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20.【魔王軍拡大】 進化 前編


「さて、進化の話ですが、現在進化可能なのは一応全員ですね。その中でLVが上限に達しているのは……」


ポラリス  魔王LV12/100

      ダンジョンマスターLV9/99

エリ    一つ目LV20/20 

      レンジャーLV16/30

げんごろー ミノタウロスLV23/30 

      アクスファイターLV20/40

ミリエラ  ダークメイルLV20/20 

      ガードLV19/30

ユーキ   サールアーム LV5/40 

      ライトセイバーLV22/40

エレ    ブラックアニスLV7/40 

      コマンダーLV19/50

グランド  スライムLV20/20 

      グラップラーLV21/30

ぷっちり  リザードマンLV20/25 

      ウォーリアLV18/30

ガンゲイル バードマンLV20/20 

      ハンターLV21/30

ケビン   ソニックスワローLV15/15 

      グラップラーLV19/30

ギリ    スケルトンLV15/15 

      クラフトマンLV14/40

おんたま  ラミアLV17/30 

      ソーサラーLV13/40

ドーテイ  ケンタウロスLV16/30 

      ヘヴィランサーLV12/40

こんにゃく サハギンLV25/25 

      ランサーLV27/30

ダーク   ソードフィッシュLV9/40 

      グラップラーLV28/30

はんぺん  シースルーLV17/30 

      アルケミストLV16/40

佐藤    ラストイーターLV19/25 

      スミスLV17/40

シュガー  ダークマージLV15/30 

      ソーサラーLV14/40

アカギ   チャイルドプレイLV20/20 

      シャーマンLV16/40

幸恵    インプLV20/20 

      ウィッチLV10/50

コータ   ロードランナーLV20/20 

      グラップラーLV18/30

よりこー  ポイズンスパイダーLV20/20 

      ウォーキャスターLV9/50

惣栄    デビルプリーストLV15/30 

      プリーストLV10/40

ゲオルグ  ヴァンパイアLV16/30 

      マジックファイターLV13/40

ああああ  ミミックLV15/30 

      ガードLV7/30

アキラ   人間LV18/99 

      ダークヒーローLV9/50

      ファイターLV17/30


「エリさん、ミリエラさん、グランドさん、ガンゲイルさん、ケビンさん、ギリさん、こんにゃくさん、アカギさん、幸恵さん、コータさん、よりこーさん、ですね」


「最近やっとMPが増えて来て、『狩場』で経験値を稼ぎやすくなったけど、やっぱきつい」


「拙僧はMPの伸びが悪いし、攻撃魔法も威力が低いので更につらい」


シュガーと惣栄がそれぞれ愚痴を口にする。

最初から攻撃魔法が使えるソーサラーのシュガーはともかく、プリーストはLV10になってようやく、攻撃魔法の『フォース』が使えるようになった。

魔法寄りのステータスで、接近戦を行わなければならなかった今までよりは随分マシになったとは言え、まだまだ戦闘で活躍するのは難しい。


「種族LVは上がりやすいんだけど、職業LVが上がりにくいのよねぇ。攻撃魔法がそもそも無いから」


「ほんとですよー。職業変えようかなー?」


幸恵とよりこーが、種族LVではなく職業LVの上がりにくさに愚痴をこぼした。

どちらも種族的には強い訳ではないため経験値の獲得が困難であり、職業が戦闘系でも生産系でもなく、そのうえ成長率が悪いという三重苦だった。


「レア職業なんで変えると勿体無いと思うな」


「種族も職業もLV上がりにくい、おんたまに勝てると思うな」


エリがよりこーに反対し、おんたまが贅沢を言っているメンバーに苦言を呈する。

魔法寄りのステータスだが、特化している訳ではないので、攻撃魔法が使えても戦闘で活躍しにくく、成長効率が悪いおんたまは、強くなりにくいメンバー筆頭だった。


「LVが上がりにくい方たちは今後考えるとして、一人ずつ、順番に進化していきましょう。複数選択肢があるのが普通のようですから、できれば相談して欲しいですが、基本は皆さんの意思を尊重したいと思います」


