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第3号遺跡11階層以下攻略・4人目のメイドゴーレム

 翌朝、第3号遺跡へ向かう定期馬車に乗り込んだ。


 人数は一人増えて9人だ。そのうちメイド姿の少女が3人居る。


 他の冒険者は何事かと驚いている者や、既にその光景を見ていて知っている者で見る目線が様々だ。


 今回は第3号遺跡まで1日の行程だ。夕方には到着出来る。移動の道中でも、3姉妹は色々と情報共有を行っているようだった。こちらとしても、そうしてまとまっていて貰った方が何かと助かる。


 ハレックの街へ戻ったら、速攻でヤンの親父さんに2頭立てのキャンピング馬車を作って貰おう。材料はある。資金もある。あとは時間だけだ。


 移動の最中もどんな風にしようか想像を膨らませる。キャンピング馬車の最大の目的は、女性陣の寝床の確保をすると言う理由が大きい。


 今の魔法のテントは2張り。どちらも4人定員だ。今回モンブランが加わった事で、定員的にはオーバーとなる。


 唯一の救いはブリット以外の女性の身長が子供サイズである事だ。それでもきっと狭いだろう。


 俺は、元の世界では旅行会社に勤務して、バスツアーの添乗業務にも携わっていた。キャンピング馬車の発想も、小型バスをイメージしている。


 さすがに、そこまで大きなものは作れないだろうが、先日の野営の時でも仲間達に話したが、理想は御者役を含めて定員12名だ。馬車の中に10名から12名入る事が出来れば良い。


 理想は4人掛けだが、街道事情を考えるとそれは難しそうだ。そうなると、前向き2人がけの5列。


 足回りもスプリングやショックアブソーバーなどがあれば良いが、残念ながらこの世界でスプリングやその他の技術は今のところ見た事は無い。類似品は馬車などに使われている板バネだ。そこを材料で工夫して、出来るだけ衝撃を吸収出来れば良いと考えている。


 あとは野営をした時の寝心地だろう。この世界の馬車の座席にクッションは無い。ただの木の板だ。そこも工夫出来ないだろうか?などと妄想は膨らむばかりだ。


 そんな想像を膨らませながら、道中を進めていけば第3号遺跡へ到着した。何故だろう?あっという間に到着したような気がする・・・。


「またヨーンが変な事考えてる・・・ヤらしい・・・」


ブリットが変な勘ぐりをしてきた。


「ヤらしくない。健全だ。」


 などと遣り取りをしながらも、冒険者ギルドの出張所で登録を済ます。


 エイナルには地図屋で情報の確保に動いて貰った。必要なのは、11階層から20階層の地図と、その20階層のボスモンスターの詳細だ。


 それらを済ませたあと、その足で宿に入り、大部屋を2部屋確保する。荷物を置いて夕食を取る為に下へ降りる。


 下ではエイナルが地図を持って、待っていてくれた。各階層の最短ルートを確認し、15階層では隠し扉の場所をチェックする。そこを通った場合の最短ルートを模索していく。


 そして20階層のボスモンスターを確認すると、毒を持った大蛇だという。全長は5m。


 取り巻きのモンスターは同じく毒を持った大蛇で、全長は3m程のものが4匹だという。どこの遺跡もサイズが似たり寄ったりだ。ただ、毒を持っているのは頂けない・・・。


 毒対策はヘンリクの解毒魔法しか無い。今回は攻撃には参加させないようにするべきだろう。


 エイナルの持ってきてくれた情報を分析し、夕食の時にどんな切り口で話をしようか思案する。


 そうこうしている内に皆が食堂へ降りてきた。それぞれ食べたいものを注文していく。


 うーんこうして考えると、メイドゴーレム達も、魔鉱石では無く通常の食事を取って貰った方が良いような気がする。


 端から見ると、飯抜きの刑を与えているように、見られているんじゃ無いかと勘ぐってしまう・・・。


 皆も何か注文しても良いよ。と言うが、魔鉱石を摂取したので大丈夫です。と遠慮されてしまう。


 取りあえず食べている振りだけでもして貰おう。料理も少し多めに注文して誤魔化した。


 料理が出揃った所で明日の段取りをしつつ食事を取る。


「明日は早朝から20階層を目指すぞ。第1号遺跡の時と同じ段取りだ。20階層のボスモンスターを倒したら、隠し扉を確認して地上へ戻る。その翌日は同じく早朝に20階層の隠し通路へ入る。」


