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15.マグナズイレブン2 中編

前後編だと思った?

ざーんねん、中編がありましたー。

前後編だと一番思っていたのは、実は作者であるという事は内緒


「おお……」


待機場所から出たマグナ達は、目の前に飛び込んで来た光景に驚かされた。

土の地面に、木と煉瓦でできた家。

行き交う人々は明らかに日本人とは違う人種。


簡素な衣服を身に纏った人々の中に、武装した者が混じっている。


「エルフとか、ドワーフみたいなのは、いないか……」


人々を眺めていた若菜しきなが呟く。

彼が想像する通りの、わかりやすい耳が長く尖っていたり、筋骨隆々で髭が濃い人間は見当たらなかった。


「例のサイトで見たビジュアルイメージだと、エルフやドワーフは、よくあるファンタジーものに出て来るような外見をしているはずだから、確かに、見た感じいないね」


モンガーも若菜に同意した。


「魔物でも、大丈夫みたいだな」


「ええ。でも、なにも問題無い訳じゃないみたいね」


自分達の方に視線を向ける人々は多いが、特に何も言われない事に対し、マグナが安堵する。

しかし、さざんかは、その視線にネガティブな感情が乗っている事に気付いた。


「とりあえずこの世界の事を色々聞いてみようぜ。魔物があんまり嫌われてないなら俺もモン娘でハーレム築きたい」


「漆黒の冒険者ルートはいいのかよ」


「状況次第で臨機応変にね」


そう言って、マグナ達は周辺の住民に聞き取り調査を開始する。

まずは地名が判明。

ただ、世界という広い枠組みは理解している人間がいなかったため、そこは不明のままだ。

大陸も理解しておらず、グリンデル帝国という国名がひとまず一番大きなくくりだった。

これが、この世界の人間の知識の限界なのか、あくまでこの街の住民の知識水準が低いのかはわからなかった。


「店は道具屋を兼ねた鍛冶屋が一つ。あとは酒場と食堂兼用の宿屋が一つ。住民が農作業などの合間に営んでいる個人商店がいくつか。この街の水準が低いと考えるべきだな」


若菜は街を見て回った感想から、そう結論づけた。


「街があるのはイドゥンナ子爵領。帝国の中でも特に大きくも小さくもない領地」


「その中でもこのエヘンの街はあまり大きなものではない、と……」


「魔王のダンジョンがある場所は、街から北に二日ほど行った山の中らしいな」


「山も特に名前が無いって、どれだけ田舎なんだよ」


「国があるのだから、地名が無いのは考えにくい。やはり、この街の知識水準が低いという事だろう。いや、この国の平民全般が、と考えるのが妥当か」


言葉が通じたのにはマグナ達も安心していた。

モンガーあたりは、きっと言語チートで大丈夫、と言っていたが、事実その通りだった。


勇者という存在は知られているが、マグナ達がそうだとは気づいていないようだった。

どうも、伝承やお伽噺の類だと思われているらしい。


「これがこの国、この世界の共通の認識なのか、国の上層部はわかっているのかで差が出るな」


「魔王は魔物の親玉として認識されてるから、国の上層部は知ってる可能性が高いよな」


そして、さざんか達魔物は、マグナの使い魔だと認識されており、マグナは魔物使いと考えられているようだった。

獰猛な獣を連れている調教師のような認識で、連れ歩く分には構わないが、本当に危険はないのか? と住民に危惧されていた。


「ひょっとしたら、俺達以外の勇者も、魔物使いとして認識されてる可能性はあるな」


「そうか、この世界に来たのが俺達だけとは限らないもんなぁ」


「俺達三人だけでも、約80人が関わっている。それならもっと多くいると考えても不思議じゃない」


そして、野生の動物と野生の魔物の区別はあまりついていないという情報を得た。

ゴブリンのような人型の魔物ならともかく、獣や虫型の魔物は特にその傾向が強い。


「同じ種族なら、私達が判断できると思うが……」


