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皆集まって今後の相談をする

 夕方過ぎ、「鹿の角亭」の食道にメンバー全員が集まっていた。

 なにやらエイナルの具合が悪そうだ。


「エイナル、何かあったか?」

「いや、気にしないでくれ・・・」


 これ以上触れないでオーラを感じる・・・

 聞かないでおいた方が良いかな?


「みんな、それぞれ目的の場所には行けたかの?」


「うん!中級の魔法書を5冊も買っちゃった!これからしっかり読み込んで魔法を覚えなきゃ!」


 エステルは嬉しそうにテーブルの上に積み上げた魔法書をパンパン叩いて自慢する。


 正面にいるヨーンには積み上がった本で身長の低いエステルが見えない。なにげにほほえましく感じる。


「僕も、光と闇に水の中位精霊と契約出来ました。これから時間を見て中位精霊と話をして関係を作らないといけません。」


 エリックはそう言って、契約した精霊の「精霊の御霊」を見せてくれた。


「私も加護を一つ授かりましたよ。」


 そう言うのはヘンリクだ。


「エステルにエリック、ヘンリクもだが魔法は買ったり契約、加護を授かったら、すぐに魔法として使えるという訳じゃ無いのだな?」


 俺はテーブルトークの知識との齟齬を理解しようとして質問してみる。テーブルトークではキャラクターシートに書き込んだ魔法を、戦闘などでそのまま使う事が出来る。当然その使用するまでの過程は無い。


「・・・そうですね。テーブルトークの時には、本や契約はイコール魔法の使用に直結してたからあまり深く考えてなかったけど、精霊と直接対面して精霊語で会話すると、「必要なときに呼んでね」って返事してくれたんです。だから実際に召喚してみないと、どんな事が出来るのか解らないですね。」


 エリックは、精霊語を理解出来るようになったって言う事か?精霊と意思疎通が出来て初めて、精霊魔法が使えるという事かな?


「私もこの本を読んでたけど、感想はエリックと同じかなぁ・・・。本を読み進めていくと、その魔法の専門知識がどんどん頭の中に入っていく感じ。まだ読み終わってないから魔法の発動は出来ないと思うけど、これって、初級の魔法にも影響が出るって事は理解出来た気がするよ?」


 エステルも同様のようだ。さっき魔法書を見せて貰ったが、何が書いてあるのかさっぱり解らなかった。魔法の素養については種族は関係無いはずだから、初歩の魔術を会得していないのが読めなかった理由だろう。その魔法書をつらつらと読めるというのだから驚かされる。それに初級の魔法にも影響が出るという事は、より専門的知識を得ているという事になる。


 ・・・余談だがエステルの爆発力はこっちでも健在なのだろうか・・・?


「神聖魔法は完全にランダムっぽいですね。何の魔法を覚えたいですか?なんて聞いてくれませんでしたし、お祈りしていたら突然頭の中に新しい神聖魔法が浮かび上がりました。」


 う~ん・・・やっぱりこういう所はゲームじゃ無いんだな・・・

 しっかり勉強して、実戦で経験を積む。その必要性を感じるなあ・・・

 冒険に出る前に訓練をした方が良いかもしれない。


 昼間、ブリットの言ってた事もあるし、俺自身もどれほどの身体能力があるのか確認したい。そのことを皆に話そう。


「今日、ブリットとも話をしたんだがステータスの影響を確認する為にも、場所が取れたらだが明日訓練してみんか?」


 俺は皆に提案してみる。魔法の発動がどんな感じなのか興味がある。それに、俺が重戦士としてどこまで役に立つのかも気になる。


「いいですね!実際に異世界転生してみたものの、いまいちピンときてなかったんです。」


「ただ、皆にも確認しておく事がある。実際に冒険に出るようになれば、凶暴な動物やモンスターと戦う必要が出てくる。生殺与奪の覚悟は持てるかの?他にも殺した動物を解体したりとか・・・その動物の肉を焼いて食うとか・・・」


