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第5号遺跡攻略

 翌日早朝、カヌレ博士の研究所から迷いの森を出ると、エステルのゲートの魔法で第5号遺跡へ向けて出発した。


 ゲートは第5号遺跡の少し手前で開いてもらい、そこから馬車で移動してきたように装った。


 第5号遺跡に到着すると、馬車の預かり所へ自分達の馬車を預け、冒険者ギルドの出張所へと向かった。そこで手続きを済ませ、21階層からの挑戦となる。


「さて、今のワシ等のレベルは43じゃ。適正な階層は21階層になる。しかしノンビリと階層を攻略している暇はない。そこで今回はメイドゴーレム達を頼らせてもらおうと思うが良いか?」


「ダンジョン内の隊列を、メイドゴーレムちゃん達を最前列にするって事?」


 ブリットは、嫌~な顔をして、こちらを見てくる。


「申し訳ないがそう言う事じゃ。今日は25階層の転移ポータルまでは行きたい。もちろんメイドゴーレム達に、全てを任せる訳では無いぞ。サポートはしっかりとやる。」


 メイドゴーレム達が倒したモンスターは、そのマスターの経験値になる。それを今回は利用しようとしている事が、ブリットの納得できないところなのだろう。


 言い訳でしかないのだが、レベルアップの確認は、どうしても冒険者ギルドの出張所で行わないと確認が取れない。全てが後手になってしまうのだ。


 そうすると、正攻法で30階層まで行こうとすれば、最短でも10日掛かってしまう事になる。


 遺跡の攻略に1ヶ月あるとは言ったが、全て使い切るわけには行かない。この第5号遺跡だけは我慢してもらうほか無い。


 隊列は、


 最前列にエクレア、ガトーショコラ、モンブラン、

 次の列が、チョコロール、俺、ブリット、

 中衛が、エリック、エステル、キュリーシア、アプリコット、

 後衛が、エイナル、ヘンリク、パンナコッタ、


 である。13人パーティなんて経験が無いが、4列編成での対応となった。


 ブリットは未だ納得がいってい無いようだったが、このまま押し切らせてもらった。


 早速転移ポータルで21階層に入った。この第5号遺跡は鳥形モンスターが中心だ。


 今まで遭遇したモンスターは、エミュー、ダチョウ、フクロウ、鷲、鷹など様々だ。下層になると、大型化や、獰猛さが増してくる。


 それらモンスターとはすぐに遭遇した。飛んでいるモンスターは中衛に任せ、飛ばない鳥類は前衛が引き受ける。


 元々、このダンジョンでは、モンスターは最大5匹までしかグループにならない。今までそれ以上のクループになって遭遇した所は見た事がない。


 しかし、メイドゴーレム達は撃ち洩らしをしない・・・。結局25階層まで最前列と、中衛のみで片付いてしまった。


 戦闘もエクレアは両手持ちのグレードソードを華麗に振り回し、ガトーショコラは死に神が持つような巨大な大鎌で、モンスターの首を切り飛ばしていく。モンブランは、バスターソードを器用に片手、両手と使い分け、モンスターを両断していった。


