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8.迫りくる脅威 前編


「これから勇者を迎え撃つにあたって、お前達に言っておかないといけない事がある」


いよいよ一週間が経とうとした頃、アキラがクランメンバーを前に言った。


「ポラリスが一番心配だけど、全員にしっかりと伝えておく。勇者をみくびるな」


「いや、流石に油断とかはしてないけどよ……」


ミノタウロスのげんごろーが反論しようとするが、アキラはそれを手で制した。


「すまん、言い方がちょっと違ったな。俺も含めて、お前達は元々人間だ。だから、多少なりとも話が通じるとか、分かり合えるとか思ってないか?」


「それは……」


アキラの言葉に、全員が言葉を濁し、目を泳がせる。

まだどこか、現実味が感じられず、体験型テーマパークのイベントに参加しているような空気があった。


それは、勇者としてやって来たアキラを、ポラリスが一人で圧倒してしまったせいでもあった。

この一週間で、魔物や動物と戦ってきたメンバーだが、明確な敵対する意思を持って向かって来る相手と戦った経験が無かった。


「俺も最初は、これから戦う相手は、自分と同じく地球からやって来た元人間だと思っていた。だから、そうひどい結果にはならないんじゃないかと、どこか楽観視していた部分がある。けれど、実際にお前達を見て、そんな思いは吹き飛んだよ」


憎しみ、という訳ではないが、ポラリス達を見た時、アキラの中には確かに、敵愾心のようなものが沸き上がったのだと言う。


「殺さなければならない、って強い感情が沸き上がった。それまでに俺の中で渦巻いていた、戸惑いや混乱はその瞬間に吹き飛んでいたよ。俺はポラリスとしか相対してないし、他の奴らをちゃんと見たのは、ダークヒーローになってからだから、魔物全員に対してそう思うのかどうかはわからないけど、最悪の状況を想定しておくべきだ」


「つまり、勇者、人属側の人間は、魔属に対し無条件で敵意を抱くようになっているって事?」


一つ目のエリが自分なりにアキラの言葉を解釈し、確認をする。


「そうだな。お前らだって、魔物になって意識の変化があっただろ?」


問われれば、それを否定する事はできない。

同じ種族にしか性欲を抱かなくなったし、他の種族では、どれほど美形であっても、そこに恋愛的な愛情を見出す事はできなくなっている。


「人属全員がそうかはわからないが、少なくとも、勇者は魔属を殺す事に躊躇はしないだろう。むしろ、積極的に殺しに来る筈だ。そのうえで、今度来る勇者は、全員が魔王を殺した経験者だ。仲間になろうと説得できるかもしれない、なんて甘い考えは捨てろ」


仲間を死なせたくないんだろう? と正面から問われては、ポラリスは頷くしかなかった。


「全力で戦って、その結果、戦闘不能になった勇者を安全に勧誘できる、というならいいさ。クランに入れば、魔属に対する敵意は消えるからな。勇者だって死にたくないんだから、そうなったら素直に受け入れるだろう。戦力アップの点から見ても、勇者を仲間に入れるのは、悪い選択肢じゃない。けれど、あくまでそれは結果だ。最初から、仲間にするために手を抜くような真似はするな、させるな。全力で殺しにいけ」


