何を……」


「……」


 何故か顔を伏せてしまった光。


「光?」


「……あ、あーんしなさい」


「……俺にとってのご褒美になるんですがそれは」


「私にとってもご褒美だからいいのっ!」


「分かった」


「こ、こ、こ、この卵焼きをあ、あーんしなさい」


 ニワトリみたいになってしまった光。


「……は、箸はそのままでいいわよ!」


 下心丸出しの光だが俺もほぼ下心しかないので素直に従う。


「わ、分かった」


 卵焼きを箸で掴んで、小さな光の口に持っていく。


 光がパクッと大きく一口で卵焼きに食いついた。


 顔を真っ赤にさせながらもぐもぐ卵焼きを食べる光。


「……可愛い」


「……っ!」


 一気にごくんと卵焼きを飲み込んだ光。


「……コウのせいで全然噛めなかったわ」


「ご、ごめん」


「……あ〜もう……可愛い」


 そう言うと何故か俺の頭をわしゃわしゃと撫で回す光。


「……コウ、大好きよ」


 目を細めて微笑みながら言う光。


「俺もだよ」



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