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明瞭ではない提案

第1話はフライングしてしまったので5話載せるのではなく

16日は4話投稿する運びとなります。とはいえ5話まであらすじのようなものです。

本編は6話から始めようかと考えている次第です。

では本編の方をどうぞご覧ください。

ひゅう麗華れいかにはこれから何が始まるのか

その決定打も何もかも予想がつかなかった。

だが龍牙はやりたいこと―を皮切りにもう一つ呟いた。

そしてそれが2人の耳に入ると同様に動揺した。

龍牙はそんな2人を見届けるや否やそのまま病室から飛び出るように

出て行ってしまう。それを横目に彪は一間を置いて麗華を

置いたまま龍牙を追いかけた。


「おい!ちょっと待て龍牙!」


「…どうした?」


龍牙の目は黒く濁っている。

だがそれに彪は気付いていない。

だが先の龍牙とは思えないどす黒い何かに

支配された声とその言葉には

耳を疑わざるを得なかった。

やっとやりたいことが固まったその後あいつは呟いた。


―――巻き込んでしまえば良いんだ。


「先のあれはなんだ?巻き込むって…一体…」


「ああ……ごめん。何も話してなかったな。

 でも話すようなことじゃないだろ、どうせ分かる。」


はぁ?と溜め息混じりに龍牙を見つめる彪。

だがそのときはじめて彪は戦慄する。

龍牙の目も口も表情も目もすべて本人じゃない

何か悪魔のようなものに憑依された何かだった。

だが本人がそれを知るはずもなく龍牙は続ける。


「簡単に言えば…ゲームだろう。

 命を懸けた、いや賭博したの賭けだな。

 本当はゲームをやる気はなかった。」


実験と称して拷問を繰り返せば嫌でも吐くことになるだろう、

龍牙はそう締めくくって家に戻るが?と彪に尋ねる。

彪はそれに疑念を抱きつつ無言のままついていった。







「ゲーム?なんだよそれ、麗華も置いてけぼりにして……」


彪には龍牙がいきなりどうしてゲームと叫び

美粋の場所を離れたのかそしてなぜ美粋と龍牙が住む家に

戻ってきたのか、その真意と理由が分からなかった。

ただ一ついえることは龍牙の目や表情がこの世の

ものとは思えない憎しみに歪めた表情になっていたからだった。

龍牙は足を早めて家の廊下をドタドタと歩きながら地下へと通ずる

扉を開けるとそのまま地下へと梯子を渡る。

今時地下のある家というのも珍しいが彪は何度もここで遊んだ経験が

あるからか不思議には思わない。

だが一つあるとすればどうして自室ではなく

地下に足を早めたのかということだった。


「なんだって地下に……」


「ここの方が都合が良いからだ。

 それに彪にも麗華にも慣れ親しんでる空間でもあるだろ」


暴力を振るうかのようにやさぐれた口調で呟く龍牙に彪は

今まで抱きもしなかった何か変な感情を抱きつつ

龍牙になおると本人の表情に憎しみはなく代わりに

少年が何か冒険するようなキラキラとした目があった。

だが彪にはその目がどうしてか龍牙の目だとは見受けられなかった。


「だとしても、だ。

 さっき言ったあれはなんだ?いきなりどうしたんだ―――」


どうしたんだよ、と言う前に龍牙が話を始める。


「過去に相沢芳次が事件を起こしたのはこれが初めてじゃなかった。

 前にもあったんだ、いくつも。だがどうやってか事件は無かったことに

 もみ消しにされてた。……で俺はある事件に遭遇した被害者と連絡を取った。

 その人は大事な孫娘が被害となった。

 他にも息子が脅迫させられて顛末には自殺未遂になったり…どれもあいつは

 事件を起こしそして"捕まっていない"」


「色々突っ込みたいところはある。

 だが聞かせてくれ、その捕まっていないってのはどういうことだ?

 そんなに事件を起こしてるならとっくのとうに…」


龍牙は彪のその続き、何を言うのか予想し言葉を紡ぐ。

そしてその言葉は予想通りに当たり彪はえっと驚く。

言葉は―警察に捕まっているはず。だった。


「確かに。だがやつは捕まらない。

 警察と裁判に何かしらの繋がりがあるのかもどうかも分からない。

 でも今回ので俺はよく知った。

 法律ではあいつを裁けないってことだ。

 そこで被害者たちからの協力を受けることにした。」


協力…?

