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phase8「Bルーム」

前回までのあらすじ


男女16名を巻き込んだ謎の組織、実験室による実験。

始まった合図と共に暗転しそれぞれが起き上がった場所は謎の「H」型の建物、

起き上がった9名は集合し状況の整理を行う。

整理をして遂に課題1をクリアした生存者及び実験参加者たちの前に

出された課題2の文字、そんななか霞沢芳樹かすみざわよしきを連れて岸谷龍牙きしたにりゅうがはとある部屋に入る。

「電気は点けずにドアを閉めて、

 ドアを閉めたら電気をつけてくれ。」


それは岸谷による唯一の配慮だった。

腰を抜かしていたまま驚いていた芳樹に気付いていればの話だが。

スッと振り返った岸谷が溜め息混じりに手を伸ばし

芳樹の代わりに閉め電気をつける。

電気は周囲を良くも悪くも隅々まで見渡せるくらいの明るさで、

それにより飛び散った肉の破片がよく見えるようになってしまった。

それに芳樹は青ざめ岸谷は一瞬目を逸らしたかと思うと

肉を素手で掴みまじまじと見つめる。

そして血と肉で塗れたまだ点いているモニターを見て

その周囲を目で一通り見渡すと岸谷は口を開けた。


「これは多分爆発四散した、と見て良いかもな」


「……なんでそんなこと分かるんだ……?」


その芳樹の問いにああ、と頷き青ざめ気持ち悪くする

芳樹の近くにある一際綺麗な跡を指さす。

その跡はきっちり靴の裏側の状態になっていてその周りを

今はもう既に乾きつつある血が固まっていた。

それに岸谷は呟く。


「多分そこに立っていたんだ。あと周囲を見渡した感じ主に

 上半身に当たる部分を中心に血痕が周囲についてる。

 下半身はほとんどついていないが代わりに血の海になっているな。

 ……別にそこで蹲ったり腰を抜かすのは構わないが

 血の海にいるんだからな?」


「えっ?わっ、わぁあああ?!!!」


その言葉に芳樹は思わず立ち上がる。

それに岸谷はふぅと鼻息を漏らして溜め息を口の中ですると、

そのまま風呂とトイレのある部屋へと行くと何やらタオルを持ってき、

そしてそれをモニターの血痕をある程度拭き始める。

そして振り向変えって、岸谷は行動を止めた。

芳樹はそれに気付きその方角へと視線をずらして芳樹もまた固まる。

それはこの部屋にあるカメラのランプが赤く灯っているためだった。

カメラは確か赤くランプが光れば相手がその部屋を見ている

ということを表しているという情報だったはず、

それを踏まえて見た時要は今この光景は見られていたということになる。


「多分相手もまだ見てるんだろうな……っと。

 ―――くそっ、まじか」


岸谷はリモコンを自然に取り点けるとそこに

相手の画面は映されず”権利エラー”という文字だけが映り、

誰が見ているか分からない状態だった。


「これは……一体……」


「ここに来る前に追加ルール……見なかったか?

 あれの、"死んだ参加者は生きていないためその権利が剥奪されます"だよ。

 その権利がどの権利かは分からなかったが

 これを見る限り結構範囲が広いんじゃないか?」


という岸谷の答えに、ここで芳樹は思っていたことを呟く。


「どうしてそんな冷静なんだよ?

 普通閉じ込められたらここまで順応するか?

