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10.クランの会話

会話文多めです。

長くなったので、どれが誰のセリフかは極力省きました。

一応、わからなくても問題無い造りになっていると思います。


手に入ったソウルを何に使うかも合わせて話し合いをするため、クランメンバー全員を集めて勇者マイガの話を聞く事になった。

ちなみにマイガは名前の由来を話したがらなかったが、クランメンバー一覧を見れば、なんとなくその理由は察せられた。


逢魔 維牙


見なかった事にしてポラリスは話を進める事にした。


「LV1ストーリーを終えたら、待機場所とか言う場所へすぐに送られたんだ。結構広い部屋だったよ。そこで、今回一緒に来た二人と顔を合わせた」


そして三人が揃うとアナウンスが響き、LV2ストーリーが開始したのだと言う。

頭の中に地図のようなものが浮かび、目的地が表示されるようになった。


「それがこのダンジョンという訳ですか」


「ああ。それで外に出れるようになったんだ。外に出てみると、小さな街の中だったよ。自由に動けたし、制限時間も無いみたいだったから、街の中を見て回って、この世界の事を色々と聞いて回って、それで、暫くその街を拠点にLV上げをやってみたんだ」


街は煉瓦か石造りの家でできていて、道は均されてこそいるが、アスファルトは勿論、石畳すら敷かれていなかった。

文明レベルは相当低いと想像ができたし、まさに、剣と魔法の世界、と言った世界観だった。


街の人間は、マイガ達を勇者だとは知らなかったようだ。

遠い外国からやって来た設定にして、この国の事を色々と聞いた。


「世界って言うとその概念が理解できてないっぽかった。だから大陸、国、とどんどん枠を小さくしていったんだ」


国にしても、フォルスナ王国という国名くらいしかわからなかった。

グゥエンメ男爵が治める領地の南にある、その中でも小さな街、ディグというのがマイガ達が送られた街だった。


「ちなみに、待機場所は俺達が外に出たら、いつの間にか消えてたよ」


「まぁ、勇者だと知られていない人間を、複数人収容しておけるそれなりに大きな建物、なんてあるわけないからな」


ミノタウロスのげんごろーが相槌を打つ。

あれば、それは牢獄だとうと考えた事は黙っておく事にした。


「街の周りには動物系の魔物が居たけど、正直、俺達にはそれが魔物なのか、動物なのかは区別がつかなかった。街の人に聞いても、昔からそう分類されてるだけって事で、明確な基準はわからなかった」


大きな街に行くと、冒険者ギルドがあるから、そちらで聞けばわかるかもしれない、という事だった。


「おお、冒険者ギルド!」


「行ったのか!? ギルドに登録したりしたのか!?」


「やっぱり、登録には試験みたいなのがあるのかなぁ?」


「そこでギルドマスターが直々に試験してくれて、『この俺に本気を出させるとはな』みたいな展開になるんですね」


「いや、何があるかわからなかったし、ひょっとしたらLV3とかのストーリーで行く事になるかもしれないから、行かなかった」


三人の中に、チュートリアル中に勝手な行動をして、チュートリアルを中断された勇者がいたらしく、それを恐れたという。

往々にして、こういう時の知り合い、や友達、は話している本人なのだが、ポラリスは敢えて突っ込まなかった。


「今はもう、ストーリーを諦めたから、気にせず大きな街に行ってみるつもりだよ。とりあえず、武器と防具は欲しいから」


「こん棒と革の鎧でよければ、お渡しできますよ?」


「まぁ、無いよりマシか。あとでお願いするよ」


どちらもSPだけで作成できる装備だ。

防具としては『革の鎧』より、『素材』が必要となる『布の服』の方が弱い。

販売用としては『布の服』の方が有用なのだろう、というのが結論だった。


「でまぁ、三日くらい戦ってみたんだけど、あんまり経験値が入らなかったから、魔王とその配下以外からはまともな経験値が入らないんじゃないかって結論になって、このダンジョンへ向かう事にしたんだよ」


「それはこっちも同じだったな。勇者は最初の魔王軍を倒した分の経験値が入っているらしいから、その分LVも高いだろう。LVの低い俺達でも、結構な数を倒さないとLVが上がらなかったからな」