「……そうですね、わかりました。向こうが全力で殺しに来る以上、こちらも死に物狂いで対抗しなくてはなりませんね」


アキラの言葉に、ポラリスが頷く。その場しのぎの適当な返事でない事は、その赤い瞳の奥に深淵が渦巻いている事が物語っていた。




森の中を三人の少年が歩いている。

腹までを覆った金属の鎧を身に纏い、マントを風に靡かせながら、彼らは背の高い草の生えた道を、まるで舗装された道路の上を往くがごとく、平然と歩いている。


その彼らの足元に、上空から飛来した矢が突き刺さった。


「警告する」


彼らが上を向くのと同時に、そんな声が降って来た。


そこに居たのは、人間の体に、胸元辺りから上が鳥の姿になった魔物、バードマンのガンゲイル。

『飛翔』のスキルで、10メートル程上空に浮かび、矢を番えた弓を、彼らに向けている。


「ここから先は我らがクランの領域だ。大人しく立ち去るか、この場で武装解除に応じ、投降せよ。従わないと言うなら……!?」


警告の途中で、少年たち――勇者の一人が、腰溜めに抜いた剣を構えたため、ガンゲイルは慌てて枝に身を隠すように飛びながら上昇する。


「『フライングブレード』!」


気合いと共に剣を一閃させると、光の刃が放たれ、枝葉のみならず、直径で30cmはありそうな木の幹を両断する。


「警告はしたぞ!」


そう捨て台詞を残しながら、ガンゲイルは飛び去る。その途中で鏑矢を放った。穴の開いた矢が飛び、甲高い音が森の中に響く。


「やっぱ待ち構えられてたか」


「だからさっさと行こうぜって言ったんだよ。ただでさえ、片道一週間とか言われてたんだから」


「いや、最初の街の周りでLV上げるのは基本だろ」


その音が、仲間への合図だと気付いた勇者達がそれぞれ文句を言い合う。


「三日粘っても殆ど上がらなかったけどな」


「最初の魔王軍を全滅させた分があったからなぁ。転生者ボーナスかな? 普通の魔物より明らかに経験値が美味しかったんだよな」


「つっても、相手も碌な準備できてないだろ。向こうのLV1ストーリーをクリアしてても、無傷とはいかないだろ」


「ダンジョン経営なら、罠や新しいモンスターが設置されてるんじゃないか?」


「転生者じゃないモンスターなら、大して怖くない筈だ」


それは、三日間のレベリングと、この道中までで何となく感じた事だった。

ステータス的には恐らく大差ないのだろうが、別の種族同士で連携ができる、というのはやはり大きかったと実感していた。


「やっぱ全滅させずに何人か仲間にしとくべきだったなぁ。少なくとも、向こうのチュートリアル程度の情報は手に入っただろうし」


「それな。スキルがわかるだけでも大分違ってただろうさ。仲間になりたそうにこっちを見ろってんだよ」


「俺なんて、仲間になる条件だと思って、魔王一点突破で倒したってのにさ。なんだったんだよ、あの苦労は」


「その代わり、特殊条件クリアでアイテム貰ったんだろ?」


「代わりに経験値が報酬経験値が10分の1になったけどな」


そんな話をしながら森の中を進む彼らの前に、大きな丘が姿を現した。その麓に、似つかわしくない扉がとりつけられている。


「あー、ダンジョンの外観ってこんなんなのか」


「城とかじゃなくて、マジでダンジョンって感じだな」


「じゃあチョメチョメ、罠鑑定頼むぜ」


「××だっつの。センスが古いんだよ」


呼ばれた勇者が文句を言いながらも、慎重に近付き、扉を調べる。


「罠どころか鍵もかかってないぜ?」


「これは、さっきの奴と魔王以外、LV1ストーリーの時点で壊滅したんじゃないか?」


「戦力の補充にリソース割き過ぎて、ダンジョンの強化まで手が回らなかったって感じか」


言いながら、扉を開いてダンジョンに足を踏み入れる。

踏み入れた瞬間、××の足元の床が消え、彼はダンジョンに飲まれてしまった。


「……は!?」


突然の状況に、彼の後ろに続いた勇者が呆然と立ち尽くす。


「お、落とし穴か!?」


もう一人の勇者がそれに気付いて叫んだ。既に元通りになった床を叩くが、何も起こらない。


「くそ、心理戦か、えげつねぇ……!」


先に警告をする事で、勇者達に警戒を促す。

しかし、道中何も無く、いかにも何かありそうな扉も安全。


気を緩めた瞬間を狙った見事な配置を言わざるを得ない。


「さ、さすがに生きてるよな!? 即死トラップなんてねぇよな!?」


「どうだろうな……。戦力の補充ができなかったから、罠に全振りしたってんなら、あるかもしれない……」


「おいおい、罠を見つけられるのアイツだけだぜ!? 他にも即死トラップがあったらどうすんだよ!?」


「そうだな。一旦街に戻ろう。酒場の人間に聞いた限りじゃ、大きな街に行けば冒険者ギルドや傭兵ギルドってのがあるらしいから、そこでレンジャーを雇おう。上手くすれば、他の勇者とも出会えるかもしれない」