「見事に私達、一目で魔物、とわかる種族ばかりですもんね」


「カルバが一応、動物っぽい感じか」


「なぁ、ところでマグナ」


「うん?」


モンガーがマグナにそっと耳打ちした。彼の視線はトゥスに一度向けられる。


「お前、あれとか、アズマリアとかにも性的に欲情するの?」


「え? うーん、そう言えば考えた事なかったな」


それまでは、ただ魔物だ、という認識しかなかった彼女達に対して、クランに入れると、途端に魅力的に思えるようになった。

さざんかは耳としっぽが本物というだけで、完全にバニーガールにしか見えないし、ふふふやユリアも髪の毛が蛇だったり、目が一つだけだったりするが、基本は人間の造形だ。

雪風にいたっては、完全に人間の女性と同じ外見である。


舞、アズマリア、トゥスがそういう意味では異質だった。


「俺も上手くは説明できないけど、舞もアズマリアも美人だとわかるし、トゥスも普通に魅力的だよ。ただ、性的にって言われると、よくわからん」


「よくわらかんって……」


「俺童貞だからな。可愛いと好きがほぼイコールだし、そうなると、エッチな事したいって欲求は普通に湧いてくるし」


「それなら、性的に欲情していると言えるんじゃないか?」


若菜も会話に入って来た。


「いやぁ、具体的にどうしたいのかがわからないもんよ」


「あー、なんとなく、わからないでもない、かな?」


「なるほどわからん」


モンガーと若菜の反応の違いを、マグナは女性経験の有無の差だろうと推測した。

そして、それはあながち間違いではなかった。


「さて、これからどうする? このまま魔王のダンジョン目指すか? それとも、冒険者ギルドがあるっていう大きな街に行ってみる?」


「食料なんかの旅支度はしたいけど、金を稼ぐなら冒険者だろうなぁ。けど、街の人が言ってた大きな街も、歩いて三日とかじゃなかった?」


「金はあるだろ? マジックウィンドウに表示されていたぞ」


「え?」


若菜に指摘されて、慌ててマジックウィンドウを開いて確認するモンガーとマグナ。


「ほんとだ。100グリンって書いてある。グリンって地球の通貨にある?」


「俺は少なくとも聞いた事はないな。この国がグリンデル帝国だから、それに因んでいるんじゃないか?」


「あれ? 俺は50グリンしかないぞ」


「ストーリークリアでは金を貰えなかったから、職業による差だろうな」


モンガーが疑問を口にするが、マグナが予想を披露した。


「ちなみに俺の今の所持金は200グリンだ」


「ファイター>レンジャー>ドルイドか。戦う以外にできる事が多いと、所持金が減らされるのかな?」


「魔物の方にはお金が無いみたいよ」


「話に聞いた感じだと、ソウルが金の代わりか?」


「いや、それは俺達で言うところの英雄ポイントの方だろう」


「そういやこれ、何に使うんだろうな?」


「機能がロックされてるからなぁ。普通に考えれば、自分や仲間の強化か?」


「魔王が拠点の強化で、勇者が個人の強化。あり得るな」


「それで100グリンってどのくらいの価値なんだ?」


「聞き込みの途中で見た感じだと、簡素な布の服が一枚100グリンくらいだった」


金を持っている事を知っていたため、若菜はその辺りも注目していたようだ。


「量販店的に考えると、100グリンで1000円くらいか?」


「国が違えば物の価値が違って、当然値段にも違いが出るからなぁ。文明も年代も違うとなると一概には言えないと思う」


「魔王のクランにいた時にクラフトマンがいたが、服はスキルで作れるようだったから、安いかもしれないぞ」


「その職業が、俺達限定なのか、この世界の住人が全員持ってるかは気になるな」


「街の住民に聞いた感じだと、住民は職業を獲得していないようだったけど、どうなんだろうか」


「冒険者は持っていそうだよな」


「とりあえず、食料品を見てみるか。山まで二日。山の中のダンジョンの位置を考えると、そこから更に三日くらい? 多めに見積もって一週間分の食料が買えないようなら、まずは金を稼ぐか」