「『漁場』や『狩場』で出て来る中ボスはそこそこ貰えるんだけどね」


「経験値だけなら『訓練場』の方が効率良いかもなー」


ちなみに『訓練場』は建設されていない。一週間で稼いだソウルは、全員分の『私室』と勇者迎撃用のダンジョンの改築で殆ど使っていたからだ。

マイガ達が予想した通り、『落とし穴』から『プール』へ繋がるトラップが一番ソウルを消費していた。

しかも、『プール』に限らずダンジョンの全ての施設は、『ダンジョンの入口』と施設や通路で繋がっていなくては利用ができないため、その分のソウルも必要だった。


「私達でも、魔王様とげんごろーさんでは、1LV上がるのに必要な経験値が違うし、げんごろーさんと私でも違うしね」


「位階が関わってるんだろうな」


「アキラと魔王が同じくらいだから、やっぱり勇者はLVが上がりにくいんだろう」


「道中は特に変わった事は無かったね。まぁ、日本から来た身としては、見渡す限りの大自然は、それだけで十分な見どころではあったんだけど」


「そう言えば、街からこのダンジョンまではどのくらいなの? こっちのストーリーだと勇者が来るのが約一週間って話だったから、一週間かかる距離だと思ってたんだけど?」


「ああ、大体そのくらいだな。街からダンジョンのある森まで二日で済んだんだけど、森の端からダンジョンまで五日かかった」


「やっぱり、この森相当広いのね」


一週間の探索の結果、エレ達もその結論に達していたが、想像以上の広さに驚いていた。


「五日ってどのくらいの広さだ?」


「時速5キロで一日十時間歩いたとして250キロ。直線距離だと新潟県の西から東まで。あるいは鹿児島の霧島から関門海峡まで。もしくは北海道の札幌から釧路まで。日本人以外が居る可能性を考慮すると、福岡から韓国まで。ロンドンからパリまで。サハラマラソンが250キロね」


「なるほどわからん」


「ダンジョンが森の中心にあったら更にヤバイな」


「しかもその想定、相当緩くしてるよな。一日十時間とか普通にきついし、道も舗装どころか均されてないだろ」


「まぁお陰で見つかりにくいですし、『素材』や食べ物も沢山手に入りますしね」


「そうだねぇ、仮にダンジョンを出て外へ行こうにも、話に聞く限り、魔物じゃ居場所がなさそうだし」


「それならダンジョンで安全に暮らした方がいいだろうね」


その後、マイガ達はダンジョンに辿り着き、そして返り討ちにあった。


「スキルや勇者の設定なんかはアキラから聞いた話と特に変わらない感じか」


「いっそマイガをスパイに仕立ててみるか? 人間社会の事を色々聞いて来て貰って、それを報告して貰う形の」


「気になったんだが、俺『魔物指揮』効くから、扱いとしては魔属っていうか魔物なんじゃないのかな?」


アキラが懸念しているのは、主従の関係を結んだ時に彼の中で感覚に変化があったように、魔王と主従の関係を結んだ人間を見る相手側にも、何かしらの変化があるのではないか? という事だった。