そう言って扉に手をかけるが、しかし扉はビクともしなかった。


「くそ、マジか!? つかいつの間に扉閉まったんだよ!?」


「ああ、やっぱり罠だ。しっかり準備して待ち構えてたんだよ……」


「おらぁっ!」


情けない声を出す仲間を無視して、勇者は『打ち勝つ者』を抜き、扉に叩きつける。

しかし傷一つつかない。

彼らは知らない事だが、通常の『扉』と違い、『ダンジョンの入口』はいかなる攻撃でも壊す事ができないという設定だった。

『ダンジョンの入口』はその名の通り、ダンジョンの入口にしか設置できないという制限があるので、この設定はあまり意味がないと思われた。


何故なら、鍵はスキルや魔法で開けられるし、背後にバリケードを築いても、扉の硬さがバリケードを砕く攻城兵器となるからだ。


しかし、鍵を開けるスキルや魔法を持たない相手を閉じ込めるならこれ以上無い有効な防御施設となる。

勿論、最初にレンジャーを分断できたのは偶然だったが。


「く、駄目だ……ビクともしない」


「ど、どうすんだよ!?」


「進むしかないだろ……。見た所、最初のダンジョンと同じ通路が続いてるだけだ。きっとさっきの落とし穴とこの扉で全部使ったんだろ」


「使ったって、何を?」


「普通に考えれば、ダンジョンを強化するのが、自力でないなら、ダンジョンポイント的なのがある筈だろ」


「そ、そうか。即死トラップとか、壊れない扉とか、コストが高そうだもんな」


「一週間かそこらでこれを大量に準備できるとなると、流石にバランスが悪過ぎる。ただでさえ、俺達は25対1で戦わされてたんだぜ」


「け、けど、あくまで俺達の待機場所からダンジョンまで一週間ってだけで、向こうもそうとは限らないんじゃ……?」


「最初の時が、それほどタイムラグがない感じだったろ? だったら今回もそうに決まってるだろ」


「そ、そうか、そうだよな。じゃないとフェアじゃないもんな」


「よし、行くぜ。ステータス自体は俺達の方が圧倒的なんだ。罠にさえ気を付ければなんとでもなるさ」


そして二人の勇者がゆっくりと、通路を歩き出す。


「ち、生意気にも迷宮化されてるのかよ」


暫く進むと四辻に出た。


「ど、どうする? チーレム?」


「レムと呼べっつったろ。ったく、名前の変更設定させて欲しいぜ」


ここまで何もなかったせいか、再び彼らの中で緊張感と警戒心が薄らぎ始めていた。

その時、レムは耳鳴りのようなものを感じ、顔を顰めた。


「どぅわっ!?」


顰めた次の瞬間、凄まじい速度で左の通路から出現した何者かによって、レムの体が吹き飛ばされる。


「チーレム!?」


あっという間に見えなくなった仲間を追いかけようとした勇者の目の前に、壁がシャッターのように降りて来て行く手を塞いだ。


そのもの『壁』という施設だが、『ダンジョンの入口』と違って、げんごろーでも数発攻撃すれば壊せる程度の代物だ。


しかし、気が動転した勇者は、数度手の平で叩いただけで、諦めてしまう。


通常のゲームならともかく、実生活で壁を壊して先に進む経験など皆無だったため、目の前を壁で塞がれたら、そこから先へは進めない、という固定概念に縛られているせいだ。

ゲームでも、一度調べてその時に壊せなかったら、壊せないオブジェクトである場合が多いので、その辺りも影響しているかもしれない。


「う、これ、俺一人で行くのかよ……」


左右の通路を『壁』で塞がれた勇者は、目の前に続く暗闇を見て、躊躇した。


「い、いや、大丈夫だ。こういう罠を仕掛けてるって事は、実際に戦えば大した事無いって事なんだから。それに、即死トラップがあるなら、ここで使ってるはず……。なら、大丈夫、大丈夫だ……」


