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第2話 魔王との契約

遅くなってすみません。基本深夜帯に更新することが多くなりそうです。

「ま、待ってください!魔王とかいきなり言われても…」


言い終わらないうちに兵士たちが俺を取り囲み、手にした剣や槍を構える。

後ろからはローブを纏った魔術師たちが一斉に杖を向ける。


「貴公にその気がなくても魔王の呪禍を秘めた者を生かすワケにはいかんのだ。

恨むなら恨んでもいい、すまない…

…直ちにこの者を処刑せよ!」


絶望的な宣告を下された瞬間、一斉に兵士が殺到する。


「や、やめてくれェ!!」


叫びながら懸命に抵抗し、逃げようとする。

しかし、ただの高校生が1人に対して相手は数十人規模。勝てるはずがない。


逃げようとすると不意にバランスを崩して倒れこむ。足元を見ると()()()()()()()()()()


「あ、ああああああ!!!足が!俺のあしが!!痛い痛い痛いいたいいたい!!!」


想像を絶する痛みに悶えながら逃げようと這い蹲る。その瞬間に今度は右手を切り落とされる。


(なんで…なんで俺がこんな目に……嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!!)


《ソウダ!其ノ絶望ダ!!》


全身を剣や槍で貫かれ、炎で燃やされる中でそんな声が聞こえ、俺の意識は消えていく。

四季咲 晴人の人生は終わりを迎えたのであった。









《…キロ……起キ……棒》


「うわぁ!?…ハァ…ハァ…え?夢?」


頭に響く声で飛び起きた。

起きたということは夢か?いや、はっきりと思い出せる。

まるで化け物を見るかのようなみんなの視線を

斬り落とされた手足の痛みを

串刺しにされた喪失感を

火あぶりにされる熱さを

自分の命が消えていく絶望感を…

アレが夢であるはずがないのだ。


「そういや…ここはどこだ?」


白い床が視界の先まで続いている。それ以外は真っ黒で何も見えない。

そう、真っ黒なのだ。真っ暗ではない。この空間がどこまで続いているのかすらわからない。

そんな果てのない空間に俺はいた。


「誰も…居ないのか?」


《ヤット起キタカ、愛シノ相棒?》


「うおわ!?」


いきなり背後から声を掛けられ、驚いて尻餅をつく。


振り返ると其処には化け物がいた。

タキシードを思わせる黒い服には豪奢な装飾が施され、その裾から伸びる手は不気味な程黒く染まり、蠢いている。

背中からはステンドグラスのような模様の翼が動いている。

顔の右半分を道化師の仮面が覆い、こちらに無機質な微笑みを向けている。

左半分は手と同じ黒い不定形の靄のようなものが揺らめいているのだ。

真っ赤に裂けた口からは鋭い牙が覗き、目にあたる部分には何も無い。

其れはあっけにとられている俺の前で突如笑い出した。


《haーhahahaha!!ヤット帰レタト思イキヤ千年モノ時ガ流レテルトハナァ!コイツハ傑作ダァ!!》


「な、なんなんだよこの化け物は…」


《オイオイ、オマエノ魂ヲ引キズリダシテ肉体ヲ再構成サセテヤッタノニ…バケモノトハ失礼ダネェ?コノ俺様ニハ〝ザミエル〟トイウステキナ名前ガアルンダゼェ?》


「ザミエル…お前が〝絶望の魔王 ザミエル〟なのか?」


《haーhahaha!大正解!!オマエ頭イイネ☆》


「…そうか」


《アレ?オマエ怒ンナイノ?人間ノコトダ、

処刑サレタノハオマエノセイダ〜!

トカイイソウナノニ》


俺は無言でザミエルの目の前まで歩く。

そして拳を握りしめ、不定形の顔面を思いっきり殴り抜いた。


「別にお前のせいで処刑されたとかで怒ってないよ。ただその笑い声とかが鬱陶しい。それだけ」


恐らく色々な感情がごちゃ混ぜになってて一周回って冷静になったんだろう。

目の前の途方もなく悍ましい存在が少し哀れにも思える。


《hu…huhuhu……haーhahahahahaha!!

初メテダ!!人間ニ殴ラレルナンテ!!