「でもアキラ君を見た勇者は、最初魔属側の人間だって勘違いしたよね? あれもダンジョンにいて敵対してたからわかっただけで、魔物とは認識していなかったよね」


「野生の動物と魔物の違いがよくわかっていないんだから、大丈夫じゃないのか?」


「それなら監視の意味も含めてアキラも一度街へ行ってみて、確認して来たらどうだ?」


「途中で他の勇者に会うのが凄い怖いんだが……」


「そうか、普通の人間ならわからなくても、勇者とか勇者を知ってる奴だと、鎧を見て気付く可能性があるか」


「かと言って、危険があるかもわからない場所に行かせるのに、装備の質を落とすのもなぁ」


「え……? なんか凄い怖い話してない? 俺外に出て大丈夫なの?」


「危なくなったら戻って来ていいですよ」


「色々お世話おかけします」


話を聞いていたらマイガも不安になってきたようだ。

ポラリスのフォローに頭を下げる。


「まぁ、アキラは大事な戦力だし、マイガも可能なら手伝って欲しいところだが、一応は人間だからな。行きたいというなら人里へ降りるのは止められんだろう」


「そんな熊か狸みたいな表現で……」


「ああ、俺は暫くはダンジョンにいるよ。そうだな、何か必要があって人属の勢力に向かう時もあるだろうから、顔を完全に覆う兜とか造って貰っておくと便利かもな」


「防御力の点でも重要ですし、考えておきましょうか」


「ミリエラ着るんじゃ駄目なのか?」


『ポラリスさんのステータスアップの方が重要では?』


ミリエラは兜のついた全身鎧なので、確かに彼女を装着すれば、その正体は隠せる。

だが、戦闘時には、将棋の王将であるポラリスを守るため、彼に装着されている事が多い。


「あの鎧の人はなんで筆談してるの?」


「そういう種族なんだ」


あまり内情を明かすのもどうかと思ったので、げんごろーはそう誤魔化す。

ダークメイルのスキルくらいなら、この世界に来る前にサイトで見ている可能性があるので、そちらは気にしないでいた。


「鎧の上からは『装着』不可だしな。一応、防御力の点では俺の鎧の方が上だし」


「そこは流石に勇者の装備なんですね」


「ところで、マイガから奪った装備、誰が使う?」


「剣はライトセイバーのユーキでいいとして、鎧はミリエラみたいにサイズが変わる訳じゃないしな」


「上半身だけだから、ある程度サイズが合えば、人型の上半身なら大体いけるか?」


「げんごろーさんは無理そうですね。私は非常時にはミリエラさんを着る事になると思いますので、優先度をさげましょう」


「防御力が高いんなら、魔王こそ装備するべきでは?」


「総合戦闘力を上げるという意味では、ミリエラさんの方が有益だと思います」


「それなら普段は魔王様に着ておいて貰って……駄目ね。緊急時に鎧を脱いでミリエラを『装着』する事はできても、脱いだ鎧を誰かが着る時間は無いかも……」


ミリエラの『装着』はスキルなので、全てのパーツを一度に身に着けるのであれば一瞬で済む。

能力向上効果はないが、意思の疎通を図るために兜だけ、となると普通に兜を被るように装備しないといけない。


上半身のみとは言え、鎧を着るとなるとそれなりの時間がかかると、エリは考えたようだ。


「サイズ的にはエリさん、ドーテイさん、ぷっちりさん、おんたまさん、こんにゃくさん、幸恵さん、シュガーさん、惣栄さん、ゲオルグさん辺りでしょうか」


「重量のせいで『筋力』が低いと『敏捷』にペナルティがつくから、エリ、幸恵、シュガー、惣栄はやめた方がいいだろうな」


一つ目でレンジャーのエリ、インプでウィッチの幸恵、ダークマージでソーサラーのシュガー、デビルプリーストでプリーストの惣栄は、アキラの言う通り、鎧を装備するのには向かない。

まだ魔法職組は後衛であまり動かない立場なので、そこまで気にする必要はないかもしれないが。


「あと個人的に幸恵さんには露出を抑えて貰いたくない」


「グランド、お前いつ性欲無くなるんだ?」


「成人向け用のスライムと思い込めばいける気がする」


「やめろ、この面子だとシャレにならないから」


「触手持ちや豚の方のオークがいないな」


「だからやめろ」


「人型でもげんごろーとは逆に、エレも小柄過ぎて無理。ギリも肉が無いせいでサイズ合わないしな」


「はんぺんさんも着れたとしても利点が無くなるだろうからね」


「はんぺんに何かを着せるなんてとんでもない!」


「おいそこのエロスライム、いい加減にしろ」


「さて、装備の事はのちのち考えるとして、今回手に入ったソウルはどうしますかね? それと、一ヶ月後に向けての方針を大雑把でもいいので決めておきましょう」


収集がつかなくなりそうだったので、ポラリスは話を先に進める事にした。方針の話し合いをする中で、自然と鎧を装備させるメンバーの方向性も決まるかもしれない、という思惑もあった。