この時点で降伏するという選択肢も無くはなかった。

しかし、残された勇者は、体の底から湧き上がって来る使命感に突き動かされるように、魔王を殺すべく前に進む。


まさに、アキラが言った通りの現象が、この勇者の身に起こっていた。





「ぶはっ!」


落とし穴の先は水溜まりだった。

いや、プールと言った方が良いかもしれない。


光の届かない完全な闇。水は、足がつかない程深い。


落とし穴は真下に落ちるタイプではなく、若干スロープのようになっていた。

その上で、水中へと落下したので、それほどの衝撃はなかった。


「あー、クソ、油断したぁ……」


立ち泳ぎで頭を水面の上に出しながら、××がぼやく。


「しかし、まさかここ、スロープを登らないと脱出できないとか無いよな? それとも、ここから更に水攻めか? いやいや。魔王側のシステムがどうなってるか知らないけど、『引っかかったら終わり』系の罠は、コストが高い筈だ。ストーリーLV2でそんな理不尽トラップ用意できる訳がない」


言ってしまえば序盤も序盤だ。もしそれが可能だったとしたら、バランス考えろと文句を言いたくなる。


だが、××はわかっていない。

異世界とは言え、これはゲームではなく現実であり、そして、相手はクリアできる事を前提に作られたCPUではなく、相手を殺す事を目的にしたプレイヤーである事を。


××は、忘れていた。


「!?」


『気配察知』に引っかかった。剣を盾代わりにして、自分に向けて飛来した何かを弾く。

金属が鳴るような音が聞こえた。続けて水音。


「投げ槍か何かか? 水場で槍って、サハギンとかか? くそ、ヤベーな……」


しかもどうやらこの暗さでも相手からは見えているらしい。

そういうスキルなのか、それとも、種族的に水中にいる相手は認識できるようになっているのか。


「くそ、どこにいるかわからん。こんな事なら『気配探知』の方にしとけば良かったぜ。あー、俺も武器のスキル、攻撃系の、それも遠距離攻撃系のスキルにしとけば良かった……」


二発目を警戒しつつも、相手に動きが無ければどうしようもないので、××は敢えて声を出して相手を誘っていた。


「いてっ!?」


しかし、攻撃は意外な方向からやって来た。

水の中から(・・・・・)だ。


「す、水中にもいるのか!? やべぇ!」


『気配察知』が働かなかった。相手が水中だからか、隠匿系のスキルがあるのかはわからない。

脇腹がじくじくと痛む。立ち泳ぎで体が若干上下するだけで、激痛が走った。


「これ、擦り傷とかレベルの怪我じゃないだろ……!? え、嘘だろ? マジか……」


突然××は恐怖に襲われた。

それは間違いなく、死に対する恐怖だった。


水中、暗闇、見えない敵。


抵抗もできずに嬲り殺される未来しか見えない。


「ぎゃああぁぁぁあ!?」


今度は左足に激痛。

今のはわかった。骨を(・・)もっていかれた(・・・・・・・)


