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大騒動そして大捕物

 王都にはその後何事も無く到着した。沈んだ空気も、王都が見えてくる頃には多少晴れていた。


「あの遠くに見える外壁は王都の城門?」

「そうみたいだな・・・」

「人が豆粒みたいに見えるけど、どのくらいの高さがあるんだろう?」

「10m位か?かなり高いな?」


 そんな会話をしているうちに城門にたどり着いた。やはり障壁の高さは優に10mを超えるだろう。何人たりともその侵入を許さない!そんな感じだ。


 外堀を渡った先にある入り口は、3カ所に分かれており、徒歩での旅人の入国審査、荷馬車での審査、貴族用と分かれているようだ。


「何か空港の出入国審査みたい。」


「何か解る!貴族用って、VIP専用窓口って感じかな?」


 ついつい元の世界でのことと比較してしまう。


 順番待ちをしていること20分程だろうか?自分たちの番となった。身分証明は冒険者カード。加えて、冒険者ギルド本部の紹介文があった為スンナリとゲートをくぐった。


 馬車はこの足で冒険者ギルドの本部へ向かう。ギルドでは既に連絡が入っていたのか、係の者らしき人物達が待っていた。到着すると足早に挨拶を行う。


「初めまして。ハレックの街で冒険者をするヨーンだ。」

「よく来て下さった。本部ギルドマスターのマーリンだ。」


 本部のギルドマスターが女性だとは思わなかった。


 ギルドマスターのマーリンは赤髪のロングの髪だ。眼光も鋭くまだまだ現役で戦えそうな、年齢も30代そこそこの風貌だった。


「本部のギルドマスターが女性で驚いたかい?」


 俺の一瞬の間を読み取り、的確に突っ込んできた。


「いや・・・まあ、正直驚いた。ただ、女性と言うことでは無く、まだ現役で冒険者を出来そうな人物が、ギルドマスターをしていることについてだ。」


 本音半分、誤魔化し半分だ・・・。


「おだてても何も出やしないよ?」

「まあ、それより荷物はどうすれは良い?」

「そうだな。すぐに中へ運び込もう。道中襲われたんだって?」

「ああ、2日目の夜に襲撃を受けた。蝶の入れ墨を入れたグループを知っているか?」


俺は率直に疑問を投げかける。


「そりゃ、黒蝶だね。厄介な連中さ。」


 そんな会話をする間も、荷ほどきはスムースに進んでいく。


「その黒蝶って言うグループは、この事を知っていて襲ったと思うか?」


「そりゃどうかな?もしバレてたら、こっちの情報が全てザルって事になっちまう。認める訳にはいかん。」


「それもそうか・・・」

「ただ今回の事はやり過ぎた感は否めないね・・・」

「どうしてだ?」


「そりゃ、これからの鑑定にもよるが、国で保管しなければならないような品モンも出てくかもしれないからさ。それを横から掠め取るような真似をされちまったら、冒険者ギルドとしても面目が立たない。」