「やっぱ防御施設だよな。軍隊って事は質より量だろ?」


「塹壕戦だな。マイガから聞いた限りの文明なら多分そこまで進んでないだろう」


「いやいや、俺達以前に魔王や勇者が来てる可能性は十分にあるんだから、そいつらが教えてるかもしれない」


「まぁ、確実に来てるでしょうね」


「鉄砲とかは知識が無いと作れないし、知識があっても作成技術が無いと作れないから、兵器は無い可能性が高いけどな」


「ていうか、勇者なら鉄砲教えないんじゃないか?」


「うん? アキラ、それは勇者としての本能か?」


「本能と言えば本能かもな。魔属として転生した側ならともかく、人属として転生してる奴の目的なんて、大体チーレムだろう」


「まぁ、そうだね。他の二人も、そっちの願望あったし、一人は名前がチーレムだったし」


正確には『チートハーレム某集中@異世界』だったのだが、そこはせめてもの情けでバラさないでおいた。


「鉄砲なんて教えたら、自分の優位性が揺らぐだろう」


「あー、それはあるか……」


「スローライフ目指して来た奴なら、それこそ鉄砲を教える必要が無いし」


「とは言え楽観はできません。と言っても、鉄砲、銃に対する有効な手段が思いつかないんですが……」


「まぁ、障害物だな。原始的な銃ならあとは雨か」


「ならやっぱり塹壕は重要だな。ダンジョンの外だと、トラップとか配置できないから、入口から『玉座の間』までを一本の長い通路にしておいて、そこに『空堀』を大量に設置。塹壕陣地を築こうぜ」


「一本道なら敵側にはほぼ遮蔽物が無いから、後方からの魔法や遠距離攻撃で完封できそうだな」


「軍隊一人あたりの強さってどれくらいなんだろう?」


「俺が人間だった頃より、この世界に転生した時の方が身体能力上だったから、少なくともミノタウロスなら鍛えた人間よりステータスが上だな。感覚的にはLV1ミノタウロスの三割くらいか」


