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新装備そして第6号遺跡へ

 第5号遺跡から帰った翌日の昼過ぎ、パーティ全員で「ヤンの武具店」へ訪れていた。目的は新装備の受け取りの為だ。


「よう!待ってたぜ。武具は予定通り準備出来てる。早速装備してみてくれ。」


 そう言って、それぞれの武具の入った箱を手渡された。とは言っても5人分の試着室は無い。順番に試着していく。


「これ凄い!」


 試着したブリットの第一の感想だ。


 俺も着てみて驚いた。俺の装備はプレートメールだが、今まで装備していたものよりも断然軽い。皆も防具や武器の確認をしていく。


「素材の魔鉱石にミスリルを入れた複合素材だ。出来るだけ良さを引き出せるようにしてある。レベル50まで使っても遜色は無いだろう。」


 親父さんは満足げにそう言った。


「皮鎧は中に魔鉱石とミスリルの複合素材を仕込んである。鎖帷子も同様の素材だ。」


「防具の重さをほとんど感じないね。」


「ブレストアーマーも軽いです。動きやすくなってますし、素晴らしい仕上がりです!」


 皆口々に親父さんをが作ってくれた新装備を絶賛する。確かにこれだけの装備を1ヶ月で準備してくれたのだ。感謝しても仕切れない。


「エイナルの兄ちゃんは他の皮鎧と少し替えてある。音も出ないように防音の付与魔法を追加しておいた。」


 確かに見た目の皮部分が他の皮鎧よりも広く取られている。例えて言うならライダースーツのようだった。致せり尽くせりだ。


「親父さん良い武具を作ってくれたな。これで心置きなく第6号遺跡へ向かえる。」


「何だ?第6号遺跡は厄介なのか?」


「ああ、アンデットの巣窟らしい。魔法の武器で無いとダメージが通らないって話だ。」


「そう言うことか・・・だったら今回の装備は打ってつけの場所だな。」


「そう言うことだ。」


 今回「ヤンの武具店」の親父さんが用意してくれた装備は全て魔鉱石とミスリルの複合素材をメインとしている。


 魔鉱石とミスリルは元々相性が良いらしく、魔力を通しやすいとのことだ。


 武器は俺とエステル以外はその素材で出来ている。付与魔法も軽量、切れ味、血糊浄化など、その武器に必要な付与がされている。


 防具に関しても、見た目は皮鎧でも、中に魔鉱石とミスリルの複合素材が仕込まれていた。鎖帷子も同様だ。どれも軽量と防御の付与が施されていた。


 新装備で浮かれてはいるが、第6号遺跡の後には第4号遺跡の最深部への攻略が待っている。その状況によってはまた各遺跡を巡らなければならない。もっとのんびりしたいものだ・・・。


 ブリットに至っては、


「チョット慣らしてくる!」


 と言って、冒険者ギルドの練習場へ駆けて行ってしまった。すると他の皆も同様に慣らしに出掛けてしまった。


 俺は親父さんへの挨拶もそこそこに、冒険者ギルドへ向かう羽目になったのだった。


「あっ!ヨーンさんこんにちは~。今日もマスターですか~?」


「それもあるが、練習場の使用許可を貰いたい。」


「何時使用します~?」


「今すぐだ。」


「急ですね~まあ誰も使ってないので問題ありませんが~」


 そう言ってあっさり許可を取り付けて、使用料を支払った。その会話が聞こえていたのだろう。セディット氏が顔を出した。


「昨日はお疲れ様でした。」


「ああ、ところで、第6号遺跡へ行く定期便は何時出発になる?」


「昨日の今日でもうその話ですか?一応2日後に出発の予定ですが、街道がまだ完全には整備されていないので1日ズレる可能性もあります。」


「皆も行く気があるようだから、一応ワシたちが行くことを念頭に置いて貰えると助かる。」


「解りました。で、そのう~・・・。また地図の件お願いしても良いでしょうか・・・?」


「それは構わないが、今の進捗状況を教えて貰えないか?」


 そうすると、応接室へ案内された。


「第6号遺跡はアンデットの巣窟の為、第5号遺跡ほど進んでいない状況です。」


 そう言って見せて貰った地図は、10階層のフロアボスの所までだ。フロアを網羅しているのも、5階層までだった。


「確かに第5号遺跡ほど進んでいないようだな・・・通常武器が通じないアンデットであれば、専属の探索チームとかは組まないのか?」


「その申請は今しているのですが、もう少し時間が掛かりそうですな。」


「まあ、ワシ等も10階層までは頑張ってみるとしよう。」


「そうして貰えると助かります。」


「じゃあ、ワシも練習場を借りるとしよう。新しい装備を慣らしたいからの」


 そう言って席を立った。


 練習場へ行ってみると全員で稽古をしていた。皆動きが良い。この新しい装備に見合った働きをしないと親父さんに申し訳ない。実践に対応出来るよう練習に励んだ。


 夕食の時、第6号遺跡へ行く件を皆に伝えた。皆やる気満々だ。明日は自由行動として2日後に出発の予定であることを伝えた。


 しかし、虫や爬虫類には過剰に反応していた女性陣だったが、アンデットに関しては特に苦手意識は見られない・・・大丈夫なのか?