「そうだな・・・」

「だから、襲撃を返り討ちにしてくれて、こっちも助かったって訳さ。」

「このままおとなしく引き下がると思うか?」


「ん~・・・どうだろうね?こっちとしても警備はするが、もしギルドまで押しかけてくるような事があれば、黒蝶は潰す!」


 そしてマーリンは一人の人物を呼び出す。


「盗賊ギルドにつなぎを取れ。」


 そう言った後、宝箱と一緒に本部ギルド内へ案内された。宝箱は人目につかないようにシートで覆われていた。


 宝箱を見たマーリンは感心していた。


「いやー・・・古代王国期の宝は何度も見てきたが、ここまで保存状態の良い物は滅多にお目にかかれないね。」


「ハレックのギルドマスターにも言われたがそんなに凄いのか?」

「この箱だけでひと財産だよ。こりゃ中身も楽しみだね。」


 エステルの解錠の魔法を掛けて貰い、宝箱を開ける。


「ひゅ~!こりゃすげぇ!!全部鑑定するには3日以上は掛かるぞ!」

「そんなに凄いのか!?」


「ハハハッ!あんたら一生分の運を使い切ったと思った方が良いね。取りあえず鑑定はプロに任せよう。ヨーン達はこれから時間はあるかい?」


 おどけて見せていたマーリンが突然真剣な眼差しを見せる。


「鑑定が終わるまでは観光でもしていろと言われていたからな。時間ならあるぞ。何かあるのか?」


「ああ、さっきは黒蝶の様子を見るって言ったけど、あの宝を見ちまったら、先に潰した方が良いと思ってな。」


「襲撃される前にこっちから仕掛けるのか?」


「さっき、盗賊ギルドにつなぎを付けた。黒蝶のアジトを見つけ次第潰しに行く。黒蝶の連中は縄張りを荒らし回って、盗賊ギルドもあいつらには業を煮やしてるのさ。ウチ等が協力するって言えば、尻尾を振って情報を持ってくるだろうさ。」


「で、情報が入りしだいワシ等も協力して黒蝶を叩くという訳だな?」

「頭数は多いに越した事は無い。協力してくれるか?これは、正式な依頼だ。」


 冒険者ギルドとしての依頼という事だろう。


「ワシは断る理由は無いが皆がどう判断するか・・・」

「「「「「意義なし!!」」」」」


 結論早えなぁ・・・


「後手に回るより、先手打った方が良いでしょ?」


 ブリットは相変わらず前向きだ。


「昨日はテンション下げられたからファイヤーボール打ち込む!」


 エステルは相当鬱憤がたまっていたらしい。ファイヤーボールって・・・


「街中だったらファイヤーボールはやめておこうか?」


 エイナルは冷静に突っ込みを入れる。


「とにかく夜襲を受けてこっちもイラッとしてたんで、協力は惜しみませんよ?」


 ヘンリクも今回の夜襲にはご立腹のようだ。


「後顧の憂いをしっかり断って、観光にいそしみましょう!」


 エリックは観光を楽しみたいその一点なのだろうか?だが俺も同意見だ。


「みんな徹夜明けだが大丈夫か?」


 昨夜は結局夜襲の第二派を警戒して徹夜をしている。襲撃がすぐという事になると寝不足気味で対応しなければならない。出来れば少しでも仮眠は取りたい。


「その辺は情報が入るまで仮眠という事で・・・」


 さっきの話ですぐに情報が入るとも思えない。十分とは言えないだろうが仮眠は取れるはずだ。それを前提にしてマーリンに返答する。


「まあそう言うことだ。マーリン殿の依頼は受けさせて貰おう。」


「よろしく頼む。仮眠を取るなら部屋を用意しよう。そこで体を休めてくれ。情報が入りしだい誰か向かわせる。」


「解った。よろしく頼む。」


 仮眠する部屋を用意して貰い、黒蝶のアジト襲撃に備える。

 情報は4時間程の仮眠を取った夕方にもたらされた。


 黒蝶のアジトは貧民街の一角。構成員の人数はおよそ30名。黒蝶のリーダーはサニエリスという女性で、娼館のオーナーとしての顔も持っていた。


 冒険者ギルドのメンバーは精鋭20名を用意した。人数が少ない理由は、マーリンの信頼の置けるメンバーに限定したからだ。襲撃の情報が漏れる事を心配したのだろう。


 盗賊ギルドからも人員が派遣されるという事だ。

 そうして黒蝶のアジトへ襲撃を掛けたのであった。


 冒険者、盗賊両ギルドのメンバーがアジトへ襲撃を掛けると、黒蝶の構成員は全く警戒していなかったのか対応が遅れた。


 それでも黒蝶の構成員は体勢を立て直し廃屋の中は乱戦となった。30対30があちらこちらで斬り合いを結ぶ。精鋭を揃えたこちらに負ける要素は無いはずだ。


 黒蝶のリーダーの顔は盗賊ギルドのメンバーが解るという事で任せた。こちらは構成員を片っ端から捕らえていく。


 反撃して来る者には容赦はしない。ブリットも刃の付いていない方で意識を刈り取っていく。俺も武器で威嚇しながら、本命の盾で得意のシールドバッシュを繰り出して行く。素早い相手では相変わらず俺の武器は当たらない。