「階級は?」


「70キロ以下級」


「ならそれを人間のLV1と考えてもいいのかな? 鍛えたってのは職業による補正と考えて……」


「LV1の頃の皆さんの資料ならまだ残っていますよ。えー、と……。げんごろーさんの三割だと、エレさんより少し強いくらいですかね」


「鍛えた人間には負けるんだな、ゴブリン」


「総合力ではガチで一番下だったからな」


「どう見ても戦闘向きの種族じゃない一つ目()よりも下だったからね」


「器用貧乏っていうか、ただの貧乏だったよな」


「ひどくね!?」


「『戦闘指揮』は『狩場』で役に立ったな。魔王には効果を発揮しなかったから、実戦だと微妙だが」


「水場には配置できないし、アキラ達の方だと流れ弾が怖くて配置できなかったからね」


「まぁでも、エレさんはもうすぐLV上限に達しますし、進化したら変わるかもしれませんよ。元が弱い種族ほど、育て上げると強くなるんですよね?」


「ゲームだと大体そうだな」


「一応ホブゴブリンにはもうなれるけどな。進化後はLVが1になるみたいだから、限界まで上げてから進化するつもりだけど」


「その時には別の種類に進化できるかもしれないしな」


「となると『通路』を伸ばして『四辻』を消して、『空堀』を設置ですか……」


ポラリスはマジックウィンドウを開き、ダンジョンの増改築の項目を開き、プレビューで必要なソウルを試算する。


「『通路』は四百メートル、『空堀』を十メートル間隔で設置できますね」


「2000って、施設を設置すると簡単に無くなるけど、『通路』とトラップだけならそんだけいけるのか」


「モンスターもゴブリンなら一体10で配置できるから、二百体作れるぞ」


「ステータスで考えると、完全に使い捨てだけどな」


「相手が何人かもわからないし、基本的にステータスはノーマルのゴブリンより上だろう? ゴブリン二百体作ってもソウルをドブに捨てるだけになりそうだな」


「それならとりあえずこのソウルでさっき言った通りの地形を作って、これから一ヶ月で稼いだソウルでモンスター配置するのがベストか?」


「ならゴブリンより、遠距離攻撃のスキルを最初から持ってる、リリパットやダークマージがいいな」


「リリパットは50。ダークマージにいたっては100かかるけどな」


リリパットはゴブリンに似た小人の魔物で、種族スキルに『射撃』を持ち、最初から弓と矢を保有して出現する。

ステータス的にはゴブリンと大差ないが、スキルと武器のためにゴブリンよりはコストがかかる。

ちなみに、マイナススキルを大量に持つスケルトンは30で配置可能だった。


「軍隊って事は物理攻撃主体だろうから、スケルトンやスライムもありだな」


「前回は一週間で期間が短かったせいもあって余裕無かったけど、今回は色々試してみたいな」


「『狩場』をもう一つ設置して実験場にしてみますか?」


「いや、そんな事しなくても、実際に通路で模擬戦みたいなのをやってみればいい。『狩場』だと折角配置したモンスターがロストする可能性があるし」


「危うくボクがロストしかねたからねぇ」


「笑えねぇよ」


「『バリスタ』や『マジックシューター』も役に立ちそうだけど、高いんだよな」


どちらも遠距離攻撃をするタイプの防御設備だ。


「『マジックシューター』は500もかかるけど、『バリスタ』は300だ。通路を作ったあと、モンスターを配置する前に幾つか設置してもいいんじゃないか?」


「あとは特定の武器や戦闘スキルを持たない奴は、弓を練習して弓のスキルを得るべきだな」


「『転職所』でアーチャーに転職するって手があるぞ」


「職業LV1になるわ、前の職業消えるわ、で使い難そうって結論出たろ」


「しかも設置費用は5000ソウルだぞ」


「はい」


とそこでアカギが挙手した。


「『反魂儀場』を設置して欲しいな」


「え? それなんだっけ、ちょっと不穏な響き……」


「蘇生用の施設か? あるなら是非とも欲しいが……」


「死後五十日未満の死体を設置すると、七日後にゾンビになってダンジョンに配置できるようになる施設ですよ。ステータスは元になった死体の生前の強さに依存します」


「ええ……」


「魔王らしいっちゃ、らしいか……?」


「折角勇者の死体があるし、利用しない手はない。皆も死んだ時に生き返る事ができて、一石二鳥」


「それは生き返ったって言えるのか!?」


「知識は原則『ない』なので言えないと思います」


「例外が存在する?」


「生前のステータスによるみたいですね」


「それはたぶん、LV100とかの奴じゃないと自我を持ったりするのは無理な奴だな」


「一回の使用で一体しか設置できないから、使うなら早いうちに設置した方がいい」


「疑似的な蘇生と考えるかどうかはともかくとして、戦力増強という意味では、あると便利な施設よね」


「え!? エリ本気で言ってる!?」


「一ヶ月後には大量の死体が手に入る事を考えると、設置はアリだわ。それこそ、外で狩った野生の魔物や動物も、ゾンビにしてしまえる訳だしね」


「そう言われるとそうかもしれないけどね……」


「まぁ、感情的な話をするなら、反対したいわね」


「だよね!」


『反魂儀場』の設置への忌避感は女性陣の方が強いようだった。


「うーん、でも相手を殺してソウルを手に入れて、それでモンスター配置するのとあまり変わらなくないか?」


「完全没入型のゲームやってるならそういうロールプレイもありだと思うけど、一応は現実である以上、使えるものは使った方がいいと思うぞ」


「俺達だって、自我をもってゾンビになれる可能性もある訳だしな」


「それで死んでも大丈夫、とは思わないけど、死んだ時に完全に可能性が無いよりは精神的に楽かな」


ただ、メンバー全体では賛成意見が多数だった。

消極的肯定ではあるが。


「……『反魂儀場』を設置しましょう」


「魔王様、いいの?」


「反対する皆さんの気持ちもわかりますが、純粋に施設として見た場合『使える』施設なのは間違いありません。それに、はんぺんさんの言葉じゃありませんが、ゾンビにこそなってしまうけれど、生き返る事ができる、というのは大きいと思います。まぁ、勇者で試してみて、駄目だったら恐らく転生者だから無条件、とはならない証明になってしまいますが……」


「まぁ、そうね。死なない事を優先したら、アリな施設よね」


「施設設置の時のコストだけで、あとは定期的にタダで戦力が増えると考えたら、そうとう強力な施設だよな」


こうして『反魂儀場』の設置が決まった。

必要ソウルは1000。残りのソウルでとりあえず通路だけ四百メートルに伸ばし、これから稼いだソウルで『空堀』を設置する事になった。


その後はモンスターを幾つが配置してみて、使いにやすいモンスターを見極めていく。

どのモンスターも微妙、と言うなら『バリスタ』などの防衛兵器を設置する方針となった。


基本的に、一人称、二人称、敬称のありなし、魔王への呼称、口調、発言の傾向は設定してあるので、3.から見直してみると、どれが誰のセリフかわかると思います。多分。

クランストーリーのクリア条件などと含めて、近いうちに簡単なキャラ紹介のようなものは造りたいですね。

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