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第14話資源回収

第14話資源回収


 「俺今日は絶対月面を探索しに行くから止めるなよ、夏」


 「あんたにはまだ無理だって」


 「嫌だ! 絶対行く!」


 「しょうがないな、うーんとじゃあ勇気はあんまり遠くには行かずに月の表面の土はレゴリスって言うんだけど、それににふくまれている。酸化物をどんどん取っきて欲しいの」


 「なんで?」


 「酸化物という物質がレゴリスにはたくさん含まれていて酸化物を水につけると水素と結びついて水になって、それを電気分解すれば酸素になるってわけ。


 あんたにいってもわかんないだろうから、昨日のドリルやスコップに変化する棒を改造しといたから、棒をモニターに変化させれば酸化物の位置が赤く表示されると思うから。 


後、棒の事なんだけどさっき考えてメタモルスティックと名付ける事にしたからよろしく」


 「わかったよ、今回はそれで我慢するよ、酸素があれば俺達も活動しやすくなるし」



 勇気は宇宙服を夏が操作する機械のアームによって装着の補助をして貰いながらそう答えた。



 「じゃあ宇宙服も、着れた事だし酸化物集め頑張って!」


 「了解」



 勇気は船外に飛び出し、仮拠点の中に入った。



 「仮拠点に着いたみたいね、センサーの真上でメタモルスティックのダイヤルを3に合わせてみて」



 勇気はメタモルスティックを取り出し、スティックの先端部分のダイヤルを3に合わす。 するとスティクは海苔のように平べったく広がり両手で持てるぐらいのモニターに姿を変えた。


 モニターには仮拠点の周りに3つの赤い点が表示された。



 勇気は早速酸化物を探しに行こうと仮拠点の中にいるサンドに声をかける。



 「サンドいけるか?」



 勇気がサンドに声をかけると最近嫌と言うほど聞いている声が聞こえてきた。



 「昨日も言ったけど操縦してるのは私だからね、まぁいいけど。 いつでもいけるよ」



 夏がそう言うと勇気はモニターを見ながら拠点の外を歩き始めた。



  「2つの酸化物は結構近場にあるみたいだから先にそっちを取りに行こう」


 「わかった! ずっと聞きたかったんだけどなんでそんなに勇気は月にこだわるの? 宇宙が好きだとしても火星とか太陽だってあるじゃん」


 「俺もよく分からないな、初めて月を見た時になんか懐かしいって思ったんだよね、それでここに行きたいってなった!」


 

 勇気の宇宙服の無線から夏の高い笑い声が聞こえる。



 「何その理由! 月が懐かしいって面白すぎ! 懐かしい訳ないじゃん! 確かに月に暮らしてる種族は存在するけど勇気は違うと思うよ?」


 「そんなバカにすんなよなそう感じたんだから仕方ないじゃん! てかそれより月に暮らす種族が存在するの?」


 「うんするよ? 当たり前じゃん」


 「いやそういうのはさきに言ってくれないとびっくりするから」


 「普通に考えてこんなに拾い宇宙の中に生物が人間だけっておかしいと思わない?」


 「そりゃ居るんだろうなとは思ってたけどいざ言われると信じられないよ」


 「じゃあ信じて、月にいる種族はほとんど人間と変わらないから外国人と会うみたいな感じで思ってくれば大丈夫!」


 「大丈夫ではないでしょ!」



 勇気の持っているモニターからアラーム音が聞こえてくる。



 「お! ここら辺みたいじゃん! じゃあ掘っちゃおうか!」


 「ちょっと! 月の現地人の事もっと教えてよ」


 「そんなの後々、ほら早くメタステ使ってここ掘って」


 「もう、わかったよ、後で絶対だからな! えーーとダイヤルを回せば良いんだよね。 これがドリルでこれがモニターで」


 「遅!」



 勇気がその声に反応しサンドの方を向くと、サンドが腕を地面に向かって大きく振りかぶっている途中だった。



 「おい! やめろ!」


 

 勇気の必死の声も虚しくサンドの腕は地面を砕き勇気の宇宙服の外側には砂や土が大量にかかり、辺りには砂埃が立ち込めた。



 「何してんだよ! 危ないな!」



 勇気は土で何も見えなくなった宇宙服を擦りながらそう言った。


 「だって遅いんだもーーん。 時間なくなっちゃうよ」


 「お前なぁ、ふざけるのも」


 「もう許してよ」


 サンドの手に無数の穴が空いて、周囲の砂埃ごと酸化物を腕の中に吸い込んでいき勇気の宇宙服の汚れも吸い込んでいった。



 「夏! ふざけるのも良い加減にしろ! 俺は1人で自由に探索したいのに結局2人だしなんなんだよ!」



 サンドは下を向きしばらく動かなくなった。 それを見た勇気は少しは反省したのかと思い声を掛ける。



 「反省してるなら良いんだよ、もう止んないでね」



 サンドは下を向いたままビクともしない。



 「もしもし? 聞こえてる? 知ってる? 月の大きさって地球の3分の1ぐらいなんだよ! そう思うと意外と小さいかもしれないけど、母性に対する衛星の大きさとしてはめちゃくちゃ大きいんだよ! あ、母性と衛星がわかんないよね、手を繋いでるお母さんと子供みたいな感じ! 地球がお母さんで月が子供! いつも変わらず同じ距離感で歩き続けてるの」



 勇気は自分がキレてしまった後ろめたさと気まずさを紛らわすために得意の月の知識をひけらかすが夏は黙ったままだ。 


 勇気もついにいじけて、そこら辺の石同士を操りをぶつけ合っている。



 「ごめん! なんの話だっけ! とりあえずサンドに酸化物の位置をインプットしたからそのモニター無しでもこっちは大丈夫だから勇気は最後の少し遠くにある1個を回収しにいって!」



 夏が早口で話終えるとサンドは酸化物の方に走り去ってしまった。



 「なんだよあいつ、怒ってんのかな、まぁ良いよ今は1人の探索を楽しんで後で謝ろ」



 勇気はそう呟き最後の酸化物の方に歩き出した。 モニターに表示されている酸化物の近くになり勇気はモニターから目を離した。



 そこには腰まで掛かるぐらいの黒髪と頭の右側に小さなツノが生えている綺麗な女の人が佇んでいた。






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