第2号遺跡と第3号遺跡を探索・・・
第1号遺跡の探索を追えた翌日、俺たちは第2号遺跡に向けて出発した。第2号遺跡までは1日半の道程だ。途中野営を挟んだ翌日の昼に第2号遺跡へと到着した。
ここでも、冒険者ギルドの出張所で登録を済ませる。他でも注意事項は聞いていると話したら割愛してくれた。
今回も今日中に5階層まで済ませ、明日10階層へ挑戦するスケジュールだ。
今までの2回を踏襲するのであれば、モンスターの出現パターンやその種類の偏りが予想される。
今回は念のためと思い、初日から地図屋とコンタクトを取った。確認した情報によれば、予想通りモンスターの出現パターンは他の2カ所と一緒だった。
問題はその出現するモンスターだった。そのモンスターのを聞いた瞬間に、ブリットとエステルがどん引きしてしまった。
何故かというと、出現するモンスターの種類が、昆虫型だというからだ。
その話を聞いた彼女たちの第一声は、
「「足が多いのはダメ!」」
「Gも昆虫よね?・・・もし出たら私絶対無理よ!?」
そう言って自分の体を抱きしめながら震え上がる女性陣の姿だった・・・。
そう言えばこの世界に来て「G」は見た事無いな・・・?
「そう言えば昔、ソウルへ行った時、お客さんと一緒に裏屋台へ飲みに行ったんだよ、そのとき出てきたおつまみが、何かの虫をフライパンで煎ったおつまみだったっけなぁ・・・あれはタガメかゲンゴロウか・・・」
そのときは酒の勢いで食ってみた覚えがあるが、無茶苦茶マズかったことを覚えている。
「それ今言うこと!?」
あ・・・ブリットが涙目だ。悪いことしちゃったな・・・
「いや・・・つい思い出しちゃって・・・」
しかし攻略しない訳には行かない。ここは無理を承知で付き合って貰う事にした。
しかし、パーティの編成は変更だ。前衛は俺とヘンリク、中衛をエリックとエステル、後衛をエイナルとブリットにした。遭遇したモンスターはムカデや蜘蛛、カブトムシやクワガタ等様々だ。倒せば塵となって消えるのが救いではあるが、苦手意識がそうそう拭えるものでは無いだろう。
女性陣が可哀想だったので、5階層まで全速力で駆け抜けた。予定のポイントで隠し扉を見つけ魔鉱石をすぐさま回収した。
転移ポータルで地上に戻るまでに要した時間は3時間程だった。冒険者ギルドの出張所に報告と転売を行い、初日はこれで宿に入る事にした。
俺たちが宿に入るなり、
「「ゴメンナサイ・・・」」
ブリットとエステルは、男性陣に謝罪してきた。
「明日は元の編成に戻して。絶対克服するから!」
「私もがんばる!」
二人とも苦手を克服すると、みんなの前で宣言した。
「無理をしなくても良いんだぞ?」
俺はそう言うと、
「そういうわけには行かない!10階層にはもっと厄介なフォロアボスだっているんでしょ!?今克服しないでいつ克服するの!?」
克服したいという気持ちは解らない事は無い。冒険者をしていれば何時どんなモンスターに遭遇するか解らない。
そんな時に役に立つ事が出来ないなんて事には、なりたくないのだろう。
「解った。明日の編成はいつもに戻そう。ただし、戦闘が難しいと判断した場合は今日の編成に戻す。それで良いか?」
ブリットは納得してくれた。
翌日はいつもの編成で5階層から再スタートした。8階層以降になると大型化したムカデや蜘蛛が徒党を組んでやってくる。
やはりブリットの動きが精細さに欠ける。しかし、克服しようと頑張っているのも解る。
俺の攻撃が当たらなかった頃ではこんな戦闘では話にならなかったが、今では俺の攻撃も当たるようになった。
出来るだけブリットをサポートしつつ10階層にある隠し通路を目指す。到着すると、エイナルが慣れた手つきで隠し通路を開けた。ここまでは予定通り。通路を進むと見慣れた小部屋があった。その中央には「球体」の収まった小箱がある。中身を確認してブリットに預けた。
残すは10階層のフロアボスだ。情報によると、ここのフロアボスはカブトムシとクワガタと言っていた。問題はどれだけ大きいかだ。大きさによっては物理攻撃では刃が立たないだろう。
フロアボスの居る部屋をそっとのぞき込むとそこに居たのは全長3m程のカブトムシ。周りには4匹の、挟まれたら一発で真っ二つにされそうな立派な角を持った、ノコギリクワガタだろうか?がいた。
こうなったらいつものように、エステルの攻撃魔法を頼るか・・・。
「エステル。ファイヤーボールはいけるか?」
「え!?だけど危ないんじゃ・・・」
「今回は気にするな。あんなデカいカブトムシに武器を切りつけても、大したダメージにならない。ファイヤーボールを打ち込んでダメージを与えてから切り込む。」
そう言うと、エステルは魔法の準備に取りかかる。いつでも飛び出せるようにこちらも準備をする。
「ブリット大丈夫か?」
「あれくらい大丈夫。克服するよ!」
エステルも準備が出来たようだ。発動の合図を送る。すると、火の玉は狙い違わず群れの真ん中に落下して、
『ド-------ンッッッッ!!!!』
そこを中心に大爆発を起こす。
クリティカルだ!