「まあ、いつもの流れの1つですね。」


 ヘンリクが返事をする。


「まあ、そうそう攻撃方法が変わっても連携が取れなくなっちゃうし?」


 ブリットも同様のようだ。しかしボスモンスターには問題がある。


「20階層のボスモンスターだが、巨大な蛇だそうだ。しかも毒を持っておる。蛇が苦手なものはおるかの?」


 これに関しては特に手は上がらなかった。


「そこで毒対策としてヘンリクは、サポートに回って貰いたい。」


「そうですね。戦闘に専念して治癒が遅れるなんて事になったら大変です。今回は回復に専念しましょう。」


 ヘンリクはその事を理解して快諾してくれた。


「あと、エステルはカエルの方は大丈夫か?」


「う・・・苦手意識はあるけど、大丈夫。無理はしない。」


「それで良い。18階層まではまた魔物よけの魔法を頼む。19階層以下は前衛が何とかする。」


「ヨーン、そんな事言ってるけどメイドさん達に早さで負けちゃってるから、あまり攻撃に加われないかもよ?」


 ブリットにからかわれてしまった。


「まあ、速攻で倒せるものならそれに越した事は無い。返って感謝しておるぐらいだ。」


 そう言ってメイドゴーレム達に頭を下げると畏まられてしまった。


「「「いえ!それが私たちの勤めですから!」」」


 夕食も食べ終え、段取りも粗方済ませ(戦法はいつもの通り、ファイヤーボールの投入とその後は行き当たりバッタリだ)皆明日に備えて解散となった。


 翌日早朝11階層からの走破が始まった。最初エステルに魔物よけの魔法を掛けて貰い、最短ルートを抜けていく。


 15階層は隠し扉があるので大回りだ。予定のポイントで隠し扉を探す。エイナルも素早く隠し扉を見つけ出し、扉を開けていく。


 中に入ると大きな宝箱がある。罠も鍵も掛かっていない。蓋を開けると150kg相当の魔鉱石だ。それを素早く俺の魔法鞄にしまい込み、15階層を抜けていく。


 19階層へ入る前に、隊列の再確認だ。前衛は俺、エクレア、チョコロール、中衛エリック、エステル、モンブラン、後衛ヘンリク、エイナル、ブリットにした。


 人数がコロコロ変わるのでお試し隊列になってしまう。それでもモンスターと接敵した時はしっかり機能した。


 距離のある場所から発見した場合は、エステルのファイヤーアローとエリックの弓矢の攻撃、接敵した場合は前衛の総攻撃となる。こちらの人数も9人と大所帯な為、相手モンスターが最大でも5匹と解っている以上、怯む要素は無い。


 ここでも危なげなく、20階層ボス部屋の手前まで到達した。隠れてボスモンスターの様子を確認するが、蛇の口から伸びる舌がチロチロと出入りする姿は正しく蛇そのものだ。


 ただし、デカい・・・長さの事ばかりに気が行っていたが、丸々太っていて直径も太い。何処を攻撃して良いものかパッと見、思いつかなかった。


「頭を潰せば何とかなるでしょ?」


 そう言ったのはブリットだ。さも当然とばかりに言われるとその通りだが・・・そう素直に攻撃を受けてくれるものか?


「頭使いすぎ!いつもの段取りで行きましょ!」


 自覚は無かったがヒョッとしたら俺は蛇が苦手かもしれない・・・そんな事を思いつつ、ブリットにハッパを掛けられて、作戦を実行に移す。


 いつものように、エステルの対物・対攻撃支援魔法からのファイヤーボールの準備。エリックの火の精霊魔法、準備が整った所で、エステルのファイヤーボールの投入だ。


 爆発の余波を感じながらも、続いてエリックの火の精霊魔法が追撃する。それを追いかけるように近接組が殴り込む。


 今回はエステルファイヤーボールはクリティカルしなかったようだ。全モンスターが生き残っている。しかしダメージは相当のものだ。各自取り巻きの蛇の頭を攻撃し無力化していく。


 ボスモンスターの蛇は毒の液体を拭きかけてくる。皆は華麗に避けていたが、俺は鈍足の為避けきれなかった。しかし、プレートメールのお陰で肌に直接掛かる事は無かった。


 その間にもブリットやメイドゴーレム達がボス蛇に攻撃を仕掛けていく。エクレアは光の大剣で、モンブランは炎を纏ったバスターソードで、ブリットは必殺の3連撃をお見舞いした。時間にして数分の戦いだっただろう。ボス蛇は塵になって消滅した。


 10階層を走破した後だ時間が惜しい。皆に魔鉱石の回収を頼み俺とエイナルは隠し扉の場所を確認していく。相変わらずなかなか見つからない。探すこと20分ぐらい経った頃、やっとそれらしき装置の痕跡をエイナルが見付けた。場所を把握し、20階層の転移ポータルで地上へ戻った。


 地上はすっかり暗くなっていた。冒険者ギルドの出張所へ、いつものように隠し扉の報告を行う。手に入れた150kg相当の魔鉱石は持ち帰りとした。


 宿に戻り、遅い夕食を取りながら、明日の段取りの確認をする。と言っても明日は早めに出発して、隠し通路から4人目のメイドゴーレムを目覚めさせるだけだ。


 それでも一応皆との意思疎通を行う為段取りを行う。この第3号遺跡に誰が眠っているかは行ってみないと解らないと、メイドゴーレム達は言っていた。操作パネルが出た時は任せて欲しい。と言う事だったので、それは任せる事にした。


 遅い時間に寝たとしても、翌朝はすっかり疲れが取れるのだから不思議な世界ではある。


 しかし精神的疲れだけは少し残るような気がする。昨日は毒を浴びると言う事があった。装備のお陰で怪我をすることは無かったが、その瞬間は覚えている。その精神的疲れだろう。