「ただでさえ大所帯だからなぁ、しょうがないね」


「なんか、悪いな」


そして街の中の食料を売っている場所を見て回ると、大体一食で10グリンほどかかる事が判明した。

勇者三人だけなら問題無くダンジョンまで行けるが、魔物も含めると流石に足りない。


「魔物がこの世界でも普通に生きていけるなら、大きな街に行って、そこで男性の魔物には冒険者になって貰えばいいかな?」


「男性限定かよ」


「魔物は同じ種族でないなら欲情しないとは聞いてるけど、会話ができる以上、恋愛はできちゃうかもだろ?」


「マグナ、流石にキモイぞ」


半眼でふふふに突っ込まれてしまった。髪の蛇も半眼になっている。

芸が細かい。


「けどそれどうなんだろうな? 魔物に敵意を抱かないのはマグナのクランに入ってるからだろ? クランから外れたら、魔物として討伐されちゃうんじゃないか?」


「うーん、それもあるかぁ」


「まぁ、食料なんかの旅支度のために金を稼がないといけないから、冒険者ギルドのある街に行くのは確定だし、そこでちょっと試してみればいいんじゃない? 魔物をクランから外して、ギルドにいる人間がその魔物を討伐しようとしたら、クランに入れ直せばいいんだし」


「そうだな。行ってみない事にはな」


「ならせめて、この街で実験しないか? ひょっとしたら冒険者ギルドの冒険者、超強くて、クランに入れ直す前に瞬殺されちゃうかもしれないし」


「それもそうか」


実験の結果は上々だったと言えるだろう。

一人の魔物をクランから外しても、マグナや他の魔物は勿論、若菜とモンガーも特に敵意を抱くような事はなかった。

その魔物を一人歩かせてみても、住民達は少し目をやるだけで、逃げたり怯えたりするような事はなかった。


「一度クランに入れれば、人属側として認識されるって事かな?」


「多分そうだろうな。魔王のクランにもう一度入ると、魔属に戻るんだろう」


そして彼らは食料を買い込み、近くにある冒険者ギルドの存在している街、エディオムへと向かった。

三日後、特に何の問題も無く到着する。


「野盗とか魔物の襲撃があるかと、ちょっと期待してたんだがなぁ」


「いや、この大人数を襲おうとする奴はいないだろ」


若干がっかりする若菜に対し、マグナは冷静に返した。


エディオムは3メートル程の高さの防壁で囲まれており、その周辺は水堀になっていた。

防壁の周囲には八つの出入り口が存在し、それぞれに門番が常駐。街に入るにはそこで審査を受ける必要があった。


「金が必要無いのは助かったな」


「道中で魔物を狩って、素材か魔石を手に入れられれば良かったんだけど」


「いや、魔石なんてないって前の街で言ってたろ?」


「あの街の住民が知らないだけかもしれないじゃんか」


そして特に問題無く、彼らは街に入る事が出来た。

魔物を連れているのでそこで何かあるかと考えていたが、やはりマグナの使い魔と認識されるだけで、特に気にされなかった。

むしろ、会話ができる事に驚かれたくらいだ。


「この世界の魔物の知能は動物並みだと知れたな」


「種族によるって門番の人言ってたでしょう?」


若菜の言葉に、さざんかが不快感を示す。


街は地面が土なのは一緒だったが、立ち並ぶ家に木製のものはあまりなく、煉瓦と石造りが主流だった。

行き交う人々の数も多く、エルフやドワーフと思しき人間も見える。

武装した人間が多いのは、冒険者ギルドがあるからだろうか。


「勇者でもいると、色々話を聞けて良かったんだが……」


「LV2挑戦中でもいいけど、LV2終わった勇者ならラッキーだよな」


色々と街を見て回りたいところだが、今日の宿代にも事欠く状態であるため、早速冒険者ギルドへ向かう事にした。

冒険者ギルドで仕事を貰える事は事前に聞いている。

護衛や魔物の討伐。戦争への参加。素材の調達など、その仕事内容は多岐に渡るという話だった。


暗殺などの、明らかに違法だろうとわかる仕事は、冒険者ギルドが国から独立して存在するために、受け付けていないらしい。


「闇ギルドとかありそうだよな」


「考えてみたら、俺のスキルって暗殺向きだよな」


