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揺らぐ

 昼休みになった。休み時間の度に光は優しく励ましてくれた。


 情けないのは分かっているが、そのおかげで光がこうして助かって良かったじゃないか、と考えれる様になった。


「コウ、お弁当一緒に食べるわよ!」


 光がニカッと笑いながらそう言うと、自然と俺の頬が持ち上がってしまう。


「うん。その……光が励ましてくれたおかげで元気でたよ。ありがとう」


「……それなら良かったわ」



 ―――






「ごちそうさまでしたっと」


「……あの、コウにちょっとお願いがあるんだけど」


「なんでも聞くよ?」


「なんでも……」


「うん。なんでも」


「じゃあ……って!違うわよ!」


 顔を赤面させて何故か否定する光。


「お願いがあるんじゃないの?」


「あるけど、そう言う変な意味じゃなくて……」


「……変な意味?」


「変な意味じゃなくて!」


 大事な事なのか2回言った光。


「……お願いって言うのはコウの分のお弁当も作って来ていいかって許可を……」


「いやいやいや、こちらからお願いするべき事じゃん!え、てか、お弁当!?マジで!?」


「ま、マジよ。そんな喜ぶのね」


「当たり前じゃん!こちらからお願いします!あ、お弁当に使われる食材のお金とかは……」


「い、要らないわよ!自分の分を作るついでに作る感じだから!」


「え、でも」


「いいから!大丈夫よ!」


「……分かったよ。でも、俺光の弁当なら1食3000円までは出せるよ?」


「真面目な顔してラーメン5杯分の金を私の作る弁当に払おうとするんじゃないの!分かってないじゃない!」


「でもやっぱり、なんか一方的にされっぱなしは嫌なんだ……あ、そういえば光、ラーメン好きだったよな?じゃあお弁当のお礼に毎日、放課後ラーメン奢ろうか?」


「え、ほんとに……ってよく考えたら絶対太るやつじゃないのそれ」


「光なら太ってても可愛いって」


「……揺らぐから止めて。コウに少しでも可愛く見られる為に間食はあんまり取らないようにしてるのに……」


 唇を少し尖らせて、こっちを見ながら言う光。


「ぐはっ!」


 萌え死にしそう。


「で、でも週に1回位なら……大丈夫じゃないかな?」


「そ、そうかしら?」


「そうだよ」


「なら、週に1回!ラーメン奢って貰おうかしら?!」


「もちろん」


「明日から早速お弁当作って来るわね!」


「うん」


 話が纏まったところで5分前の予鈴が鳴った。


 明日の昼休みが楽しみ過ぎる。


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