 早い朝食を取り、転移ポータルで20階層を目指す。既に確認してある隠し通路を開け皆で中に入ると、それを確認したかのように扉が閉まる。


 突き当たりの転移ポータルから別の通路へ渡り、突き当たりの扉を目指す。到着する前には鍵は手に持っていた。素早く鍵を開け中へ入る。


 エステルも既に動力炉を取り出していた。机の近くまで行くと『カシュッ!』と言う音とともに動力炉を入れる穴が開く。エステルは手早くそれを穴に入れた。動力炉は奥の部屋にある石櫃にすい込まれていく。石櫃に淡い光がともると同時に机に操作パネルが現れる。


それを見たエクレアは、


「これは、パンナコッタだな・・・。」


 と言って、パネルを操作し始めた。暫く操作を眺めているとその設定も終わったのか、石櫃が光り輝きだした。


 その光が収まると皆で石櫃へ向かった。エステルが石櫃の近くまで近寄った所で蓋が大きく開かれた。


 中をのぞき込むと、そこにはやはり見た目14~15才位の中学生くらいの少女が眠っていた。肩位までのウエーブがかった緑色の髪が特徴の少女だ。


 目を閉じたまま、上半身をゆっくりと起こすと、その目をゆっくりと開く。しかし焦点は合っていないようだ。


「型式番号004、水のパンナコッタ、冒険者エステル = リトホルムをマスターと認証しました・・・」


 とそう言って覚醒した・・・。皆の見る目に気が付いて、目をしばたかせながら、


「あれ~?みんなどうしたの~?」


 ん?この間延びした口調懐かしいな・・・そんな事を思っていると、


「パンナコッタ久しいな・・・」

「姉ちゃん元気そうだな!」

「え・・・えと・・・お久しぶりです・・・」


「姉さんに~モンブランちゃん~チョコちゃんも~元気そうねぇ~」


「少し確認させてもらえんか?自分が誰なのか解るかの?」


 俺は申し訳ないとは思いつつ、姉妹の会話の途中で割り込ませて貰い質問した。


「ええ~。わたしは~カヌレ博士に作られた~対魔族用決戦ゴーレム~、型式番号004、水のパンナコッタですぅ~。」


 ふう・・・ここも無事に覚醒させることが出来たようだな。何とか一安心だ。

そう思いながらも、マスターになったエステルを紹介する。


「ここに居る妖精族の娘がエステルだ。よろしく頼んだぞ。」


「パンナコッタです~よろしくお願いします~」


 そう言ってペコリと頭を下げた。


「こちらこそよろしくね。」


 簡単な感じだったが一応の挨拶は終えた。口数が少ないもの同士なのだろうか?意思疎通が出来ているのかイマイチ理解が出来ない。


 さて、4人目のメイドゴーレムも覚醒させることが出来た。あと2カ所。どこまで遺跡の調査が進んでいるだろうか?


 第6号遺跡には調査団も派遣されたようだし。急いでハレックの街へ戻ろう。そう思いながら、皆に部屋の隅にある転移ポータルへ誘導して20階層へ移動た。そこで改めて20階層の登録を終えた所で地上へ戻った。すると辺りは大分暗くなっていた。


 冒険者ギルドの出張所へ行き、慣れた作業で15階層の隠し扉の報告を行った。

  

 宿へ戻ったら夕食だ。皆適当に好きなメニューを注文していった。パンナコッタには既に魔鉱石を与えてある。皆席について貰ったところで話をしていく。


「明日は王都経由でハレックの街へ戻るからそのつもりでな。ルステーゼで一泊する必要がある。6日間の日程だが男衆は移動の間、野宿を覚悟しておいてくれ。いくらゴーレムとは言っても女性の姿だし、見た目も人族そっくりだ。だから男性が使っていたテントを使って貰う。問題ないな?」


「焚火があれば寝られるでしょ?」

「僕も異議無し」

「同じく。」


「ではそう言う事で、明日の出発でハレックの街へ向かうと言うことで・・・」


 席には食事と飲み物が並べられていた。


「ひとまずの目的の完了を祝して・・・」


 俺が音頭を取る。


「「「「「「かんぱいっ!!!」」」」」」


 第5号遺跡と第6号遺跡が残っている。乗りかかった船はまだ途中だ。油断はしない。最後まで乗り切ってやろう!


 改めてそう心に誓った。


・・・ふと、ほろ酔い加減で火照った体を夜風で冷ましながら、マイ馬車をどんな構造にしようか思いをはせて、表を散策していると、風に紛れてこんな声が耳に入った・・・


「王都・冒険者ギル・・部が、「テーブルト・・・好会」って言・・・者を探して・・・しい・・・。何を・・・・たんだろうな?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 野営時に、周囲の商人や冒険者がクレクレしない所。 [気になる点] >そこで改めて20階層の登録を終えた所で地上へ戻った。 改めて登録する必要性? >すると辺りは大分暗くなっていた。 朝か…
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