いかがわしい
俺の部屋。光と各々スマホいじったり漫画読んだりしているとカーペットにダラーっと寝っ転がる光から声がかけられた。
「コ、コウ」
「ん、どした?」
「そ、その、通り魔の話とかで有耶無耶になっちゃった、手を揉むというお話は……」
「ごめん、今すぐするから許して」
「ゆ、許すも何も別に怒ってないわよ!……ただ、その、少し楽しみにしてただけよ」
顔を赤くしながら目を逸らしてそんな事を言う光。
「……可愛すぎるッ!」
「ガッツポーズ取りながら大声で何言ってんのよ!」
「だって、可愛すぎて……」
「私が、か、か、」
「可愛い超絶天使」
「か、可愛い超絶天使……って違うわよ!人になに言わせようとしてんのよ!」
差し出していた手で俺の頭にチョップする光。全然痛くない。むしろ回復効果あるだろこのチョップ。
「……もう、いい加減怒ったわ!」
「えっ」
「……か、か、肩も揉みなさい!」
何故か少しにやけて言う光。
「なんで少しにやけてる?」
「き、気のせいよ!ほら、早く揉みなさい!」
「ははーっ!」
これ以上怒らせたらまずいだろう、うん。本音は早く光の手を揉みたい。
早速光の手の、親指の付け根を揉む。柔らかっ!
「んぅっ...…」
苦しそうな声を上げる光。
「あ、ごめん。強すぎた?」
「も、もう少し強めで」
「分かった」
言われた通りに少し力を強めにして揉んでいく。
「んっ……んっ……」
「大丈夫?苦しくない?」
「だ、大丈夫っ。ちょうど良くて気持ちいいわ」
「それなら良かった」
光の柔らかい手を堪能しながらしっかりと揉んでいく。ヤバイ、最高。
―――
肩も揉み終わり、何故だか顔を赤くさせてぐったりしている光。
「はぁっ……はぁっ……」
「光、大丈夫?」
「……大丈夫よ、少し気持ち良すぎて。コウ、水って貰えるかしら?」
「あ、なら麦茶ついでくる」
「ありがとう……」
麦茶をつぎにいくという名目で急いで部屋から出る。
バタンとドアを閉めて深呼吸して顔を抑える。
「エロ過ぎる……」
決していかがわしい事をしているはずでは無い。マッサージだ。こんな事光に失礼だ。
―――
【光視点】
「はぁっ……コウに引かれなかったかしらっ……」
正直コウに可愛いと言って貰えるのは凄く嬉しい。でも、もっと、その先が欲しくなってしまうのだ。
「あぁ、コウ好き好き好き好き!」
足をばたつかせて恥ずかしい事を言う。
「麦茶持って来た、よ、」
「あっ……」
「俺も光大好きだよ!」
「あう……」
恥ずかしさと嬉しさで幸せだ。