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今後の展望と新馬車が納車されました

 王都に来て3日が経過した。マーリンの話では、そろそろ災害調査の第一陣が帰還する頃だ。


 その調査報告いかんでは、第1号遺跡から第6号遺跡の30階層に封印されている精霊王の欠片を解放する必要が出て来る。


 それ以外にも、場合によっては、魔王領の調査をしてきて欲しいとマーリンから追加の依頼として言われてしまっている。


 冒険者ギルド本部の動きとしては、調査報告を精査して国に報告を行い、その対応をしていく事になるだろう。


 まさかここまで大事になるとは思っていなかったこちらは、ハレックの街で借りた馬車は2週間分しかない。


 帰りの道中も考えると、滞在出来る日数はあと3日が限界である。それまでにどうするのか、方針をある程度固める必要がある。


 さて、国家存亡どころか、世界存亡の危機に関わってしまっている気がする・・・。


 どうしてこうなった?とは言うまい。ここまで関わってしまったのだ。出来る事は出来る限りやってみよう。


 そんな事を考えていると、キュリーシア魔王領王女を連れたブリット達が返ってきた。キュリーシアはすっかりブリット達に馴染んでいた。


「王都の景観はやはり何度見ても素晴らしいわね!」


 と、ブリットが話題を振ると、


「朝市の品揃えは魔王領も負けていませんよ。」


 と、キュリーシアが答える。


 今では見慣れた光景だ。最初に会った時には怯えていた魔族の女性がここまで馴染んだのだから、ブリットの気遣い様々である。


 最初はブリットに任せていた角を隠すヘアメイクと帽子のチョイスが、今ではキュリーシアが自分で出来るようになっていた。


 ちなみにキュリーシアの新調した帽子や洋服は、ギルド本部の必要経費で落とさせて貰う予定だ。


 そんな女性陣がワイワイと盛り上がっていると、マーリンがやってきた。

 

「盛り上がってるとこ悪いね。ヨーン・・・チョット良いかい?」


 マーリンはそう言って静かに話の出来る場所へ誘導した。顔色を見ると調査結果は芳しくなかったようだ。


「調査隊が戻ったのか?」


「ああ、結果が出た。」


「その口ぶりだと、結果は最悪のようだな?」


「ああ、各地で精霊の力が弱まっている。特に砂漠化した場所や水位の下がった湖ではその傾向が顕著に出ていたそうだ。」


「で、この後はどうするのだ?国に報告するとして、各遺跡の精霊王の欠片を解放する事に直結するとは思えんな。」


「言いたい事は解る。どちらにしても精霊王の欠片の解放の方法も解らない。そこでだ、その解放の方法を探して貰えないだろうか?もちろんこちらでも探してみるが・・・。」


 そう来たか・・・。俺たちにはあの遺跡に関わった、古代魔法大国期最高の魔導機博士のカヌレが作ったメイドゴーレム達がいる。


 ひょっとしたらメイドゴーレム達の記憶から、博士の研究所の所在が解るかもしれない。そこを調べれば何か解るかもしれないのだ。


 マーリンは国の方針がどちらに傾いても良いように準備したいと思っているのだろう。


「解った。出来る限りの事はしよう。しかしこれは別依頼と言う事で良いな?」


「チャッカリしているが、仕方が無い。あと、ヨーン達は何日ぐらい王都に居られるんだい?」


「あと3日が限度だな。馬車が借り物だからな。2週間分しか借りてない。」


「なら3日以内にある程度国に報告して、どんな反応になるか確かめておくよ。あと、キュリーシア王女の事は、ヨーンたちに任せても良いかい?」


「それは、俺たちのパーティに同行させろと言う事か?」


「その方が、キュリーシアにとっても安心だと思うがな?それに、魔王領の調査も平行して頼みたい。優先度は精霊王の欠片の解放の方法が上だが、魔王領は魔王領で問題があれば、どちらにせよ別の方法を模索しなくては為らない。・・・が、今の彼女を見ているとそんな心配は無いような気がして為らないがな・・・。」


「その意見については同感だ。次元転移の魔法まで開発するほどだ。向こうの方が先を行っているかもしれんぞ?」


「怖い事を言わないでくれ。とにかくヨーン達が帰る前には一度顔を出す。それまでは出発せず待っていてくれ。頼んだぞ。」


 そう言ってマーリンは冒険者ギルド本部へ戻っていった。


 こちらは、カヌレ博士の研究所を探さなければならなくなった。すぐ近くに居たチョコロールに訪ねてみた。


「のう、チョコロール、カヌレ博士の研究所の場所は知っておるか?」


「え・・・あ・・・はい。大体の場所は・・・地図はお持ちですか?」


 そう言われたので、魔法鞄からルステーゼ王国の地図を取り出し広げる。


「えっと・・・その・・・この入り組んだ湾の一角に、博士の研究所と繋がる転移ポータルが有るはずです・・・。」


 そう言って示された場所は、ハレックの街から南に2日ほど移動したローランの街の近くだった。


 しかしそんな場所があれば、とっくに知れ渡っているはずだ。それが知られていないと言う事は、何かしらの魔法的な方法で隠されているに違いない。


 その日の夕食時、皆が集まっている所で相談をした。


「急な話だが、もし良ければキュリーシアも一緒に旅をせんか?ワシ達は3日後にはここを経つ。そのあと少し捜し物をしてから、魔王領を見学させて貰いたいのだが?それまでの間だけだが、どうだろうか?」


 すると、ブリットやエステルは賛同した。


「いいね!一緒に旅をしよ!」


「私も賛成!」


 しかし、キュリーシアの顔色は優れない。


「申し出は嬉しいのですが、私には使命があります。魔王領をこちら側へと戻す術を見付けなくては為りません。」


 固い決意を秘めた目をキュリーシアは皆に見せた。


「その為の旅なんだがな?中間報告が入っての、こちら側の精霊の力も弱くなっているそうだ。キュリーシアの言っていたとおり、このままではこちら側の世界も被害が拡大してしまうかも知れん。」