「『一撃死』があるだけだろ。隠密系のスキルが何もねぇじゃねぇか」


そんな話をしながら歩いていると、ある建物の前に到着した。

出入り口が広く、扉が存在しない独特の造り。聞いていた通りの冒険者ギルドだ。


「あんまり大きくないな。この人数全員は厳しいか?」


「じゃあ俺と魔物数名で入って話聞いてくるから、二人は残りの魔物と一緒に待っててくれる?」


「ああ、そうだな。俺達の金稼ぎも大事だが、魔物が冒険者として独り立ちできるかどうかも重要だからな」


「じゃあユリアとトゥス、あとふふふ、一緒に来てくれる?」


「構わないが、一応人選の理由を聞いておこうか」


「石化が使えるから何かあった時のためにふふふ。ユリアは『鑑定』が使える。トゥスは『交渉』が使えるし、いかにも魔物って外見だから、トゥスが単独で冒険者として仕事できるなら他の魔物も大丈夫ってことだろ?」


「納得したわ、行きましょう」


トゥスが応えると、ふふふもユリアも頷いた。マグナも一度頷き、冒険者ギルドへと入る。


足を踏み入れると、ギルド内にいた人間が一斉に四人に目線を向けた。


「魔物使いか……」


「プレートを下げてないな。新入りか?」


「ドラゴン……にしては小さいな。トカゲ系の魔物か?」


マグナもギルド内を進みながら周辺を確認する。

人間、エルフ、ドワーフ。人間の成人と比べると小柄なハーフフット。獣の顔を持つ獣人などがいる。

だが、魔物はいない。マグナ達が珍しがられている事からも、魔物を連れている冒険者はあまりいないらしい事が推測できた。


「最近山奥から出て来て、あまり冒険者ギルドの仕組みを知らないんだけど、教えて貰っていいかな?」


カウンターらしき場所へ近付き、その奥に並んだギルド職員らしき人物の中から、若い女性を選んで声をかける。

下心、というより、打算ありきの人選だった。

マグナのビジュアル値は100。人間にとって彼の外見は絶世の美男子なのである。

余程趣味が変わっていない限り、異性はマグナに好意を抱くのは間違いない。


「は、はい! ご説明いたします!」


案の定、受付嬢は頬を紅潮させ、弾んだ声に緊張を滲ませて応えた。

周囲から、怨嗟の籠った目線と舌打ちが聞こえる。


「ぼ、冒険者ギルドに登録していただく事で、ギルドの紹介する仕事を受ける事ができます。その際、ギルドに所属している事を証明するためのプレートをお渡しいたします。これがありますと、街の出入りや国境の行き来で受ける制限が緩和されます」


冒険者ギルドは、複数国家にまたがって運営されているため、時には他国で活動する必要があった。そのため、手形や許可証の代わりになるのが冒険者プレートである。


「プレートには種類がございまして、冒険者としてランクを現しています。高いランクであれば、関所での制限が更に緩和されるだけでなく、国によっては貴族なみの待遇を受けられる事もあります」


魔物が跋扈し、魔王の存在が確認されているこの世界では、高いランクの冒険者は英雄として扱われる事が多い。

中には城や領地を与えてギルドから引き抜き、自国に引き込もうとする国もあるくらいだ。


「プレートのランクは色で別れておりまして、低い順から白、青、赤、紫、黒、銀、金、極色となっております。銀以上はこの国だけだと十人もいません。金ともなると、ギルドのある国全体でも、八人しか確認されておりません。極色はこれまで三人いましたが、どの方も鬼籍に入っております」


「キワ色って、何色?」


「え? 極色は極色ですけど……」


「この世界特有の色かもしれないな」


「ああ、成る程」


「玉虫色って何色? って聞かれても困りますもんね」


ユリアのコメントはどこかズレていた。


「紫まではここのようなその国の支部ギルドでも認定できますが、黒以上は各国の本部でしか認定できません。極色は冒険者ギルド発祥の地であるアルティアラン聖王国の本部ギルドでのみ認定を受ける事ができます。認定を受ける際は、冒険者としての実績を基に、支部長や本部長によって審査されます。極色は全ての本部長の賛成が必要です」