マスマス気ニ入ッタ!!》


そう言うとザミエルはいつの間にやら持っていた拳銃を俺の頭に向ける。


《ハッキリ言ッテオマエハ異常ダ。死ヲ経験シテモ魂ハ残リ、俺様ヲ目ノ前ニシテモ正気ヲ保ッテイル。其処デ、ダ…

オマエ、俺様ト契約シナイカ?》


「契約?いきなりどう言うことだ?それに人の事を異常って…顔面不定形真っ黒ヤローに言われたかねぇよ。」


《hahaha、俺様ハ千年前ニ救世主トヤラニ不意ヲツカレテ世界ソノモノカラ追放サレタ。

ソシテオ前ノ魂ニ俺様ノ存在ガ刻マレタ。

楽シク遊ンデイタダケナノニイキナリ追放サレテ出禁ッテワケ…酷イハナシダロォ?

シカモ帰ッテキタラ封印サレテタ雑魚ガ〝魔王〟ナンテ名乗ッテ粋ガッテヤガル…

ソシテ俺様ハ存在ヲ追放サレタオ陰デ肉体ヲ維持スル事ガ出来ナイ…

其処デ、ダ。

オ前ニ俺様ノ存在ソノモノヲ譲渡スル。

俺様ノ全テヲオ前ニヤルヨ。ソウスリャアオマエハ生キ返ル事ガ出来ル。

ダカラコノ世界デ粋ガッテヤガルカス共ヲブッ殺セ!ソレト俺様ヲ追放シタ奴モブッ殺セ!

ナァ?悪イ話ジャナイダロォ?》


恐らくだがコイツの契約に乗ったが最後、ロクな死に方はできなくなるだろう。

少し話しただけで狂気が伝わってくる。

まともな判断ができるなら絶対に断るべきだ。


「成る程、つまりお前の力を受け継いで魔王をブッ殺せと。そう言いたいワケか。

……面白い、契約しよう」


だがそれがどうした。

元の世界からは消えて異世界では一度死んだ。

もう何も失う物なんて無い。

ならこの悪魔に魂でもなんでもくれてやろうじゃないか。

何よりーーー()()()()()()()()()


《haーhahaha!!面白イ!契約成立ダ!!

俺様ノ全テヲ込メテヤロウ!

地獄ノ果テマデ付キ合ッテモラウゼ、相棒?》


「望むところだ、

あと俺は人間って名前じゃない。四季咲 晴人だ。

相棒の名ぐらい覚えておけ、ザミエル」


《晴人、カ…覚エタゼ、晴人(相棒)?》


俺はニヤリと笑うとザミエルから拳銃を受け取る。

ザミエルも此方を見て笑うとその体を黒い銃弾へと変える。

俺はシリンダーに一発の銃弾を込めてこめかみに当てる。

躊躇いなく引き金を引き、モノトーンの世界に一発の銃声が響き渡った…









ーーー気が付くと晴人は薄暗い祭壇の中心に立っていた。


「ここは…何処だ?…ってなんだ?この服装」


いつの間にか自分の服装が制服からザミエルの衣装とそっくりなコートになっていることに気がついた。

そしてポケットに違和感を覚え、引っ張り出してみる。

そこにはある意味で自分の運命を変えた一枚の黒い紙が入っていた。


「これはラプラスの頁か?」


『立ち去れ!悪しき者よ!』


突如、白い翼を生やした白く輝くドラゴンがが出現した。

ドラゴンは全身から輝かんばかりのオーラを放ち、此方を見据えている。


『此処より先は神の領域!!貴様のような矮小な者が立ち入ってはならぬ場所であるぞ!!

神域を侵す愚か者め!チリも残さず消えるが…』


その瞬間、一発の銃声が鳴り渡る。

晴人は片手間に装飾の施された黒い拳銃をドラゴンに撃っていた。

放たれた弾丸は寸分の狂いもなくドラゴンの頭蓋を吹き飛ばす。

血飛沫を撒き散らしながらドラゴンはその巨体を地面に落とした。


「今読んでる途中じゃん……神の領域ねぇ。……面白そうだな」


ラプラスの頁を投げ捨てると晴人はドラゴンの死体を踏み越え、奥へと進んでいった。




静寂に包まれた祭壇の間、白竜の亡骸の上に黒い頁が落ちた。


《〝魔弾の罪王〟シキザキ ハルト》


《才覚》〝銃士(ガンスリンガー)〟〝魔王〟


《属性》〝闇〟〝幻〟〝時〟〝空〟


呪禍(シュクフク)》〝絶望の魔王 ザミエル〟



こんな小説を読んでくれるひとがいることにびっくりしました。

初心者なのでアラが目立ちますが許してください。

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