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第4号遺跡に探索へ行ってみたら・・・

 馬車は第4号遺跡に向けて進んでいる。


 馬車は1台だけで無く3台編成だ。俺たち以外にも冒険者はいた。ベテラン冒険者がいる。新米と思われる冒険者もいる。馬車の揺れに耐えられずリバースする冒険者もいた・・・大丈夫か?


 真ん中の馬車には行商人と思われる人たちの乗る馬車がある。

 う~ん台数口のバスツアーみたいだ。

 そんな事を思いつつも道中は順調、特にトラブルも無く野営地へ到着する。


 この野営地は、元農村だった場所だ。既に朽ちていたが、村人は皆、第4号遺跡に村を築いているのだと言う。確かに冒険者が滞在する村の方が潤うだろう。


 俺たちの野営は、先日手に入れた魔法のテントや魔法のナイフを活用させて頂いている。


 とても便利だ。魔法の水嚢があれば、いくらでも水は出せる。ニーニャのおかげで食料になる獲物には苦労しない。魔法の食器を並べて夕食を頂く。


 周りの目が気になるが、そこはゴメンナサイだ。


 最初は突っ掛かってきたベテラン冒険者達も、手慣れた手つきで野営の準備をしていた所を目の当たりにして、翌日には態度を急変させていた。


 2日目の夕方に、第4号遺跡に到着したが、そこは既に村という感じでは無く、チョットした街となっていた。


 早速、冒険者ギルドの出張所に顔を出す。


 1週間の滞在を申請した。ギルドからは、滞在中の注意事項などをレクチャーされた。この日は遺跡に入れる時間でも無かったので、宿屋を紹介して貰い、そこで明日からの予定を皆と相談した。


「明日はいきなり5階層まで目指しちゃう?」


 ブリットのぶっ飛んだ話からスタートしたが、


「いや、いや、そもそもモンスターがどれほど強いかも解らずに、無策に突っ込む訳には行かないでしょう。」


 ヘンリクの意見は正論である。事前に調べた情報を元にすれば、やれなくも無いかもしれないが、最初の2日は、3階層くらいでモンスターの傾向を見守りたいというのが本音だ。


「ちぇ~・・・」


 本気で言っていたのか残念がるブリット。


「まあ、最初の2・3日は半分の3階層あたりでモンスターの出方を見よう。パーティの編成も十分か解らんし・・・」


 今の俺たちの編成は、前衛ヨーン・ブリット、中衛エステル・エリック、後衛エイナル・ヘンリクだ。


「マップを見た所、2列の隊列は問題ないでしょう。安全地帯らしき所もありますね?どれほどのモンスターが出るか解らないし、最初は予定通りの隊列で進みましょう。」


 遺跡探査は今回が初めてなのだ。2列で行動出来るかも解らない。バックアタックが頻繁に起こるかも解らない。


 しかしまあ、モンスターが魔鉱石を落とす?何のMMORPGだ?そうなれば、モンスターがポップする可能性も出てくる。そうなって来ると、既に自分達の知るTRPGでは無いのだ。


 それに気になる事もある。ふと、先日手に入れた宝箱から失敬した黄金の鍵を取り出して見つめる。


「その鍵持ち歩いているんですか?」


 エリックが聞いてくる。もちろん魔法鞄にしまってだが。


「ああ、王都での最終日のパーティーで、あの洞窟が古代魔法大国期の城跡だったかもしれないと言っておっただろ?この鍵が何か遺跡のヒントになっているのでは無いかと思ってな・・・考えすぎか?」


 俺は黄金の鍵を魔法鞄に仕舞い直す。


「まあ、先日の話ではありませんが、私たちの今回の目的はあくまで何処までこのパーティで遺跡を進められるかです。そして、出来ればレベルアップを目指すと言う事でしょう。」


 そう言ってヘンリクが話を締めくくる。


「そうじゃな、明日は朝イチから遺跡に挑戦するとしようかの。皆早めに休んで英気を養ってくれ。」


「りょうかい~!」


皆も元気に返事をしてくれる。



 そして翌日、初の遺跡探索を行ったのだった。

 