「私の進化先はバグベアか三つ目ね。説明を読むと、正統進化は種族名的にも三つ目かしら。バグベアは単眼系の種族に進化していくんだと思うわ」


「え? バグベア出るの早過ぎない!?」


いの一番に声を上げたのはエリだった。彼女が口にした種族名に、エレが反応する。


「多分、エレが言ってるのはバックベアードの方だと思うわ。名前の元ネタになったと言われる、イギリスの妖精の方よ。人型みたいだし」


「バグベアは特にモノアイの設定は無いネ。バックベアードが混在してると思うヨ」


エレの疑問にエリと佐藤が冷静に答える。


「正統進化、という事は遠くを見る事に長けた種族、という事ですよね? 職業と合わせるとそちらの方が良いかと思いますが」


「うん、私もそう思うわ。正直、バグベアって最終的にサイクロプスとかそっち系に行きそうなのよね」


「純粋な戦闘力としては上がるだろうが、戦力としては微妙だな」


同じ探索班のガンゲイルがそう意見を口にした。


「という訳で、私は三つ目に進化するわね。一応、他の皆の進化先も聞いてから進化するから、先に進めて貰っていいわよ」


「わかりました。では次に……」


「じゃあ俺が」


次に手を挙げたのはグランドだった。


「進化先はウーズとジェルと溶解人間だ」


「闇に隠れて生きるのか?」


「最終進化で人間になるのか?」


「むしろ魔属っていうか、人属にいるべきじゃね?」


「溶解人間に食いつき過ぎだ。気持ちはわかるが」


怒涛の突っ込みに、グランドは呆れたような口調で応えた。


「ウーズとジェルはどう違うの?」


「多分正統進化はジェルだ。デフォルトのスキルで見ると、『物理耐性』が『物理無効』になる」


「おお、それは凄いですね」


「ウーズは攻撃に状態異常が乗るスキルを覚えられるようになるらしい」


「ファンタジーのエロスライムはウーズの方かな?」


「女冒険者の装備をヌッチョヌチョにするんだな」


「そうだな」


はんぺんとエレがイジるつもりでそうコメントするが、グランドは特に慌てる様子もなくその意見を肯定した。


「溶解人間はどういう種族なんですか?」


普段の言動を見ていると、ウーズを希望しそうだったが、ポラリスは一応確認してみた。


「スライムに消化中の人間がそのまま同化してしまったという設定らしい。人型のスライムだ。多少体を変化させられるから、グラップラーとしてはむしろ適した種族だな」


「人型ならダークメイルも装備できるでしょうから、有用そうですね」


「ああ。俺はウーズを選ぶけどな」


「だろうね」


「だろうな」


「だと思った」


グランドの言葉に、はんぺん、エレ、ギリがやっぱり、という表情を浮かべて頷いた。


「で、ではグランドさんはウーズに進化するという事で……」


「ああ、隅の方で勝手に進化しとくから、先に進めておいてくれ」


「わかりました。では……」


「あ、俺俺! ようやく不遇なスケルトンから解放されるぜ!」


ポラリスの言葉に手を挙げたのはギリだった。


「進化先はデスナイト、レッドボーン、リッチの三種だな。正統進化はバランス型のレッドボーン。直接戦闘ならデスナイト。魔法系ならリッチだ」


ちなみに、初期設定でランダム種族を選ぶと、デスナイトになる事ができる可能性があった事を、ギリは知らない。


「魔法系おすすめ」


「説得力が無い!」


魔法系に進み、経験値稼ぎに苦労しているエレが言うと、ギリがすかさず突っ込みを入れた。


「ギリさんはクラフトマンですからね。種族スキルのテーブルに魔法系が無いと魔法を獲得する事が難しいでしょうし、MPよりはSPを高めたいですね」


「そうなると戦闘系のデスナイトか?」


「戦闘系の種族で生産職ってのもミスマッチじゃないか?」


「ステータスの傾向を見ると『器用』と『幸運』がデスナイトはレッドボーンに劣るな」


「生産職チートで俺SUGEEEしたかったんだろ? なら『道具作成』が失敗する可能性の高まるデスナイトは不向きじゃないか?」


「そ、そうだな」


エレの言葉に、ギリは進化先を決めたようだ。


「折角だから俺はレッドボーンに進化するぜ!」


「わかりました。よろしくお願いしますね」


「ああ。新しい俺に期待してくれよな! あ、種族スキルまだ決めてないから、次に進めてていいぜ」


「では私がいこうかな」


次に名乗り出たのはガンゲイルだった。


「私が進化できるのはカマソッツ、ハルピュイア、フォレの三種だが、正直、カマソッツ以外の選択肢は無いと思う」


「一応、理由を聞きましょう」


「うん。ハルピュイアは所謂ハーピーだな。下半身が鳥で上半身が人間のあれだ。今の私とは逆になるわけだが、問題は、両腕の代わりに翼が生えているという点だ」


「あー、弓を使えなくなりますか」


「うん。『弓戦闘』があるのでひょっとしたらなんとかなるかもしれないが、少々博打の要素が強い」


あくまで『弓戦闘』は弓を用いた戦闘時にステータスが上昇するスキルであるので、そもそも弓が扱えなければ、意味が無い可能性が高かった。


「次にフォレは、人間の体に鳥の頭、とほぼ今の私に近いが、その頭が鶏だ」


「あー、ひょっとして飛べないんでしょうか?」


「そもそも私は翼で飛んでいる訳じゃなくて『飛翔』のスキルで飛行しているから、関係無いかもしれない。けれど、用心するに越した事はない。ついでに言えば、魔法寄りのステータスだ」