 聞いた方が良いか悩ましい所だが、無闇に藪は突かない方が良いだろうか?そんな事を考えていたら、エリックが藪を突いてしまった。


「ブリットさんとエステルはアンデットは平気なんですか?」


 するとブリットが、


「実際見たこと無いし実際に会ってみないと解んないなぁ~」


 と言っていた。うーんどう反応して良いのやら。



 当日は予定通り第6号遺跡へ向かう馬車は用意された。事前に遺跡の地図も預かっている。本来であれば2日間の道程だが、前回のこともある2日半か3日かかることを覚悟した方が良いだろう。


 途中までは街道も整備されていたが、森の中を入って直ぐに悪路と化した。


 第6号遺跡がアンデットの巣窟であることは周知の事実であるようで、この隊に素人と思われる冒険者はいなかった。


 森の中で一泊したが予定通りには進んでいないようだ。ただ、第5号遺跡へ向かっていたときほどの遅れも無いとのことだったので、旨く行けば遅い時間になっても第6号遺跡へ明日中には到着出来るかもしれない。そんな期待をしつつ、野営の準備を進めたのだ。


「もう野営も手慣れたモンだね。」


 誰とも無くそんな話になった。


「この魔法道具のお陰もあるがな。ただ皆自然と役割分担をこなして行っているのは、確かに手慣れたベテラン冒険者に見えるな。」


 この世界に来てどのくらいの月日が経ったのだろう・・・TRPGのようにのんびり依頼をこなすことを想像していたら、自分から厄介ごとに首を突っ込んだ気分だ。


 石橋は叩いても渡らないをモットーとしていた俺からすれば、叩いて渡ろうと決意した辺りから流れが変わったような気がする。って最初の方じゃ無いか!?


 まあ、ここまで来れば「ナントカを食らわば皿まで。」と言うものだ。そんな事を考えながら1日目の野営を過ごしたのだった。


 2日目は順調とまでは行かなくとも、御者の話ではギリギリ第6号遺跡に着けるという話だ。辺りも暗くなり始めた頃、御者の言うとおり第6号遺跡に到着出来た。


 辺りを見渡してみると、冒険者の数が第5号遺跡よりも少ない。そんな感想を持ちながら、冒険者ギルドの出張所の掘っ立て小屋へ登録をしに行った。登録を済ませた後は野営の準備だ。慣れた手順で設営を済ませる。


 もう暗くなってしまっていたので、狩りは止めにした。のんびりたき火を囲いながら干し肉をかじる。そして打ち合わせだ。地図を広げて、5階層の隠し扉の場所を教える。6階層より下は虫食い状態だった。


「これ6階層から埋めてくの?」


「いや、あくまでも目的は10階層の隠し通路だ。そっちを優先したい。でだ、エステルの魔物よけの魔法はアンデットにも有効か?」


「多分大丈夫だと思う。」


「じゃあ、明日は初回から魔物よけの魔法で進めていかないか?」


「え~!それはやだなあ・・・せっかく新調した武器がお披露目出来ないじゃ無い。」


「そうは言うが時間が勿体ない5階層までは魔物よけの魔法を使って行った方が効率も良いですよ。」


 意見は割れたが最終的に魔物よけの魔法に頼ることで決着した。


 翌日は朝から遺跡へ侵入した。魔物よけの魔法のお陰で遭遇することも無かった。5階層の隠し扉を見つけ宝箱も回収し、一気に10階層まで進めた。


 ここからが本番だ。俺の記憶を頼りに方角と照らし合わせてルートを進めていく。モンスターとの遭遇が無いので進めやすい。


 どうにか半日掛けて隠し通路へつながる道を見つけ出した。エイナルも慣れた手つきで隠し通路を見つけ出す。


「結局6カ所全部同じ仕掛けだったな・・・」


 エイナルはそんな感想を漏らした。隠し通路を通り小部屋へと入る。そこにはやはり過去の5カ所と同じように小箱が置かれていた。

 