 皆のやる気を奪う発言かもしれなかったが、早い段階でその覚悟を皆で協調し合いたかった。俺自身もそれが出来るのか自信が持てずにいた。


 メンバーも俺の言いたい事が理解出来たのか沈黙する。

 とそこへ小さな妖精がポンっ!と現れた。新米女神様のフェアリーだ。


「皆さん今日は済みませんでした。主神様に呼び出しを受けちゃって、今まで天界に行ってたんです。」


「「「「「「主神様の呼び出し!?」」」」」」


 主神様の呼び出しって、よほどの事があったんだろうか?ひょっとして俺たちが異世界で転生したのを訂正するとか、そんな話が合ったんだろうか?


「それってワシ等の件と何か関係が?」

「はい。それが一つと、もう一つありまして・・・」


 もう一つ?なにやらそっちの方が重要だと言わんばかりの顔をして、思わせぶりにうつむく新米女神様。ロングのプラチナブロンドの髪が顔を隠し表情が見えない。何は重大な問題でも発生したのだろうか・・・?と、緊張した面持ちで皆が次の言葉を待っていると、


「皆さんのいた世界の担当から外されて、フリーになっちゃいました。」


 顔を上げると同時にテヘッと舌を出した・・・『てへぺろ』ってヤツか!?


「「「「「「はい!?」」」」」」


 と同時に皆硬直する。担当を外されたと言うのであれば、俺たちの担当も外れるという事なのだろうか?元々無理を言って同行して貰ったのも呼び出しの原因につながったのでは無いかと危惧する。


「本来なら降格処分になる所でしたが、転生させた皆さんをしっかりサポートするという条件でおとがめ無し。と言う事になりました。」


 しかしそれは思い過ごしだったようだ。冷静になってみれば新米女神様のポカで俺たちは死んでしまい、元の世界で生き返る事も出来ない状態だからと、異世界へ転生されたのだから。


 天界で一週間、他の担当女神と併せて延々説教を受けただの、足が痺れてモゲルかと思っただの愚痴を聞かされた・・・


 こっちで居なかったのは1日だったはず、て事は天界では7日も経ってたって事?普通逆のような気もするけど?主神様の怒りモードがそうさせたのかな?会った事無いから解らないけど・・・


 とにかくせっかくのシリアスモードが台無しだ!!


「で、新米女神様?どこまでサポートして貰えるんですか?」


「あ、私の事は「ニーニャ」って呼んで下さい。それが私の名前です。サポートは今まで通りですかね?こちらの世界にも担当の神様がいるので、あまり出しゃばっちゃうと天罰が落とされちゃいますから。」


 天罰って・・・って今更か・・・


「ただ、皆さんがいた世界と、こちらの世界では何かと基準が違うのでその辺のサポートとか、幸運値の底上げとかでしょうか?」


 !!てことは、さっきまで話してた事もひょっとしたら解決出来るかも?


「ニーニャさん、基準というのは、例えば動物やモンスターと戦って血を見たりした時に気持ち悪くなるとかの精神的サポートをして貰えるのかの?」


 一瞬考え込む新米女神様は何か思い出したように反応する。


「?あー!皆さんの世界ではごく一部の限られた行為ですもんね。そのくらいでしたら大丈夫でしょう。」


 やった!問題の一つが解決しそうだ戦闘行為が原因でPTSDとかに掛かる心配が取り除けるかも!


「あとはとの時々で判断していった方が良いですね。」


 ニーニャはそう言って締めくくる。


「早速今から冒険者ギルドに行って、練習場所が無いか聞いてくるわい」


 俺は明日の事を思い出し、そう言って少し席を外させて貰う。

隣にある冒険者ギルドに行って練習出来る場所が無いか訪ねると、訓練用の空き地があるそうだ。明日は誰か使うといった話は入ってきていないから、自由に使っても良いとの事。