職業で魔法系の職業を所有していない場合、魔法寄りの種族は地雷だと認知されていた。

特に現在ガンゲイルは貴重な偵察役として頼りにされているので、ハンターから転職する訳にもいかない。


「恐らく正統進化は種族の説明からしてフォレなのだろう。カマソッツは人間の体に蝙蝠の頭と羽だからな」


「確かに、人鳥族としては微妙なラインですね」


「コウモリって鳥だっけ? 哺乳類だっけ?」


「哺乳類よ」


エレが首を傾げると、エリが呆れた表情を浮かべて答えた。


「うーん」


「佐藤さんどうしたの?」


「バードマンはそれほど位階が高い訳でもないし、その次の進化でカマソッツが出るのが気になってネ」


アノマロカリスの表情の違いなどわからなかったが、はんぺんは佐藤が何か納得いってないように思えた。


「地球の怪物で伝承があるの?」


「マヤ神話の吸血神ヨ。マヤ神話の冥府を征服してしまえるだけの力を持った、双子の英雄の一人を打ち倒す程ストロングなモンスターネ」


「ええ……?」


思った以上に強そうな説明に、はんぺんも困惑してしまった。


「ひょっとしたら何か特殊な条件を満たした事で進化可能になったレア種族なんじゃ……」


「なにそれ羨ましい」


エリとエレが憧憬の眼差しでガンゲイルを見る。


「話を聞く限り、確かにカマソッツしか選択肢が無さそうですね。問題ありませんか?」


「うん、むしろ他の種族を薦められたらどうしようかと思ったよ。それじゃ、進化するよ」


「ねぇゲイル、折角だからみんないっぺんに進化しない?」


「うん? まぁ、そうだな。先に全員の進化先を決めてしまおうか。という訳で魔王、次に進んでくれ」


エリの提案にガンゲイルはすぐに応じる。ポラリスも、特に気にならなかったので、先へ進める事にした。


「じゃあ次は自分がいきますね」


そう言ってケビンが前に出た。


「と言っても、自分の進化先はマッハイーグルしか無いんですけどね。多分、『ソニックタックル』しかしてなかったせいだと思います」


マッハイーグルはソニックスワローの正統進化先だった。

体当たりと爪でひっかく、嘴で突くというシンプルな攻撃方法しか無かったソニックスワローと同じで、マッハイーグルも他に攻撃方法が無い。

全長1メートル、翼長60センチとサイズはかなり大きくなるが。


「日本のオオワシが大体そのくらいネ」


説明を聞いた佐藤がそう補足した。


「マッハとソニックってどっちが速いんだっけ?」


「え? どっちも音速じゃないのか?」


「ソニックは『音速の』って意味の単語。マッハは速度単位。比べるものじゃないわよ」


ギリとグランドがひそひそと囁き合うと、エレがそう説明した。


「ではケビンさんはマッハイーグルに進化するということで」


「はい、お願いします」


「じゃあ次は俺がいきますわ」


そう言ってこんにゃくが挙手する。


「俺の進化先はマーマン、ペグパウラー、セルキーですな。正統進化はマーマン、ペグパウラーが魔法系、セルキーはトリックスターって感じでしょうか」