 入り口でも冒険者カードの確認が行われた。そして名前を控えられる。厳重なものだ。


 降りる前に魔法のランタンを用意していたら、冒険者ギルドの職員から、ランタンの必要が無いと言われてしまった。


 よく見ると、周りの冒険者も、ランタンや松明を持っている者は一人も居ない。


 その理由は1階に降りた所で解った。薄明るいのだ。俺たちのパーティで明かりが必要なのはヘリンクだけだが、これだけの明るさがあれば問題ないだろう。


 通路も意外に広かった。いざとなれば3列でも対応出来るだろう。3列の場合は前衛にヨーン・ブリット・エイナル、後衛にエステル、エリック・ヘンリクとなる。


 マップを確認し下の階層へ向かう階段を目指す。その間に5回程、モンスターに遭遇した。モンスターは小動物のようだ。ウサギみたいな魔物や、猫みたいな魔物にも遭遇した。


 倒したモンスターは塵となって消え去った。そこには何も残らない事もあれば、小さな小石を残していく事もあった。この小さな小石が魔鉱石なのだろう。俺は魔法鞄にドロップした魔鉱石を仕舞っていった。


 地下2階も同様だった。目的の地下3階までは、2時間かからなかっただろう。


 遭遇するモンスターはこの地下3階で少し毛色が変わった。サイズが少し大きくなったのだ。と言っても、中型犬くらいだが。安全地帯らしき所を見つけ、そこで皆と相談する。


「思いの外順調だったな?どうする?予定より大分早いが下を目指すか?」


 俺が提案するとブリットは賛成した。


「この階層じゃあ歯ごたえがなさ過ぎるよ。」

「じゃあ、もう一つ下の階層を目指してみるか?」


 全員異議無し、と言う事で地下4階を目指した。地下4階と言えばレベル8相当のモンスターと言う事だ。まだ余裕はあるだろう。


 遭遇するモンスターも決まって1体なのだ。余裕で屠っていく。魔鉱石も階層が深くなっていくとサイズも大きくなっていくようだ。とは言っても小石程度には変わりは無い。何か変わった事は無いかと注意をするものの、今のモンスターも地下3階のモンスターを少し強くしただけだった。


 パーティも地下5階を目指そうと言い出した為、それに従った。地下5階のモンスターはさらに大型化していた。さっきまでが中型犬クラスと言えば、ここからは大型犬だ。しかし、遭遇する時は1体しか現れない。


 1体というのが気になる。どこかで複数体になるんじゃ無いかと疑いたくなる。でなければ、20階層止まりというのがおかしい。ここでも遭遇したモンスターはブリットと俺で片付いてしまった。中衛と後衛はすることが無い。


 ただ折角5階層に来たので、隠し扉の確認だけは行うようにした。入念に調べてみると、案の定隠し扉は見つかった。エイナルが開けようとするものの、ここは自重して貰った。初挑戦でいきなり発見となると騒ぎになりかねない。隠し扉を開ける事はしなかった。


 5階層には地上に上がる転移ポータルがある。その場所を確認して、さらに地下6階層を目指す事になった。


 ここまで来るとモンスターもレベル12相当と同等となる。今の俺たちと同ランクと言う事だ。


 慎重を期す為、5階層に戻りやすい所で遭遇を待ち構える。どのくらい待っただろう。


 大型の狼のようなモンスターが3体で襲ってきた。どうやらこの6階層から複数で遭遇するようになっていたようだ。ふざけた話だ。5階層まではお試しってか?俺はすぐさま盾を構え狼の鼻面へヒットするように迎え撃った。怯んだ所をブリットが斬りかかる。おなじみのコンビネーションだ。


 後方ではエステルがファイヤーアローを、エリックは火の精霊を残った狼へ放つ。さらに追い打ちを掛けるように、俺とブリット、エイナルがそれぞれ担当した狼を切り倒していった。


「ヨーン!攻撃当たったね!」


 ブリットが喜んで駆け寄ってくる。

 えっと・・・確かに・・・当たったね・・・

 嬉しいのだが、戦闘直後で実感が沸いてこない・・・


 その後何度かモンスターとの戦闘をこなしたのだが、6階層でも十分戦えると判断し、ここを拠点として、今日一日経験値稼ぎに勤しんだ。


 一通りの戦闘をこなしてそろそろ頃合いと判断し、5階の転移ポータルから地上に戻った。


 地上に戻ってみると、すっかり夜になっていた。慌てて冒険者ギルドの出張所へ向かう。そこで今日得た魔鉱石を売り払い、冒険者カードの更新を行った。


 驚いた事に今日1日でレベルが2つ上がっていた。前回が上がる直前だったのだろうか?