爆風を壁越しに堪え、熱風が収まるのを確認してから中をのぞき込む。
そこにはひっくり返ったカブトムシがジタバタしていた。クワガタもひっくり返っていたがピクリとも動かない。どうやらカブトムシ以外は一撃で仕留める事が出来たようだ。生き残ったカブトムシが起き上がる前に倒さなければ!
すぐさま飛び出しカブトムシへ攻撃を加える。起き上がれなくする為に、まずは全ての足を切断した。そのあと首の付け根を狙い集中攻撃を仕掛けること数分、カブトムシの討伐に成功する事が出来た。
甲殻類の頑丈さを思い知らされる一戦だった。
11階層へ向かう途中にあるおどり場の転移ポータルで地上へ戻った時には夕方だった。
冒険者ギルドの出張所で冒険者カードの更新を行った。レベルは2つ上がっていた。これでレベル30だ。
本来なら15階層まで行けるレベルに達したと言う事だ。ブリットやエステルは精神的にも疲れただろう。
「これでもう昆虫はバッチリよ!」
ブリットは自慢げにそう宣言した。
「私も!見つけた時にはファイヤーボールで焼き払う!」
何か間違っているような気もするが、克服出来たというのならそれで良かったのだろう。
「じゃあ蛇とか蛙なんかが出てきても安心して任せられるな。」
そう言うと、
「「それは昆虫じゃ無い!」」
二人に突っ込まれた・・・。
まあ、それでも夕食後は、二人にはゆっくり休んで貰った。明日は第3号遺跡へ向かう。
「ヨーンが昨日余計な事を言うからこんなことになるのよ!」
俺は今ブリットにアイアンクローを食らっている・・・爪が食い込んで地味に痛い ・・・
どうしてこうなった?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
第2号遺跡の10階層を攻略した翌日、第3号遺跡へ向けて出発した。
今回の旅の最終目的地だ。第3号遺跡までは1日の行程だった。予定通り夕方には到着した。
冒険者ギルドの出張所へいつものように登録へ出向く。説明は割愛だ。
明日1日で何処まで攻める事が出来るかが勝負だ!気合いも入る。
エイナルに頼んで地図屋から情報を手に入れて貰った。
その情報によれば、モンスターの出現は今まで通り。出現するモンスターは・・・
爬虫類・両生類?っていうと、蛇とか蛙とかカメレオンとかワニとかの?