 ……なぁ岸谷、お前は一体何を知ってるんだ?」


「……知ってるもなにも"それ"を知ってたらここにいないさ。

 そうだな、もしもこれを聞いてるやつがいるとして。

 それが俺達に危害を加えるやつだとしよう。

 それでも俺は今回の与えられた課題2の問いの返答を出すことが出来る。」


「は?」


「お前の問いへの答えだがそれは

 今回与えられた課題2の返答にもなってる。

 望んでここにいるからこそ俺はその答えを出すことが出来る。

 ……聞くか?」


岸谷の問いに芳樹はわなわなと震えながら


「……言ってることがさっぱりだ……

 それを話して何になるって言うんだよ」


と呟くが、岸谷はまた溜め息を漏らしながら呟いた。


「お前が聞いてきたから答えたまでだ。

 ……まぁどのみち言うことになる。

 聞くか聞かないかは今か後の話だけだ。」


岸谷の返事に芳樹は納得がいっていない様子だった。

それは芳樹自身の問いに岸谷の返答が本当に

合っているか自信がないためである。

芳樹はこの状況に関して脱出するぞという心意気はなく、

そもそもどうしてここに入れられているのかその興味が大いに勝っていた。

なのにここにいる者達のなかで特に

榊原、岸谷、本田、黒山の4人の反応は些か疑問に落ちるところがある。

妙に落ち着きそしていきなりこの状況に立たされながらも

脱出しようと考えているためだ。

でもだからこそ芳樹は知りたかった、

その疑問に落ちている4人の中の1人にその理由を訊きたかった

……のだが岸谷はそれを隠しているのではないかという

また新たな別の疑問が生まれようとしている。

それは本人が意気揚々と質問に答える姿勢を持ったからだった。


「―――さて。理由はどうにしろ血生臭いにおいだし、

 取り敢えずここにいる人物が死んだ瞬間を見られるようだが……見るか?」


権利エラーと書かれた画面からリモコンを使って変えた岸谷が映した

先にあったのは〇RECと書かれた画面、その画面の先にいたのは

ここにいた人物と思わる姿だった。

だがまだ死んではいない。

死ぬ前に撮られたキャプチャのような画面だった。


「……えっ?」


思わず芳樹は呟くが岸谷はまた溜め息をついた。


「だから見れるって……はぁ……。霞沢、お前疑ってるだろ?」


岸谷の問いに芳樹は身体を震わせ必死に取り繕う

としているが岸谷は溜め息混じりに話し始めた。


「疑いはあれか?俺がどうしてここまで必死になるのか。

 だって別に実験室とやらがいう課題をクリアすればそれで良いわけだし、

 こうして動く必要もないからな。

 これは予想だがもうすぐで殺人が起こるだろう。

 これじゃない、もう一つの……。

 驚いた顔だな……お前あのルールに書かれたこと意味分ってたか?

 特に"我々実験室が仮定する人物に交付"ってとこ。

 どうせこのモニターでも確認可能だから映しながら説明するが……」


と岸谷はルールをモニターに表示させる。

幸いルール自体を見ることは出来るようだった。




____________________

* 実験室 へ ようこそ*


解放の条件


 実験において実験対象者が1名死ぬ度に扉が開放されていきます。

 もしくは与えられた課題に対して実行完了した場合も扉は開放されます。

 なお実験対象者の中に我々実験室が仮定した人物が死んだ場合、

 扉はすべて開放され実験対象者のみなさんには自由が与えられます。

 この実験場において人を殺める行為は許可されますが実験対象者のみなさんの

 動向はすべて中継されているためオススメはできません。

 最後に仮定した人物を我々実験室に密告した場合、

 当たっている場合仮定した人物にその事実をお知らせします。

 では実験を始めてください。

 最初の課題は"今現在の状況を確認せよ"



【"Congratulations on your success"】


*課題成功者の方おめでとうございます*


課題1をクリアした方の最終人数 13/18名


榊原茂 岸谷龍牙 霞沢芳樹 駒川武臣 黒山勇 坂城麗華 本田琴 

彩都早紀 姫川潤 黒澤亮平 小幡楓 西道浩平 胡蝶彩花


*課題失敗者の方の罰を執行します*


Loading……


*残り5名の方の罰は執行されました*


*及び残り5名の方の部屋をアンロックします*


*それでは次の課題へと進みます*


 第二の課題は”どうして自分がここにいるのかを宣告せよ”

宣告はその場に人がいる状態で口に出して喋ってください。

本当のことを言わない限り課題は成功を見なされません。

すべての参加者の宣告が終われば次の課題へと移ります。

 なおこれには時間が設けられます。

時間は48時間。目標としてカウントダウンが施行されます。



【残り48:00:00】



 なおすべての参加者の宣告が終わらなかった場合

参加者13名を10名に減らし、対象の3名に関するすべての情報を

我々実験室が仮定する人物に交付します。


では実験を始めてください。



*追加ルール*


 死んだ参加者は生きていないためその権利が剥奪されます。

家族構成や誕生日、人生に至るまでの”すべての情報”を

その参加者の部屋で確認することが可能です。

またどのようにして死んだかについても記録映像としてすべて残しています。

|



____________________





「何も俺達はただ単に課題とやらをこなせば良いってことじゃない。

 人を殺める行為の許可だったり仮定した人物を

 我々実験室へ密告だったり……確かに分かりずらい

 書き方をしているが読み解けば自ずと分かるはずだ。

 これでもまだ分からないか?」


岸谷の問いに芳樹は答える。


「分からない。それもそうだけどそもそもここにいる理由を知りたいんだよ!

 俺達はどうしてここにいるのか、それが一番重要なんじゃないのか?!

 ってかどうして岸谷はそこまで落ち着いていられるんだよ!」


「俺だって冷静ではいられないさ。

 人の価値観はそれぞれだからな、それを考慮すべき

 なのかもしれないがまぁ良い。

 俺が落ち着いている理由は別にこれぐらいどうってことないからだ。」


岸谷の返しに思わずはぁ?と驚きと煽るような言い方で返す芳樹。


「俺はある事件の調査を行っていた。

 その調査のなかで誰かの恨みを買ってもおかしくないことを

 やったこともあったし普通じゃ関わらない人や組織だって

 関わったしこうなることぐらいは予想できた。

 だけどな、これぐらいじゃ俺の気は動転しないさ。

 ……これが要は俺が落ち着いている理由、

 そして調査に関して妙に詳しい理由だ。

 納得しろなんては言わない。

 だから、答えられる範囲で答えたまでだ。

 で、話を元に戻すがさっき言った殺人が起こるってのだが

 今あるルールの意味を教えてやるよ。

 まぁ合ってるかは分からないがな。」


そう言ってルールを指で指しながら説明する岸谷に

芳樹は納得があまり行かない様子で見つめた。


「まず、解放の条件だ。

 "実験において実験対象者が1名死ぬ度に扉が開放されていきます"

 これは要は参加者が18名、つまり一人生き残るとして17枚の扉が存在する。

 まぁここの部屋の扉が開いたとするなら話は早いのかもしれないが、それはまずない。

 今回からの追加ルールで"死んだ参加者は生きていないためその権利が剥奪"

 ……だから部屋に入ることくらいの権利はなくなったと、そうなるだろう。

 しかも今回の課題じゃ課題が成功できたとして13名から無理やり10名に減らされる。

 だったら扉は1枚だけじゃないってなるはずだろう?

