嫉妬
「え〜と、皆川さんっていますか?」
昼休み、お弁当を食べていると教室に見覚えのある先輩が来た。
「え、私ですけど」
「私、この間の通り魔事件のときに助けてもらった七条絵里って言うんだ」
「あの時の先輩ですか!大丈夫ですか?学校来てなかったって聞きましたけど」
「心配してくれてありがとう。怖かったけどもう大丈夫。それで、今日は皆川さんにお礼を渡しに来たんだ」
「お礼?」
「これ、彼氏さんと一緒に使ってね」
ちらっとこっちを見てニコッと笑いかけてくる七条先輩。とりあえずこっちもニコリとしておく。
「……これ、なんですか?」
なんか光に睨まれた気がする。
「この間、懸賞のダブルチャンス的なやつで意図せず遊園地のペアチケットが当たっちゃってね。私は一緒に行く人も居ないし、噂によると皆川さんにはラブラブな彼氏さんがいるって聞いたから丁度いいかと思って」
「あ、ありがとうございます」
「お礼なんて言わなくていいよ、それじゃね皆川さん。彼氏さんとお幸せにね〜」
そう言って戻って行った先輩。
「コウ」
「ん?何?」
「さっきの先輩可愛かったわね……」
「うん。モテそうだよね。でも光の方が可愛いかな」
そう言うとぷいっとそっぽを向いてしまった光。
「……」
「どうしたのいきなり」
「……デレデレしてるように見えたから」
俯きながら呟く光。
「光」
光の手を取る。
「俺は光以外には絶対デレないから」
「う、うん」
「それじゃ、続き食べよ」
「……ん」
コクリと頷く光。嫉妬する光可愛いな……。
リードされっぱなしだったから少しはカッコつけれただろうか。
でも、自分の立場に置き換えてみたら光が他の男にニコッとしていたら嫉妬するな……
あぁ、ダメだ。これ以上は脳が破壊される。
「光、あーん」
「……あむ」
さっきの反動でなんら抵抗なくあーんを受け入れてくれる光。
もぐもぐとプチトマトを食べる光を見ていると、愛しさが溢れてくるな。
―――
「それで、遊園地っていつ行くの?」
「そうね……じゃあもう明日行っちゃいましょうか!そしたら日曜はゆっくりできるし」
「うん、そうしようか」
遊園地の場所はここから2時間程。日帰りで行ける範囲内である。
「コウって絶叫系大丈夫だったかしら?」
「たぶん大丈夫だと思うけど……」
「それなら明日は色んなジェットコースター乗りまくるわよ!」
「いいよ」
そうか、光そういうの大好きだったか。小3の時の遠足で光が唯一女子の中で1人だけ垂直滑り台ガンガンやってたな。
「コウ」
「なに?」
「……私は泊りでもいいわよ?」
耳元で囁く光。
「日帰りで!」
「冗談よ。ふふ、顔真っ赤にして可愛い」
「ど、どうしたのいきなり」
「……いや、今日のお昼悔しかったから……やりかえそうと思ってっ」
ニヤニヤしながら言ってるがそういう光も顔が赤い。
「くっ……」
「ひ、膝枕してあげるわ」
「なにいっ!」
恥ずかしいのと可愛いのでぐちゃぐちゃだったが、大人しく膝枕されました。最高でした。