「ウソだろ、ウソだよな……。こんな、こんなところで……」


そして××の喉元に、サハギンのこんにゃくが放った槍が突き刺さった。


「が……あ……」


思わず、その槍を抜こうとして、××は掴んだ。

足を食われた時の痛みで、剣は水中に落としてしまっていた。

両手で槍を掴んだ事で、××の体が水中へと沈む。


「がごぼ……」


もがくが、一度沈んでしまうと、浮かび上がるだけの力が××には残されていなかった。


彼は気付かない。今まさに彼の頭に噛みつこうと、キラーフィッシュのダークが、大口を開けて迫っている事を。

気付けないまま、肉に牙が突き立てられ、骨がかみ砕かれ、その中身が潰れる音を聞いたところで、××の意識は途切れた。





「ぐ……いてて……」


チーレムが吹き飛ばされた先は広い空間だった。


彼を弾き飛ばしたのはソニックスワローのケビン。文字通り音速で体当たりする『ソニックタックル』で、強制的にチーレムを移動させたのだ。

ダメージも与えられるし、体当たりが命中した際の衝撃はケビンには入らない。しかも、『迎撃無効』のお陰でカウンターを取られる事も無い。


広い屋外で、相手の認識の外から攻撃するつもりだったケビンだが、この使い方はまさにコロンブスの卵的発想だった。

狭い通路では不利になると思われたスキルが、狭い通路だからこそ、回避不能の必中攻撃へと化けたのだ。


「この、クソ燕が……!」


しかしそこは流石に勇者。さしてダメージを受けているようには見えず、怒りと共に立ち上がった。

部屋の上隅に退避したケビンを睨みつける。


「お前の相手は俺だよ」


すると、部屋の奥から声がした。

見ると、黒い鎧に身を包んだ一人の人間が剣を抜いて立っている。


「人間……? わざわざ魔属で人間の種族を選んだのか? いや、その鎧、その剣、お前、元々勇者だな?」


「そうだ。LV1ストーリーで魔王に負けたどころか、従属させられた情けない勇者だよ」


「ち……」


煽ってやろうと思ったが、チーレムは代わりに舌打ちをした。

『致死予測』で、自分と互角か、それに近い強さだとわかったからだ。


魔王を倒した勇者と、倒せなかった勇者の経験値の差だろうと思ったが、しかしチーレムは、LV1ストーリーを魔王のみを倒してクリアしている。

そのため、経験値にはそれほどの差が無かった。


特殊クリアによって獲得したアイテム『輝く星』は精神系の状態異常を防ぐ装飾系アイテムだ。

目の前の元勇者が魔法職系なら効果を発揮するだろうが、手にした剣からそうではないと知れる。


自分と同じ『打ち勝つ者』。


パワー系戦闘職の勇者に与えられる装備だ。


ならば、相手の戦闘スタイルは直接戦闘系。『輝く星』が効果を発揮するとは思えない。


「LV1ストーリーをクリアしたならわかってると思うが、勇者とまともに戦えるのは本来魔王だけだ。だから複数人の勇者が来るとわかった時点で、分断する作戦を考えた」


「それで、落とし穴と燕か……」


「そうだ。そして俺は、魔王を除けば、まともにお前と戦える戦力だからな!」


言い終わるかどうかのタイミングで、アキラは走り出した。


「ちっ!」


振るわれた剣を、なんとか防ぐ。


チーレムの『打ち勝つ者』に付与されたスキルは遠距離攻撃の『フライングブレード』。溜めが必要になるため、接近戦では使えない。

それを知って踏み込んで来たなら、間違いなく、外で見せた自分が迂闊だった。


相手のスキルはなんだ?

命中時に防御力を下げる『装甲破壊』? 相手の行動を一時的に奪う『スタン』?


次々に繰り出される斬撃を受けつつ、チーレムは考える。

相手のスキルが判明しないうちに、積極的に攻勢に出るのは躊躇われた。


「……!?」


しかし、すぐにチーレムは違和感に気付いた。


強い。


アキラは明らかに、チーレムより強い。

これが、技術的なものなら、元の世界での経験者か、あるいは、経験者の転生者から手ほどきを受けたかと思うところだが、そうではなかった。


チーレムだって経験者ではないから、はっきりとは言えないが、アキラは間違いなく、技術などは関係無く、身体能力に頼って剣を振るっている。

それはチーレムも同じだが、なのにアキラの方が強いという事は、単純なステータスがアキラの方が上だという事だ。


だが、さっき確認した限りでは、自分の方が僅かに強かったはず……。


「な……!?」


改めて、『致死予測』で確認してチーレムは驚愕した。

何故(・・)自分より(・・・・)強い(・・)!?


「うぐ!?」


その隙を突いたアキラの刃が、チーレムの右手を切り裂いた。

切り落とされる事こそなかったものの、思わず剣を取り落とした。


「くそっ!」


それを受けてチーレムが距離を取ろうと、後ろに跳ぶ。

跳ぼうとした瞬間に、何者かに足を払われて、仰向けに転倒する。


「な……!?」


なにが起きたかを理解する前に、アキラの刃に胸を貫かれ、チーレムは絶命した。


長くなったので一旦切ります。

アキラ勝利のカラクリの説明は次回。

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