 無理やり減っても1名死ぬ度に扉が開放されていくならな。」


「つまり……えと、どういうことだ?」


芳樹の問いに岸谷は答える。


「だから、扉はここの部屋を指してるんじゃない。

 他にも行けない場所があってそれらが行けるようになった、ということだ。

 それも出口にどんどん近づけるように。

 だがもう一つだ、解放の条件にはもう一つ書かれている。

 "与えられた課題に対して実行完了した場合も扉は開放される"

 課題は全員やれば成功だろ?だったらこれで1名は

 ここからもう出ることの権利は得ているはずだ。

 まぁ次の課題が成功すれば2名にもなりうるが……」


とそれでも岸谷の説明に納得しない芳樹。

もう一度分かりやすく岸谷は説明を始める。


今現在書かれているルールには明確にどうやれば脱出できるのかが書いてある。

読み解ければよし、読み解けなければ苦戦は必至だろう。


   《実験において実験対象者が1名死ぬ度に扉が開放されていく》

   《死んだ参加者は生きていないためその権利が剥奪される》


これを組み合わせれば自室の扉を除いた部屋の扉だ最低18つあると指している。

しかしそれでは18名死ななければ脱出できないとなるだろう。

だからこそそれをさせないためにも、次に説明がなされている。


   《与えられた課題に対して実行完了した場合も扉は開放される》


つまり現時点で1つ課題は成功しているので1人分の扉は開放される。

そのため1人は絶対にここから脱出が可能となっていることを岸谷は芳樹に教えた。


「現時点で5人死んでていて、課題は1つクリアしているから

 つまり6つの部屋が行けるようになってる。

 だけどそれは俺達にとって良い知らせではない。

 これはこれを企画した実験室が仮定する人物にとっての良い知らせだ。」


岸谷は芳樹に言い詰めるようにして呟く。


   《実験対象者の中に我々実験室が仮定した人物が死んだ場合、

    扉はすべて開放され実験対象者のみなさんには自由が与えられます》


要はこちらが自分たちにとって良い知らせであるということを。


「もしもその仮定した人物、一人とは書いてはいないがもしもそいつがいたとして、

 霞沢、お前がもしもその仮定した人物の目線に立ったとするなら

 5人死んで1つ課題をクリアしたため6つの部屋に行けるようになった、

 そんな報告を訊いたらどう感じ取る?しかも13名を10名に減らせるとなったら?

 俺だったらこう考える。


 ―――殺す相手が減った、ラッキー。


 ……違わないか?」


「殺す相手……つまりどういう……」


「―――仮定した人物だけが生き残れば終わる。

 そう、ルールには記されているんだよ。

 だけどそいつ以外死ぬ必要性がある。

 だったら……課題をクリアさせるか、失敗させるか……どちらを選ぶ?

 もしくは13名を10名にランダムに抽出して減らすとしたら……

 そいつは黙って見てるつもりか?

 自分が死ぬかもしれないのに?」


岸谷はキリっとして目で睨むようにして呟く。

するとようやく意味が分かったのかあぁ……と驚きと

焦りに満ちた顔になって口を抑える。

だが同時に芳樹は岸谷に対して呟いた。


「おまえ……なんでこのことを俺に言った?

 それは知られたら不味いことなんじゃないか?」


「……まずいだろうな、特にその仮定した人物からすれば。

 今の反応で大体お前の疑いは2割減ったよ。

 もしも仮定した人物、本人様だったらそんなナイスな反応は見せないだろ。

 逆に理解してるなら俺が話してる間にでも殺せば良いし、

 鍵も内側かけられるのにかけないしな。

 ずっと言動を見てた。

 正直言ってお前が仮定した人物、

 長いからcriminalクリミナルとでも言おうか。

 お前はcriminalクリミナルじゃない。

 だが疑念は晴れてない、そこまでここにいる理由を求める

 お前に対しての疑念は特に……な。

 ま、良かったじゃないか、ルールの真相を知れて。

 だけどこれで迂闊に話せなくなったぜ?

 ―――誰がcriminalクリミナルか分からないしな」


と芳樹の肩を叩いて笑う岸谷に芳樹はなぜ?を

問うようにして振り返るが岸谷は目もくれず扉に手をかける。

そして呟いた。


「やっぱ、お前適任だよ。

 ……お前なら……美粋みきの手がかりを

 見つけてくれるはずだしな……」


ボソッと言って扉を開いて応援を呼ぶ岸谷。

小声で話したはずの声は芳樹の耳元で静かに反響した。




「……み…きさん……?」


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