 早速「鹿の角亭」へ戻り皆に報告する。


「明日は練習場所が使えるという事だから早速さっき話した事を試してみよう。」


 丁度良い時間だったので、マスターに頼んで夕食を用意して貰う。その間も話は進む。


「む~・・・そうすると明日は新しい魔法はまだ使えないんだよ?」


「イヤ、新しい魔法も大事だが、今までテーブルトークで使っていた魔法がどう発動するかとかの確認をした方が良いんじゃ無いか?」


 俺がエステルにそう言うと、


「そうだね。そう言えばこっちに来てから魔法はまだ使った事が無かったんだ」

「魔法を使えるメンバーはそんな感じで練習してみてくれ。」

「「「うん(はい)」」」


 と口を揃えて返事をしてくれた。

 

「ブリットとエイナルはワシの相手をして貰えるか?ちゃんとタンクとしての役が出来るか確認したい。」


「「了解」」

「あれ?そう言えばブリット、防具はどうしたの?」


 今気が付いたとばかりに、エステルが声を掛ける。


「ふっふっふ~!さらなるパワーアップの為に武具屋さんに預けてきました~!武器も新しいの買っちゃったよ!」


「わっ!結構奮発したの?いつ受け取りなの?」


 エステルが身を乗り出し羽をパタパタさせながら訪ねる。


「一週間後だよ。ヨーンも防具を一新したんだから!前衛もかなり強くなってると思うよ。」


「ひょっとして念願のプレートメールを買ったの?」


 エリックも今までの俺の装備を気にしていたのか重ねて質問してくる。


「それにシールドとヘルムも魔加工品に新調したぞ。これで鈍足とは言わせん!」

「「「「いや、装備を付けていなくても遅いからそれは無理でしょ?」」」」


 ヘンリク、エリック、ブリット、エステルの4名から突っ込まれる。ドワーフなんだからそこは大目に見て欲しい・・・。


 そこにエイナルが何かを思い出したかのように、声を掛ける。


「あっ!そうだ、ヨーンに渡すモンがあった。」


 そして羊皮紙をヨーンに渡す。


「これは?」


「この周辺の地図だ。参考になるかもと思ってな。お前の頭の中にある地図と照合しておけ。」


 拡げた羊皮紙は(サイズは新聞紙をいっぱいに拡げたくらいだろうか)、ルステーゼ王国とその周辺の国の一部が描かれた地図だった。


 確認してみれば確かにここから南に2日程行った場所には港町ローランがあった。北と東は山脈があり、遺跡の場所も載っている。エイナルが持ってきてくれた地図は間違いなく俺の頭の中にある地図と符合する。・・・いや遺跡の数が少し足りない?ひょっとしてまだ発見されていないのか、それとも記憶の不一致か?ここは要注意だろう。


「エイナル・・・これをどこで?」

「まあ、餅は餅屋ってヤツだ、結構したんだ有効活用してくれよ!」


 狼顔で口角を上げニヤリと笑う。


「じゃあ、私も明日は皆さんの練習を見学させて貰いますね。」


 とニーニャさんは微笑む。何か問題点だ見つかれば色々相談してみよう。出来れば頼らずにパーティーだけでこの世界も冒険したいが、無理はせずに頼る所は頼ろう。


「こちらこそ頼みます。」


 料理が来ると、皆テーブルに拡げてあった各自の持ち物を自分の魔法鞄にしまい込んでいく。

 

 並べられた料理は肉料理に魚料理、ソーセージにサラダなど盛りだくさんだ。それに飲み物。明日の練習に備えて英気を養う。

 

「あれ?この可愛らしい小さな妖精さんは、ヨーンさんの新しい仲間なの?」

 

 店の給仕が話しかけてきた。


「はい。ニーニャと言います。よろしくお願いしますね。」


 え?見えてるの??驚いてニーニャに確認する。


「フリーになっちゃったんで、姿を見せても良いかなぁって思って。あっ!このウインナーおいしいですよ。」


 と言いながら、並べられた料理のウインナーにかぶりつく。

 はあ・・・そう言うことは先に行って欲しかった・・・

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