「ペグパウラーはイギリスで子供の躾に使われる、子供部屋の妖精に分類されるフェアリーネ。川の近くで遊んでいる子供を川に引きずり込むヨ。特に上流の流れの速い川に住んでいると言われているネ。そんな場所には水泡があって、それをペグパウラーの泡と呼ぶネ」


ちらりとポラリスが佐藤を見ると、彼女も心得たもので、すぐに解説を始めた。


「子供が危険な場所に近付かないように、親が脅しに使う妖怪みたいなものですね」


「セルキーはアザラシのフェアリーネ。普段は人間の姿をしているけれど、アザラシの皮を被る事でアザラシに変身できるヨ」


「『漁場』で稼ぐ事をメインにするなら、マーマンが良いんでしょうけれど、こんにゃくさんは希望はありますか?」


「面白そうなのはセルキーかなー、と思ってるんですが……」


「いいんじゃないですかね?」


言いながらポラリスはメンバーを見回した。全員が頷く。


「え、でも、これからクランを大きくしていこうって時に、ネタっていうか、ロールプレイ優先していいんですかね?」


「こんにゃくさん、最初に言いましたけれど、私は皆さんの意見を尊重したいと思っています。クランそのものを危険に晒すような行為でないなら、できる限り容認しますよ」


「そ、そうですか?」


「はい」


「じゃ、じゃあ、セルキーに進化しますね。なんか、すいませんな」


「いいんですよ」


「そうだぜ。誰にも相談せずに進化した奴だっているんからよ」


「それはもしかしなくてもボクのことだね?」


恐縮するこんにゃくに、げんごろーが笑いながら言った。その目線はユーキに向けられており、ユーキも軽口を返した。


「そう言えば、こんにゃくさんとダークさんはもうすぐ職業も上限に達しますよね。『転職所』を設置した方がいいですか?」


職業LVが上限に達すると、設定されている上位職業への転職が可能になる。

これは進化と同じく、自身のマジックウィンドウから選択すれば良いだけなので、『転職所』は必要としない。

また、上位職業に転職する代わりに、『副業』がなくても別の職業を一つ獲得する事ができる。

こちらには『転職所』が必要だし、最初に上限に達した職業は上位職業に変更できなくなる。


「そうですなぁ。セルキーがペグパウラー程ではないものの、多少魔力の伸びが良くなるので、魔法系の職業を獲得するのも良いかもしれませんな」


「ランサーはランサー系の上位職業を獲得したければ、ヘヴィやライトから転職もできますしね。自分はこのままグラップラー系統を伸ばしていこうと思うので必要ありません」


「あ、じゃあ俺もやめた方がいいですかね?」


「職業LVが上限に達した際に、下位職業への転職を選ぶ人は他にもいるかもしれませんから、先に『転職所』を設定しても問題ありませんよ」


あくまでこれまでは、特に必要としていなかったので『転職所』が後回しにされていただけだ。

これからも職業LVが上限に達するメンバーは出て来るだろうから、良い機会だとポラリスは思っていた。


「じゃあお願いします」


「わかりました」


長くなったので一旦切ります。

進化に関しても、自分の目的を優先するメンバー、周囲との兼ね合いを気にするメンバー、とその決定理由は様々です。

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