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愛を叫んだ変態

読みに来てくれてありがとうございます。

 俺と同じ様な制服を着て自転車に乗っているかもしくは歩いていた人達を頼りに学校まで着いた。思い出さない様にしていた事なので忘れていたのだ。


「光!」


 靴箱で上履きに履き替えている、光の後ろ姿。


「コウ?すっごく汗かいてるけどどうしたの?まさか走って追っかけて来たの?抱きしめた事なら気にしないでいいわよ?寝ぼけてたんでしょ?……まぁ、どうせならちゃんと起きてる時に……」


「光っ!」


 抱きしめた。


「わぷっ!?」


「俺、光が好きだ!」


 言えた。今まで言えなかったら光が好きだという言葉を。


「……ほんとに?」


 泣きそうな顔の光が俺の顔の下から上目遣いで見ている。あぁ……愛おしい。


「ほんとだ!光の全てが好きだ!顔も性格も髪も匂いも全部好きだ!」


「〜っ!せ、せっかくいい雰囲気だったのに変態じゃない!」


「そうだ!変態だ!俺も男だ!しょうがない!だが、そういう意味でも好きだけどそれだけじゃなくて光が愛おしいんだ!愛してるんだ!」


 久しぶりの新鮮な感情に乗せ積もった、狂気とも言える愛を叫ぶ。


「俺は、皆川光が大好きだ!!!!!」


「しょ、しょうがないわねっ!そこまで言うならコウと付き合ってあげようじゃないの!」


「え?」


「え?」


 待ってくれ……何故目覚めない。言いたい事を言えたから目が覚めるんじゃないのか?


 それに光と付き合う……!?……起きたくない、これが夢なんて嫌だ……


「ひ、光、ちょっと俺の頬を思いっきり引っ張ってくれないか?」


 起きるなら光の手で起きたい。


「えい」


 ぐにいっと俺の頬が伸びる。


「痛い痛い痛い!」


 引っ張られたところがジンジンと痛む。


「大丈夫?夢だと思ったの?」


 光が頬をパチンと離した。


 痛い、という事はだ。


「よっしゃああぁ!夢じゃない!」


 思わず光を抱き上げる。


「わっ!コ、コウ!?」


「光と付き合える!!!うおおおおぉ!!!」


 そのままぐるぐると回る。


「きゃあああああああ!!!!!」


「ハハハハハハハハハ!!!!!」


 叫ぶ光、笑う俺。


 ここが全学年が登校時に必ず行く靴箱で、現在進行形で人目がめちゃくちゃ集まっているという事に俺は気付いていなかった。




 ―――



 当時ではいつも通りなのだろう。夜、俺の部屋にパジャマ姿の光が来ていた。正直可愛すぎる。


「もうっ!死ぬほど恥ずかしかったんだからね!」


「はい……申し訳ありませんでした……」


 顔を真っ赤にして怒る光に謝る俺。


 あの後、クラス中からの質問攻めに遭った。やっとくっついたかとか、なんでいきなり付き合ったのかとか。


 昼の時点で学校全体から俺は『靴箱で愛を叫んだ変態』と呼ばれてしまっているらしい。


「でもコウ、ほんとにどうしたの?昨日までは普通だったのに……」


「……夢を見たんだ。光が殺される夢」


「……え?」


「失ってから光が俺にとって大切な存在って気がついたんだけど、もう遅かった。光が死んでから感情を失って、何のためにかも分からず生き続けるっていう長い夢。ごめん、変なこと言って」


「……別にいいわよ。それで私がいかに大切かって事かが分かったならね!……その夢でコウとも付き合えた訳だし……」


 唇を少し尖られせて小声で呟く光。


「光っ!」


 反射的に抱きしめた。


「あーもー!反省してないじゃない!」


「だって可愛いんだから……仕方ないじゃん……」


「あぐっ、可愛いって……コウが私に……」


 その後は光とダラダラしつつベタベタした。




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