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43.職業進化


「という訳で私達、転職しまーす」


サザンクロスの定時ミーティングの際、こんにゃくとつゆ諾々(ダーク)がそう宣言した。


「そう言えば、職業LVが上限に達していましたね」


職業はLVが上限に達すると、種族と同じように上位職業へ転職できるようになる。

それとは別に『転職所』を利用して下位職業を一つ獲得する事も可能だ。


二人は『漁場』で経験値を荒稼ぎしてるため、種族LV、職業LVともに上昇が他のメンバーより速い。


『漁場』は完全に水のエリアなので、水中で一時間活動できなければ便乗して経験値を得る事ができない。

一度、ミミック時代のああああや、レッドボーンのギリを『プール』に沈めてみたのだが、彼らも水中に潜ったままでいる事はできなかった。


「普段呼吸してない筈なのに息苦しく感じた」


とはギリの談。

 

実際、ポラリスがクランの情報画面でメンバーの状態を確認すると、水中に沈めた時点でああああ達には『呼吸困難』のバッドステータスが発生していた。


本来ギリは『アンデッド』のスキルによってバッドステータスを受けない。

その数少ない例外が水に沈んだ状態らしかった。


「自分は素直に『グラップラー』の上位職業の『ストライカー』に転職しますよ」


『漁場』での戦いに喜びを見出しているダークは迷いなくそう言った。

『食料』とソウルに関しては一番の稼ぎ頭でもあるので、誰も文句は言わない。


「もう一つの上位職業の『ストラングラー』とは何が違うんですか?」


「名前からしてそっちは関節技や締め技主体だろう」


一応疑問に思ったポラリスが質問すると、げんごろーから返答があった。

前世で格闘家だっただけに、そういう分類に詳しいようだ。


「それなら確かに、ダークさんの戦闘スタイルとは合いませんね」


何せダークはやや小柄なメカジキの姿をしている。

基本的に体当たりしか攻撃手段がない。


「吻での刺突や斬撃をする時もあるから、『ライトセイバー』や『ランサー』への転職もありかなと思ったんですけどね。次の種族進化で消える可能性もありますから」


「ああ」


「なるほど……」


種族と職業がかみ合っていないメンバーが納得したように呟いた。

このシステムには色々と罠要素が多いのを、もう全員が理解している。


「俺は『サモナー』に転職しようと思います」


「あれ? 上位職業にならないんですか? あ、いや、勿論、自身の都合を優先して貰って構わないのですけれど!」


ふと疑問に思ったことをそのまま口にしてしまい、慌ててフォローするポラリス。


「ははは。いいんですよ。『漁場』で稼いでいる事を考えたら、素直に『ランサー』の上位職業に転職するのが一番なのは俺自身が理解してますからな」


そう言って笑うこんにゃくに二心はないようだった。


「まぁ、佐藤さんの説明でセルキーってのはアザラシの妖精だと思われてるんですが、この世界だと人魚の亜種みたいなものなんですな」


クランメンバーが必ず所持している種族指揮のスキルは、種族が変わるとスキルも合わせて変化する。

しかし、セルキーに進化したこんにゃくのスキルは『人魚族指揮』のままだった。


「つまり、『サモン』で呼んだ場合、下位の人魚を呼べる訳ですな」


別に『サモン』は同じ種族のモンスターしか呼べない訳ではない。

しかし、自分以下の位階のモンスターのみ呼べるという制約がある。

それもあってエレは自分が呼べるモンスターの確認に苦労していた。


しかしサハギンから進化したセルキーなら、少なくともサハギンは呼べるはずだとこんにゃくは考えた。


「ああ、『漁場』での効率が上昇しますね」


「それも勿論あるんですがね……」


そこで言葉を区切り、こんにゃくはニヤリと笑う。


「いや、これ以上は女性陣のいる前では言えませんな」


「それ殆ど言ってるようなものだから」


「こんにゃくのセクハラは珍しいな」


普段の被害者はんぺん加害者グランドがそれぞれツッコミを入れる。


「けど大丈夫なのか? 魚並の知能の人魚が出て来たら、なまじ外見がそれっぽいだけにキツくないか?」


異種族チーレム計画が現在とん挫しているエレが本気で心配しているような口調で言った。


サハギンのメスや日本版人魚のような外見だったとしても、種族が同じこんにゃくなら特に問題にはならない。

そのため、懸念すべきは知能の有無だけだった。


「まぁ、その時は『漁場』での戦力として活用しますよ」


「ではダークさんは上位職業の『ストライカー』に。こんにゃくさんは『転職所』を利用して新しく『サモナー』を獲得する、という事でよろしいですか?」


「はい」


「問題ありません」


ポラリスの最終確認に、二人は迷いなく頷いたのだった。


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