俺の後ろから2つばかり強い殺気が生まれている・・・
まさか昨日の冗談が本当になるとは・・・。
そして、ブリットから強烈なアイアンクローを頂戴する事になったのだった。
「まあ、昆虫も克服したし、何とかするわよ!」
とブリットはプリプリしながらも息巻いた。しかし、エステルの顔色は優れない。
「カエルはダメ・・・子供の頃、男の子達に悪戯されてからカエルが苦手で・・・」
どうやらトラウマがあるらしい。どうしたものか・・・
エステルをここに残して遺跡に入る訳には行かないだろう。俺が頭を抱えていると、ブリットが、
「もしダメだったらここに残っても良いのよ?」
と言った。するとエステルは
「それはダメ!カエルはイヤだけどみんなと行動する!」
力強く宣言した。
「いいのか?」
俺が再度確認する。
「うん。頑張る!」
エステルの決心は固いようだ。ダメな時にはみんなでサポートしよう。そう決意した。
夕食ではいつもの打ち合わせだ。但し今回は少し違う。出来れば明日中に10階層のフロアボスまで片付けたいのだ。フロアボスはワニだという。それならエステルも戦闘に加わる事は出来るだろう。
問題は道中のカエルへの対処だ。今回は最初から3人前衛で対応する事になった。7階までは問題も無いだろう。
8階以降複数のモンスターが出現する所からが要注意だ。またカエルのサイズがどれほど大きくなるのかも気に掛かる。その辺りも含めてカエルが出現したら出来る限り瞬殺する方向で話は纏めてその日は解散となった。
翌日、朝イチから第3号遺跡の攻略を開始だ。5階まで一気に掛け進み、手慣れた手つきでエイナルが隠し扉を探し出す。中にあった魔鉱石を魔法鞄に仕舞い、10階まで駆け抜ける。途中カエルのモンスターも出現したが、俺とブリットで瞬殺した。
8階層で5匹の大カエルが出現したときは、怯えながらもエステルも意を決したようにファイヤーアローを放ってくれた。
10階層に到着したのは攻略開始から四半時ぐらい経ったくらいだった。
これもマップがあったお陰のようなものである。早速隠し通路のある場所まで移動し、エイナルが扉の開閉装置を見つける。
いつものように、四角く切り取られた扉から、空気の漏れる音ともにスライドする。隠し通路を進み、小部屋にあった小さな箱を開ける。ここにも直径15cmほどの「球体」が保管されていた。それを素早く回収し、エステルに預けた。
これであとは最後の難関、フロアボスの攻略だ!今回はエステルに、炎系では無く、氷系の魔法を注文した。確認すると中級魔法のアイスストームがあるという。冷気に弱い爬虫類には打ってつけだ!
エステルに魔法の準備をして貰う傍らでこちらも戦闘の準備を行う。
そうしている内にエステルの魔法の準備が整ったようだ。合図を送り魔法を発動して貰う。フロアの中は猛吹雪が荒れ狂った。気付くとワニたちは動かなくなっていた。
前衛は動かないワニたちにとどめを刺していく。俺はボスワニに攻撃を仕掛ける。表皮が硬いが刃が通らない訳では無い。エステルは続いて前衛の武器に魔力付与の魔法を掛ける。さっきより刃が良く通るようになった。取り巻きのワニたちを片付けたブリット達もボスワニへ取り付いた。
ボスワニは冷気で弱りつつも、尻尾で反撃をしてくる。それを俺のシールドが受け止める。動きが止まった所に斧を振り下ろし、ワニの尻尾を切断する。
戦う事15分位掛かっただろうか・・・ようやくボスワニを仕留める事に成功した。
思いの外手こずった。戦い方が間違えていたのだろうか?と反省しつつも、10階の転移ポータルへ移動し地上へ戻った。辺りはすっかり暗くなっていた。
俺たちは冒険者ギルドの出張所に隠し扉の報告をし、魔鉱石を売却する。今回計3つを売却したが結構なお金になった。そしていつものように、冒険者カードを提示する。
上がったレベルは1つ。これでレベル31になった。目標のレベルまであと19だ。次はどうやって上げようか考えていると、
「みなさん4カ所全部廻ってるんですね。だけど最近新しい遺跡が2カ所発見されたそうですよ?全部廻るなら新しい遺跡も行ってみてはどうですか?」
出張所の受付の人がこんなことを言った・・・
どうやらセディット氏が動いたようだ。予想通り遺跡も発見出来たようだ。思惑通りに行った事に内心ほくそ笑むも、最新の情報が欲しい。
王都経由でハレックへ戻るのだから、一度王都の冒険者ギルドの本部へ行って、マーリン嬢に会ってみるのも良いかもしれない。
みんなと顔を見合わせてニヤリと顔を見回した。自分が仕掛けたこととはいえ、みんな悪い顔になっていた・・・。