 そんな事を思いつつも宿へ戻り夕食を取った。


「冒険者ギルドの人、ビックリしてたね。」


「まあ、あれだけ魔鉱石を持って帰ってくるのは今まで無いって言ってたから、ニーニャ様々かな?」


「幸運値の上昇のおかげでドロップ率が上がっているからねぇ~。もっと敬い賜え~。」


 ニーニャが天狗になってしまった・・・エステルも調子に乗ってニーニャにウインナーを献上していた。ほほえましい光景?だ。


 もしかしてこっちが受けるかもしれなかった攻撃を、そつなく防げたのもニーニャのお陰なのかもしれない。


「さてと、目出度くレベルも2つ上がって14になったけど、明日はどうする?7階層を目指すか?」


 俺は皆に意見を求めた。


「正直、今日の6階層でもさほど苦戦はしませんでしたからね。傾向から言って、2階層ごとにモンスターのサイズが徐々に大きくなっていっていました。そして、6階層で複数の出現でした。サイズの傾向を考えると、7階層はもっと大きくなるかもしれませんね?」


 ヘンリクは後方に居たので、その辺の傾向を詳しく見ていたようだ。


「その辺の事が解る情報屋って居ないのか?」

「地図屋が居たぐらいだ。情報屋も居るだろう。」

「明日出発前に調べてみよう。」


 エイナルはそう言って、果実酒をあおった。大分酒にも慣れたようだ。


「明日7階層へ行くなら帰りに、5階層の隠し扉を開けるぞ。」


 俺はそう言った。確かに戦闘特化のダンジョンではレベルアップの効率が良い。さらに下の階層が目指せるのであれば、上の階層の隠し扉をいつまでも放っておく訳には行かなかった。



 2日目の朝、情報屋を探した。そうしたら、地図屋が情報屋も兼任していた。これには参った。


 信用のおける最新の地図なら持っている。地図屋から地図を買わなければ情報は得られない。無駄金だと承知しつつも地図屋から買った・・・


 そして7階層の事を聞いてみた。そうしたら意外な回答があった。サイズは6階層と同じ。モンスターの数が増えるとの事だった。大型化は8階層からだというのだ。


 そう言うことならばと、転移ポータルを使い5階層まで一気に移動した後、6階層を踏破し、7階層を目指した。


 7階層のモンスターは5体1組が最大だった。戦闘においては3人フォーメーションで対応する。俺の攻撃は一撃必殺だった。筋力にものを言わせて殴りつけるように振り下ろされるバトルアックスは、大型犬ぐらいでは真っ二つだ。ブリットの素早さには、たとえ狼のモンスターでもついて行けない。既に2連撃の域に達していた。俺はヘンリクをシールドで庇いつつ、反撃のチャンスを作る。


 後方では相変わらすホーミングミサイルのようにエリックとエステルの火魔法が炸裂している。


 2日目も危なげなく終了した。5階層の隠し扉は予定通り発見した事にして、お宝をゲットしたのだった。


 地上へ戻り、冒険者ギルドの出張所で5階層の隠し扉の報告と宝箱の回収の件を報告した。拡げた宝箱の中身を確認すると、魔鉱石100kgの塊だった。


 それを確認した受付のお姉さんはひっくり返っていた・・・売却するか確認されたがこれは取っておく事にした。なぜなら、今日もレベルが2つ上がっていたからだ。


 これでレベル16だ。明日は8階層を目指す。


 その後レベル20になるのには3日掛かった。



 6日目、10階層を目指す事になった。ここまで色んなモンスターと戦った。8階層からサイズが大きくなると言われていたが、確かに大きくなっていた。動物型ばかりで、牛や馬のサイズだ。それがもの凄い勢いで襲い掛かってくる。


 こちらも応戦の仕方を変えた。発見したと同時に、エステルの全力ファイヤーアローを遠距離攻撃でブチ込んだ!そうして数を減らしてから各個撃破していった。エステルにはファイヤーボールを打ちたいと散々泣き付かれたが、ファイヤーアローであの威力だ。中級魔法のファイヤーボールでは、こちらも犠牲になるだろう・・・