「成る程。ところでさ、冒険者登録は誰でもできるの?」


「はい。ある程度の審査は必要になりますが、基本的には登録料を払っていただければ、誰でも可能です」


「……それって幾ら?」


「おひとり様、100グリンとなります」


「……足りない場合はどうすればいい?」


「えー、と……。審査が通れば、報酬が100グリンを超えている仕事を紹介させていただきまして、その仕事の達成をもって、登録完了とさせていただきます」


「100グリン分の仕事ってどんなもの?」


「一日あれば終わるような簡単な仕事ばかりですよ」


言ってしまえばルーキー冒険者に紹介する仕事なのだから、それは当然だった。

逆に言えば、冒険者としての仕事は少なくとも100グリンを超えるようなものばかりであるという事なので、実入りは相当良いように思えた。

勿論、相応の実力がある場合の話だが。


「そうか。ところでさ……」


言いながら、マグナが顔を近付ける。

受付嬢の顔が、更に赤くなった。背筋が伸び、体が硬直するのがわかった。

周囲から漏れる舌打ち。ユリアがふふふを見たのは、そちらから舌打ちが聞こえた気がしたからだろう。


「魔物単独って登録できるの?」


「単独……ですか? 魔物使いとのチーム登録ではなく?」


「……まずそのチーム登録を聞こうか?」


どうやら単独での登録は難しそうだと考えたマグナは、そちらを確認する事にした。


「魔物使いに限りませんが、複数の冒険者でチームを組んで登録する事ができます。この時、チームの代表者が銀以上でなければ、チームのランクはそのチーム内で最も低いランクの冒険者のものになります」


銀以上になると飛び抜けた実力の持ち主であると判断されるため、その人物を基準に依頼をしても問題無いという認識だった。

それより下のランクでは、チーム内でランクの低い者が足を引っ張って仕事を失敗してしまう可能性が高いと考えられ、彼らを基準にした仕事しか依頼されない。


「基本的には、世代交代を考えるベテラン冒険者が、新人を鍛えるために利用する制度ですね。稀に、魔物使いが魔物を冒険者登録する場合に利用されます」


「勇者と、そのクラン入りした魔物の事だろうな」


「ですね」


受付嬢には聞こえないよう、ふふふとユリアが小声で囁き合う。


「チームは絶対にチームで活動しないといけないのか? 例えば、怪我や体調不良でチームの代表者が仕事をできないときに、他のチームのメンバーだけで仕事をする事は可能?」


「可能です」


「わかった。じゃあチームで登録するよ。代表者は魔物使いの俺、マグナ。チームにはこの三人に加えて、他に20人を登録する」


「に、二十人ですか!?」


「あー、あと二人増えるかも」


これまで例を見ない人数に、受付嬢が驚く。

若菜やモンガーがどうするかも考え、マグナは更につけたす。


代表者がいなくても冒険者として活動できるなら、マグナを代表者にして魔物をまとめてチーム登録。

その後、勇者としてマグナと女性の魔物が活動するのとは別に、男性の魔物達は冒険者として活動すれば良い、と考えた。


勿論、男性魔物達が、全員冒険者になる事を望むとは限らない。

彼らにだって、この世界に来た目的がそれぞれある筈だ。

しかし、その目的を達成するためにも、まずはこの世界で生活基盤を築く必要があるだろう。


人属との交流を望まないなら、これから向かう魔王のダンジョンを再利用するのも良いだろう、とマグナは考えていた。


若菜とモンガーは、冒険者として登録はするが、チームでの登録は拒否した。

LV2ストーリーが終わり、このまま三人一緒に行動するなら、その時にまた改めて考えるという事だった。


マグナと23人の転生者のチーム登録は普通に認められた。

そもそも、マグナの戦闘力が、審査に当たったベテラン冒険者を圧倒していた。

それに加え、会話が可能な魔物がまず希少であるし、それをこれだけの数連れているとなると、相当な実力者であると判断されたためだ。


「ひょっとしたら、我がギルド初めての、黒ランク挑戦者が出るかもしれないな」


実績のある冒険者を本部に推薦できれば支部や支部長の評価も上がる。

マグナ達が金の卵である事を夢見て、支部長はほくそ笑むのだった。


ひとまず、リリースする魔物達の就職先は確保しました。

次回はダンジョン攻略の予定。

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