 ヘンリクやエイナル、ブリットも行動不能になる範囲で攻撃していった。そして徐々に黒蝶の構成員の人数は減ってゆき次々と無力化されて行く。


 エステルは攻撃魔法とバフ系が中心だった為、渋々ながらもニーニャと一緒に応援に回る。但し、逃走の恐れがあった場合のみ、ファイヤーアローの使用を許しておいた。


『ドゴッッッン!!』


 あっ!逃走を図ろうとしたヤツがいたみたいだ・・・エステルの強烈なファイヤーアローが炸裂していた。


 暫くするとリーダーのサニエリスは奥の部屋に隠れていた所を捕縛したと連絡が入った。黒蝶のリーダーも捕まえ、今回の襲撃は幕を閉じた。


 その後取り調べをし、昨夜の襲撃についても自供したそうだ。情報の発信元も特定出来た。残念ながら冒険者ギルドにその人物はいたそうだ。


 但し、ただ宝箱が運ばれて来るという情報だけで、どういった物かまでは解っていなかったらしい。


 そうだろう、場合によっては国から追われる事にもなりかねないものに手を出そうとしたのだから・・・



 無事捕り物劇が終了し、今はマーリン主催で慰労会が行われていた。


 ギルドからの正式な依頼だったので、しっかりと報酬と経験値を頂いた。おかげでレベルが一つ上がり、11になった。ステータスを見てみると少しばかり上がっている。これも異世界ならではなのだろう・・・


「いや~、お疲れ、お疲れ!見事な暴れっぷりだったねぇ」

「いや、ワシ等は大して役に立ってなかっただろ?」


「そんな事は無いだろ?あの妖精ちゃんが放ったファイヤーアロー一発で、黒蝶の連中達戦意喪失してたモンな!」


「私のファイヤーアローは無敵です!」


 フンスッ!と鼻息を荒くしてエステルはVサインを出している。


 しかし、エステルのファイヤーアローはクリティカル率が高い!クリティカルしなかった時を探す方が難しい!だが誤魔化さねば・・・


「いや、タマタマだタマタマ・・・何か良く燃える物にでも当たったんだろう。」


 どうにか有耶無耶にさせつつ、明日からの段取りの話をして誤魔化そうとする。


「鑑定が終わるまでの間、王都を観光しようと思っているのだが、その間の滞在場所はどうしたら良いのだ?」


「ああ、それならこちらで用意してある。後で案内させよう。」


「そうして貰えると助かる。何せ王都でゆっくりするのは今回が初めてでな。観光して回ると言っても何処を見れば良いか教えて欲しいのだが?」


 王都について詳しく話を聞くと、王都の構造は円形になっていて、それを大まかに分けて3層の区画に分かれているらしい。


 一番外周部が、市民街。中間区画が商業・工業区、王城に近い内側が貴族の邸宅がある区画だそうだ。


 それぞれ川が通っており、橋を渡る事で各区画へ行く事が出来る。橋は東西南北にそれぞれあり、外周部と中間部は自由に行き来出来る。


 王城から貴族の邸宅のある内周部には厳しい審査があるとの事だ。貴族街には興味が無いので問題ないだろう。


 冒険者ギルドのあるこの場所は中間部と言われる区画になる。宿泊や買い物、飲食などはこの中間区画で全てまかなえる。


見所を聞いてみると、やはり4大神の教会だそうだ。それ以外では、大道芸等が頻繁に行われている中央広場がオススメとの事だ。



さて明日は王都を堪能してみよう。

戦闘のシーン、少し頑張りました。まだまだですね・・・。

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