彪は思わず口にして驚く。

龍牙はその彪を見ながら主に金銭面で、とも呟き

地下の壁に貼り付けられたそれを覆う布を剥がす。

そこにはある建物の構造とその設計図が書かれていた。

資料はここにもある、と龍牙は取り出す。

その光景に彪は思わず笑いそして龍牙を睨む。


「何する気だ、龍牙」


「だから実験だよ、主にやつの心理を追求する実験を

 オリジナルの実験会場でな」


龍牙の目の迸りは確かに本物だった。

龍牙は今本気でこの計画を遂行させようとしてる。

彪はそう感じる。


「それに病院でも言ったようにただ吐かせるだけじゃあいつの罰にもならない。

 それじゃあまた狂ってしまえば何も言えなくなるのが道理だ。

 だから拷問や尋問の類はなくていい。

 代わりにやつを別の方法で苦しめることが出来れば

 それでいい。その方がきっと浮かばれるさ、色んな人にな。」


と言って龍牙は更にその計画書が張った壁ではなくその横の布を剥がす。

そこにはテーブルとその上に多くのPC部品とそのボックスPCが多く陳列されていた。

折川彪は自前でプログラムを構築したり趣味でハッキングをしたりと

自称ではないもののかなりPCに関してはできるやつだった。

そして自分では買えない部品やPCやディスプレイ、その他欲しかったあれこれが

目の前にあった。その光景に彪は息を呑む。


「これはお前用に発注したものだ。

 彪、お前はPC処理が得意だろう。主にネットワーク制御、ハッキング、

 プログラム作成…山ほどの知識を持ってるお前に頼みだ。

 今回の実験に必要なプログラムを構築してくれ。」


「……」


彪は固まる。

だがその目は迷っている目ではない。

龍牙はダメか、と考え溜め息を漏らす。


「お前はどうしてここまでこんなことをするのか、

 そしていきなりすることにしたのかと考えているだろう。


 ―――1つ目の理由としては俺らの仲間が意識不明の状態にさせられたうえ

 犯人となる相沢芳次は美粋を欲している。

 それが俺はとてもじゃないが生理的に受け付けない。


 ―――2つ目は犯人が美粋を狙っていなくとも今後俺たちに

 何らかの攻撃が来ると言っても過言ではないことだ。

 あいつはどうしてか罪を無かったことにできる。

 だったら今度は俺たちになるかもしれないからな。


 そして―――3つ目は…お前があのとき考案した色んな人を巻き込んで

 ゲームをしようという発言。

 あれが単なる冗談だったとしても

 俺には、俺にとっては同調として聞こえた。

 どう考えるかは俺は分からない。

 でも同調したとき俺はお前にならこのことを話せると感じた。

 親友だからなのかは分からない。

 だが俺から言えることはただ1つ。」


そう皮切りに龍牙は呟く。


「俺の気が変わらないうちに相沢芳次あいつ

 裁く手伝いをしてくれないか俺は美粋のため、

 そして俺たちを脅かす存在のために。」


彪はその考えを全て聞くとふぅーっと溜め息を長めにつくと

質問を龍牙に投げつける。


期間は? ―――そう遠くないうちに。


本人はどうする? ―――拉致する。


拉致してどうする? ―――拉致前に建設を終わらせる建物に幽閉、実験を始める。


プログラムは…ああ、だから俺か。

もしもやったとして俺たちの安否はどうなる?


―――俺たちが世間でどう言われるかは分からない。

でも決して良くはない、もし捕まるなら逃げ切って逃げ切る。



「―――ははっ!逃げ切って逃げ切る…

 そこは曖昧で不明瞭なんだな。」


「未来なんて分からないことばかりさ。

 だから俺たちでなんとか死守しなくちゃいけない。

 だろ?違うか俺が言ってること?」


首を傾げる龍牙に似合わないからやめろと制する彪は何か吹っ切れた

ような目をして髪をかきながら答える。


「俺らあんまり良い死に方しねぇな…

 良いぜ、俺もお前と同じく気が変わらないうちにやるさ。」


それがどんな目的であってもだけどな、と彪は皮肉をぶつける。

だが龍牙はそれが皮肉とは思わずただああ、と頷いた。


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