 10階層には隠し通路の先に隠し部屋が存在するはずだ。モンスターを撃破しつつ記憶の中にある隠し通路の場所へ皆を案内する。


「エイナル、この辺りをくまなく探索してみてくれ。」


 エイナルが探索をしている間、皆は周辺を警戒する。


「あった!これだな。開けても良いのか?」

「ああ、今回はこのまま行く。」

「よし開いたぞ!」


 そして今まで壁だった場所が四角く切り取るようにへこみ『プシュッー!』と言う空気の抜ける音とともに横へスライドした。


 そのまま通路を進むと一つの小部屋に行き当たった。部屋の中心には台座があり小箱が置かれていた。


 過去の同じ轍は踏むまいと、入念に罠のチェックをするエイナル。特に罠は発見出来なかった。小箱を開けてみると中には直径15センチ程の球体の物体が入っていた。


「これは何だ?」


 俺はそれがなんなのか解らずそう呟く。


「ボール?」


 ブリットも解らないといった風に同調した。


「何か複雑な模様が描かれているな?」


 エイナルがそう呟く。よく見てみると確かにうっすらと模様のようなものが見える。


「文字じゃ無い?」


 エリックも良く解らないようでお手上げのようだった。


「少なくとも古代魔法文字とは違う。」


 エステルも読めないという。少なくとも、神聖文字や精霊文字、魔法文字では無いと言う事だ。


 ただ、その神秘的な物体には黄金の鍵と何か関係があるのでは無いかと直感が告げている。


「マズいのは承知だが、これは冒険者ギルドには報告しないでおこう。」


 俺は直感を信じてみんなに話す。


「なんで?」


 と聞き返しながらも、俺の思惑を理解しているようだった。


「黄金の鍵と関係してそうだからだ。」


 と言って、ニヤリと笑う。自分でも悪い顔をしてるだろうなと思ってしまう。

 

 そうすると皆もニヤリと返してくる。みんな悪い顔だ・・・。小箱を魔法鞄に仕舞いその場を後にた。


 そしてこれから10階層のフロアボスへ挑む。まんまMMORPGだな。と皆で総突っ込みをしながらも、準備を済ませ、フロアボスの前に立つ。十分な広さの空間には、ざっと見て3mは超える大型の熊が居た。それを守るように約2mほどの熊が4頭。計5頭との戦闘が始まった。


 しかし・・・勝負はあっさりと決まった。


 フロアボスの居る結構な広さの空間。ファイヤーボールを打ちたがっていた魔女っエステル・・・。


 戦闘の準備はこうだ。俺が先頭に立ち、シールドを構える。その後ろでは水の精霊魔法で熱対策を俺の前に施し、さらにその前には神聖魔法の聖なる盾・・・厳重な防備を固めた状態で後ろに控えるメンバー一同。エステルの掛け声、気合い一発!


「ファイヤーーーボーールッッ!!!」


 放った巨大な火の玉が熊たちの群れの真ん中に向かって放たれる。


『ド-------ンッッッッ!!!!』


 これは正真正銘のクリティカル!衝撃波でこちらも吹っ飛んだ・・・


 そしてこの一撃で決着が付いた・・・。


 この日はフロアボスを倒した後、その先の階段の踊り場にあった転移ポータルで地上へ戻った。次回は10階層から再スタートとなる。


 時間はまだ夕方前だったのに何で戻って来たかというと、ファイヤーボールの余波が凄すぎた。


 魔法防御まで施したのに、みんなしっかりミディアムレアにされた。


 ヘンリクが回復魔法を掛けてくれたおかげで助かったが、肝心のヘンリクの魔力が尽きてしまったのだ。


 平謝りのエステルだったが、クリティカルばかりは仕方が無い・・・

 (予想は出来ていたが・・・)


 冒険者ギルドの出張所で冒険者カードを更新した所、フロアボス討伐ボーナスが付いてレベルは23まで上がっていた。



 7日間の日程で最終的にレベルは25に達した。一週間前と比べるとダブルスコアでレベルが上がった事になる。


 8日目の朝、第4号遺跡を後にした。


 しかし、皆の装備もこの一週間で既にボロボロだ。「ヤンの武具店」の親父さんとの約束は果たせた。魔鉱石がどのくらい必要か解らなかったので、5日目から魔鉱石は貯め込んである。フロアボスから出た魔鉱石も残してある。


 これで新しい武具を用意して貰おう。こうして、俺たちの初の遺跡探索は幕を下ろした。

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