 中を確認すれば直径15センチ程の「球体」が入っていることだろう。万が一もあるので中身を確認する。うん、やはり入っている。小箱をエイナルに預け各自通路を後にした。


 10階層のフロアボスは全長5m程のアンデッドドラゴンだ。その取り巻きは全長3mのアンデッドドラゴンという情報だ。


 中ボスクラスに効果があるかは解らないが、初手はヘンリクのターンアンデッド。その後方にはエステルのファイヤーアローを控えさせた。さらにエリックの光魔法を準備して、後方支援三段構えにした。


 前衛組は攻撃の準備を整え、ヘンリクのターンアンデッドを待つ。そして解き放たれたターンアンデッド。取り巻きのアンデッドドラゴンが3体浄化された。


 続いてエステルのファイヤーアローが火を噴く!取り巻きのアンデッドドラゴンがこれで全滅した。エリックの光魔法はアンデッドドラゴンに命中する。中級精霊の攻撃だけあって大きなダメージだ。


 エステルが次の魔法を放つ準備をしている間に前衛が飛び出す。ヘンリクは俺とブリット、エイナルに武器を神聖化する魔法を唱えてくれた。神聖化した武器による攻撃はすさまじかった。ドラゴンに接敵すると同時にブリットとエイナルは足を集中的に攻撃する。俺は尻尾に攻撃をしていく。


 結論から言おう。あっさり倒すことが出来た。


 ブリットの装備が充実したお陰で、三連撃を使いこなせるまでになったのだ。俺の攻撃も難なく尻尾を切り落とせた。バランスを崩し身動きが取れなくなったドラゴンへ一方的な攻撃を仕掛けて討伐となった。ドラゴンと聞いて最大限の警戒をしていたのに名前負けのような感じだった。


 11階層へつながる階段の途中にある踊り場で転移ポータル登録し、地上へ戻った時は丁度夕方だった。


 この第6号遺跡で今やれることはやった。明日からは地図の更新の為の時間だ。残りの3日間でやれる所まではやっておこう。そう思いながら、野営の準備を進めた。

 今夜は時間に余裕がある。冒険者ギルドの出張所で地図の更新を行いつつ、宝箱の提出をした。まだ引き取る為の準備が出来ていないとのことだったので、持ち帰る事にした。


 これも「ヤンの武具店」の親父さんに預かって貰おう・・・


 その後、ブリットとエイナルは狩りに出掛けた。エリックとエステルは薪を拾いに、俺はたき火の準備をする。いつもの光景だ。


 迎えの馬車が来る3日間で、6階層と7階層の地図を埋める事が出来た。これもエステルの魔物よけの魔法のお陰だ。ブリットは最後までブツブツ何か言っていたが、聞かなかったことにしよう・・・。


 予定通り向かえに来た馬車に乗ってハレックの街へ戻った。到着は予定より少し遅くはなったが予定日の夜には到着出来た。



 「鹿の角亭」で夕食を取りながら、反省会と今後の行動方針を決めていく。


 反省はブリットにせっかくの新しい武器の使い所が無かったことをネチネチ言われたことだ。それ以外は特に問題は無かった!


 今後の方針については前々から話していた、第4号遺跡の11階層以下への進出だ。滞在期間は7日間その期間で何処まで進む事が出来るかは不明だ。


 まあ取りあえず皆頑張ったご褒美に2日間の休息を取ることにした。


 そして3日後に第4号遺跡へ向かうことに皆も同意した。ただ今レベル31、目指すはレベル40!向かうは20階層の隠し通路!出来るだけ早くボチボチ頑張ろう!



 翌日は朝から冒険者ギルドでセディット氏と会っていた。第6号遺跡の報告と第4号遺跡の地図の入手の為だ。


「いやまさか、6階層と7階層の地図を埋める事が出来るとは!」


 と喜んでくれていた。アンデッド専門部隊も派遣が決まったようだから、探索もこれから進んで行く事だろう。


「それで、2日後に第4号遺跡へ向かいたいのだが、最新の地図は前と変わってないのかのう?」


「そうですね。20階層より下はほとんど進んでいません。」


「そうか・・・もし21階層へ行けそうだったら挑戦してみよう。」


 チョット期待を持たせつつ、冒険者ギルドを後にした。


そして、「ヤンの武具店」に魔鉱石100kgを持ち込んだ。


「うちは倉庫じゃねえっ!」


 っと怒られた・・・。だけど預かってくれる親父さんはやっぱり憎めない。

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