 中衛でもアプリコットが弓を射るが、たとえどんな小さな敵でもその胴体を見事に射貫いていく。


 その戦闘を見ていると、見惚れてしまうほどだ。レベルの差での戦闘では無く、その技術が圧倒している事が良く解った。


 攻略は順調に進み25階層まで到達した。


 そこで、隠し部屋まで廻り道をし、魔鉱石を回収していった。ここにあった魔鉱石は15階層より一回り大きく、ざっと200kgと言った所か・・・。


 それを魔法鞄に収納して、今日は25階層で転移ポータルを登録し、地上へ戻る事にした。


 まだ明るい時間だったが、そろそろ夕方になる頃合いだ。


 俺たちは冒険者ギルドの出張所へ顔を出し、冒険者カードを提出した。そしてレベルが43から52になってる事を確認した。


 ここにはまだ宿はない。早速野営の準備を行った。狩りの当番はエイナル、薪拾いをヘンリクが行っている。


 俺も野営の準備を進めていく。ブリットは終始、ご機嫌ナナメだ・・・。


「ブリット、そろそろ機嫌を直してくれんか?」


「・・・」


「ブリットがメイドゴーレム達を大切に思ってる事も解っておる。」


「解ってないじゃない!・・・あの子達はこの先、大変な事もしなきゃ為らないんだよ!?それなのに最前列で戦う事までやらせてたら、私たち冒険者じゃ無いじゃない!」


 俺はブリットの言葉に「ハッ!」とさせられた・・・自分達の安全策を重視するあまり、無意識のどこかで、メイドゴーレム達を雑に扱っていたのかも知れない・・・。


「・・・すまん。ブリットの言うとおりだ。このことは今夜、皆と相談しよう。」


 そう言って、皆が戻るまでに設営の準備を済ませたのだった。


 全員が戻り、夕食の支度も済んで、肉料理が焚火の周りで炙られていくのを見ながら、俺は皆にさっきの件を切り出した。


「明日は1列目と2列目を、交代しようと思う。」


「突然どうしたんですか?」


 ヘンリクが怪訝な顔をして、そう言った。


「いやな・・・エクレア、ガトーショコラ、モンブランが張り切ってくれるおかげで、ワシ達は助かっておるんじゃが、頑張りすぎてこっちに何も獲物が来なかった。それでなワシ等が1列目に入って、撃ち洩らしがでた時に2列目に対応をしてもらおうかと思っての・・・。」


 言い訳が苦しかったか!?とそう思いつつも、他に良い言い訳が思いつかなかった。


「ん~・・・、まあ良いんじゃ無いですか?前2列は僕達の中でも接近戦最強なんですから。」


 何かを察したエリックは賛同してくれた。他の皆も異論は出なかった。


 が、エクレア、ガトーショコラ、モンブランの1列目3名がこの話に愕然としていた。そしてエクレアが、


 3名を代表して聞いてくる。


「私たちに何か至らない点でも!?」


「いや、至れり尽くせりだったわい。そのおかげで2列目が物足りなくなったんじゃ。ワシ等は今日、何も働いておらん・・・。明日はワシ等が1列目になる。2列目にも役が回ると思うから、その時はしっかり頼むぞ!」


 そう言って誤魔化した。


 エクレアは、その意見に納得は行ってはいなかったようだが、不承不承ながらも納得してもらった。


 するとやっと機嫌が戻ったのか、ブリットが、


「はいはい!肉が焼き上がったわよ!しっかり食べて明日も頑張りましょう!」


 そう言って、鍋に入った豆スープを皿によそり、皆に配っていった。



 2日目は、26階層から30階層のボスモンスター攻略までを行う予定だ。30階層のボスモンスターは解っている。


 昨日の話通り、1列目と2列目は入れ替えての隊列となった。26階層の適正レベルは52だ。どれほど自分達が戦えるか見てみようと思った。


 順調にルートを進めていくと、遠くにモンスターの群れが見えた。


 早速、エステルがファイヤーアローの準備に入る。エステルの魔法は上級魔法を取得して、更にパワーアップしている。ファイヤーアローが、同時に15本出せるのだ。


 素早く魔法の準備を済ませ、ファイヤーアローを解き放つ!爆音とともにモンスターは跡形も無く吹き飛んでしまった。


 「隊列を変えても仕事が無いのう・・・。」


 俺は冗談めかしてそう言った。それがフラグだったのか、暫くした時、近距離からの遭遇戦が発生した。


「ヨーンが変な事言うから!」


 しっかりブリットに突っ込まれた。


 レベルは同等。何処まで戦えるか勝負だ。そう思い武器を構える。相手は飛べない鳥類が5匹で構成されていた。


 俺はいつものようにシールドを構え隙をうかがう。相手は問答無用で突っ込んできた。


 そのままシールドに激突したが、俺にはその衝撃が伝わってこなかった。モンスターは衝撃に怯んでいる様子だった。


 その隙を逃さずバトルアックスの一撃を入れた。手応えが無い。空振りしたか!?そう思ったが、モンスターは真っ二つに両断だれていた。


 残りの2匹もブリットとチョコロールが対応した。


 しかし、2匹が2列目へと抜かれてしまった。そちらはエクレアとガトーショコラによって一撃の下に倒される事になっていた。

 

「凄い!切った感触が全くしなかった!」


 ブリットは新調したオリハルコン製の片刃剣を見ながら感動していた。


「凄い切れ味だったな。」


 俺も同調した。これなら、ボスモンスターとのレベル差を補えるかも知れない。そう思った。


 俺たちが1列目になった事で、順調とは決して言えない所だが、どうにか30階層ボス部屋の前までやってきた。


 そして、部屋の中をチラリとのぞき込む。やはり5m程だろうか?