「では、ここの国王に会って話をするという事は?」


「どちらにしても一国が決められるような問題では無くなっておる。それよりも今の魔王領がこちらの世界でも人族と共存出来るかが問題だ。」


「この数日間、この王都を見せて頂きましたが、発展の仕方は違えども、同じように物のやり取りが行われ、活気に溢れる姿は同じです。法を定め、守らぬ者がいれば罰を与えます。是非来て見て頂ければご理解頂けるでしょう。」


 キュリーシアは自信を持ってそう宣言した。きっと自国に誇りを持っているのだろう。

 

 そうで無ければ、ここまで毅然とした態度で言い切る事は出来ないのだから。その自信を信じたいと思う。


「では、魔王領をこちらに戻す為に、一緒に行動すると言う事で良いかな?」


「はい。よろしくお願い致します。」


 こうして、一時的にキュリーシアはパーティに加わった。



 さらに3日後、ハレックの街へ戻る日だ。昼頃にマーリンが訪れた。何やらお疲れの模様だ。国の方針は決まったのだろうか?多分紛糾しているのでは無いだろうか?


「お疲れのようじゃな?」


「全くだよ!役人どもの保身には辟易するね!!」


「何処の世界でもそれは一緒というものだろうな・・・。で、どうする?」


「会議は続けさせる。予定通り精霊王の欠片を解放する方法を探して欲しい。それが見つかったら、キュリーシアを連れて魔王領を見てきて欲しい。」


「期間としては何時までに戻ってくれば良い?」


「そうだね・・・二ヶ月以内に何とかなるかい?」


「努力はしてみよう。」



 マーリンとはそう言って別れ、俺たちはハレックの街を目指した。2泊の野営をし3日後に予定通り、ハレックの街へ夕方に到着した。


 馬車を返し、久しぶりの「鹿の角亭」だ。今日からキュリーシアも泊まる事から個室を用意させた。


 ここまでで丁度2週間。予定通りであれば馬車が出来上がっているはずだ。


 俺はウキウキして駆け出しそうになる心を押さえつけ、冷静を装いながら「ヤンの武具店」に入った。


「お!ヨーン!丁度良い所に来たな!馬車の方が丁度今仕上がって、こっちに届いた所だぜ。」


「そうか!どんな仕上がりだ?」


「大体要望通りに仕上がったと思うが、確認してみてくれ。」


 そう言われて、店の裏側に通された。


 そこには俺のイメージしたとおりの、二頭立ての箱形の馬車が佇んでいた。中を確認してみたがこちらもイメージ通りだ。座席を倒すとフルフラットになる。補助席も付いているので、実質15人乗りの馬車だ。


 用意して貰った2頭の馬も丈夫そうな牝馬だ。長旅にも十分耐えられるだろう。


 俺は馬車を親父さんに、表の通りに出して貰えるように頼んだ。その間に「鹿の角亭」で休んでいる仲間達を呼びに行った。


 馬車が表の通りに出て来るのと、仲間達が表に出て来るのはほぼ同時だった。そしてその馬車を見た皆の感想は、俺も満足のいくものだった。


「おお・・・イメージしていたものより断然良い仕上がりですね!」


 ヘンリクが率直な感想を述べた。


「中の方もバッチリね!」


 ブリットも中の仕上がりに満足してくれたのか、興奮気味に窓から顔を出した。


 他の面々の反応も上々だった。12人から13人になったがこの馬車であれば、十分長旅にも耐えられるだろう。


 早速馬車の登録を済ませ、「鹿の角亭」で預かって貰う事にした。


 馬車の預かり費用は1日銅貨5枚だそうだ。この費用には場所代と餌代が含まれる。


 本来はもう少しするそうだが、俺たちとの信頼関係を重視した結果だそうだ。有難く受けさせて頂こう。


 その後、「ヤンの武具店」の親父さんにも礼を言って、「鹿の角亭」へ戻り、今後の打ち合わせの為夕食を取る事にした。もちろんキュリーシアも、メイドゴーレム達も同席だ。


「取りあえず、2ヶ月の予定でやらなければならない事が2つある。1つは、カヌレ博士の研究所を見付けて、遺跡に封印された精霊王の欠片の解放方法を調べる事。もう一つがキュリーシアの故郷でもある魔王領の視察だ。」


「カヌレ博士の研究所の所在の目処は立っているんですか?」


 と、ヘンリクが聞いてくる。


「チョコロールに聞いたんだが、ローランの街の近くに転移ポータルが隠されているらしい。」


 そう言って印を付けた地図を見せて説明した。


「まずはここを目指そうと思う。取りあえず、明日は1日ゆっくりしてくれ。出発は明後日にしたいと思う。キュリーシアもせっかくだから、ハレックの街もブリット達と散策してみてはどうかな?また違う雰囲気があって良い気分転換になると思うぞ。」


「ヨーンにしては珍しく良い事言うじゃない。せっかくだし明日は朝から散策しよう。」


 そう言ってキュリーシアをうながす。


「そうですね。お言葉に甘えさせてもらいます。」


 キュリーシアも何だかんだと興味はあるみたいだ。1日しか無いがハレックの街も散策を楽しんで貰いたい。


 俺は明日は馬車の仕上がり具合を確認したいと思っている。2日後には初乗りで1泊野営を行う事になる。念の為の準備はしっかりしておきたい。



 そして、一日女性陣は散策を楽しみ、俺は馬車の準備や装備の整備を行い、各自自由な時間を過ごした。

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