「さて、この先がここのボスモンスターだ。30階層のボスモンスターはどの遺跡でもドラゴンと決まっているようだ。ここのドラゴンはウインドドラゴンだ。」


「と言う事は風属性?」


 エステルも部屋の中をのぞき込んだ後、確認してくる。


「どうやら封印されている精霊王の欠片に、ドラゴンの属性も会わせているようだ。」


「と言う事は、弱点は火ね・・・。」


 この世界にも弱点の属性は存在する。大まかには火>風>土>水>火と言った具合に相対属性がある。


「そうだな。エステルの得意魔法の1つを使えるぞ?」


「その上位版が使える。」


「「「「「?」」」」」


 全員の頭に?マークが浮かぶ。ファイヤーボールじゃないのか?


「ファイヤーストームが使えるから、それを使った後に皆攻撃をして。そうじゃ無いと巻き込まれちゃう。」


 うん。いつもと変わらん!


「エリックも火の精霊魔法を援護射撃で頼む。そのあとはアプリコットと弓で援護だ。」


そして、キュリーシアにも、


「キュリーシア、炎系の魔法で追撃が出来るか?」


「ファイヤーボールが使えます!」


「では、エステルが魔法を放った後援護で頼む。」


「はい!」


 早速、エステルが全員に、対物・対攻撃支援魔法を掛ける。


 いつもより詠唱が早い。そのあと、聞き慣れない魔法の詠唱が始まった。これがさっき言っていたファイヤーストームの魔法なのだろう。


 そして部屋に飛び込むと、呪文名を叫んだ。


 『ファイヤーストームッッ!!!』


 するとエステルの正面に魔方陣が浮かび、そこから炎の竜巻が正面にいたドラゴンを巻き込むように向かって広がって行った。


 不意打ちを受けたドラゴンは悲鳴にも似た雄叫びを上げた。


 『GYAOOOOOOONNNN!!!』


 炎の竜巻が収まると、そこにはボロボロになったドラゴンが横たわっていた。今の一撃でかなりのダメージが通ったようだ。


 そこにすかさずキュリーシアのファイヤーボールが投下された。と同時に二人は入り口の壁際へ避難する。


 『ズドンッッッ!!』


 爆風がこちらまで来るが、エステルのファイヤーボールを見慣れていると、物足りなく感じるのは何故だろう?


 爆風が収まると、すかさず前衛組が駆け込んだ。既にドラゴンの鱗もボロボロだ。そこに攻撃を仕掛けていく。


 ドラゴンは最初の一撃で、既に動ける状態では無かったようだ。されるがままだったドラゴンも、暫くすると大人しくなり塵となって消えていった。


ボスモンスターを倒し終えた後、精霊王の欠片の所在を確認する為、地図と位置関係を照らし合わせていく。


 そして特定した場所をエイナルに隠し扉を探してもらい、扉を開けてもらうと様子見をかねて中を拝見した。


 そこには高さ1.5m、幅1mはある緑色をしたクリスタルが浮いていた。


「・・・これを動力炉に収めるのか・・・負担が掛かるのも無理は無い・・・」


「「「「「・・・・」」」」」


 皆もそのクリスタルの大きさに圧倒され、沈黙してしまった。


「取りあえずここでする事は全て完了した。転移ポータルを登録して地上へ戻ろう。」


 そう言って皆で地上へ戻った。


 冒険者ギルドの出張所へ行き、冒険者カードを提出すると、レベルは52から63まで上がっていた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >早速転移ポータルで21階層に入った。 キュリーシアって転移ポータル使えるのだろうか?冒険者登録もしていないと思うのですが…。
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