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phase6「理由(わけ)」

やる気が起きない日とただ単純に時間がなくて更新できませんでした(;´・ω・)

更新です!

「どうして手を挙げたのかだったか。

 まず問題を振り返るとして……問題はここにはいない

 まだ見ぬ実験対象者を助けるか助けないかだがほとんど

 その理由は黒澤の意見も視野に入れてくれると良いだろう。

 まずこれを語るうえでここに来る前のことを思い出して考えて欲しい。」


とモニターに映った文字、そしてここに来る前の情報を思い出す。

ここに来る前に聞いた言葉……確かあれはこのモニターの文字と同じはず。

ん?他に何があったか??


「すまない、岸谷。

 あのとき言ってたのはそこのモニターに書いてあるやつ以外に何かあったか?」


「ん?ああ、あったぞ。

 それは心臓に毒が埋め込まれていること、だな。

 実験対象者はそれぞれ違う禁止行為をすることで

 自動的に発動する仕掛けが施されている。

 禁止行為についてはそれぞれの服のポケットに封入されているはず

 だからご確認くださいって言ってたはずだが……ん?

 どうした??―――まさか。」


と霞沢はポケットをまさぐりその中から封筒が入っていること、

そしてそれを出し中に紙が入っていることを確認すると

青ざめそして叫ぶようにして呟く。


「なっ、なんでそんな大事なこと明確に覚えてるんだよ?!」


「それはこっちのセリフだ!あんな記憶にダイレクトに問いかけてくる声で、

 しかもあれしか思い出せないほど耳鳴りも止まない!

 ……霞沢は違うのか?」


すると目線が霞沢に集中する。

それに俺はないが、と不安げに呟くと

彩都も黒山も榊原も岸谷も同様の顔をしてしかめた。


「え、本当に思い出せないの?」


そんなことを聞く彩都に霞沢は少し焦りながらそうだと呟くと

榊原はマジかと絶句気味だった。

霞沢はそれに更に不安を募らせそんなにやばいこと?と聞くと

周囲の4人がそれに頷き岸谷が呟く。


「さっきのあのセリフだったりモニターに書かれているのだったり、

 実験室とかいう連中のあの放送は耳に強烈に残ってる。

 俺だけじゃないと思ったからみんなの前で話せたわけだが……そうか。

 霞沢はそれが聞こえない、というか覚えてないってことか。

 まぁ、それならそうで良い。

 逆にどうしてみんなが疑心暗鬼になってるのか自ずと分かるはずだ。」


その問いに霞沢は考える。

自分たち実験室対象者には心臓に毒が埋め込まれている、

しかもそれはそれぞれに与えられた禁止行為をした場合課せられるもの。

モニターに書かれたルールと概要に関して分かることは

実験対象者が1人死ぬかもしくは課題に成功すれば扉は開放される。

また実験室が仮定した人物が死ねば扉は開放され自由が与えられる……

黒澤はあのとき実験室には殺したい人物がいるから

この実験を始めたんじゃないかという推測を出していた。

そしてそれを見るためにももしかしたら実験室のメンバーが

この中に紛れ込んでいるかもしれない。……あ。

もしかしてこれって仮定した人物、裏切り者って

黒澤は揶揄してたしそれにするなら、その人物が死ねば終わる、

しかしその人物は自分以外を殺せば実質扉は開放されて自由になる……?


「―――なぁ、扉ってのは開放されてったら自由になれるのか?」


「情報は明かされていないがそう見ても良いだろう。

 殺しても殺さなくても条件次第で開放していくんだし詰まる所、

 これは裏切り者が殺し尽くせば裏切り者の勝ち。

 そうじゃなくて自分たちが課題をこなせばそれで万々歳。

 まぁ何もしなくても何をされても勝ちは見えてる謎の実験だ。

 だがここまで言えば何で疑心暗鬼になるか分かるだろ?」


霞沢の問いにそう榊原が返しながら疑問形で返す。

だがその問いは何が疑心暗鬼を生んでいるかが分かるものだった。


「そうか……誰が裏切り者かは分からない。

 そして誰かが死ねば実験は終了する。

 たとえもしも裏切り者がいなくても誰かが死ぬことでこの空間はなくなって

 実験は終了する……。それが疑心暗鬼を生んでいるってことか。」


「理解したか?」


岸谷の問いに霞沢はああ、と頷いた。

岸谷の見解的には別に参加者を助ける方向でも良いと思っていたという。


「別に助けても良いんだ。

 だがどのみち助からない。

 俺がそれを選択したときどのみち一番それに賛同したものを

 ある意味生贄にする予定だった。

 誰かが死ねばそれで良い、って考えのやつ。

 もしくは黒澤が揶揄したように裏切り者について。

 この2例があるのならそれをあぶり出すためにも良いんじゃないかとは考えた。

 ……まぁこの考えに至ったからこそ手を挙げずにいたのかもしれないな」


あの時本気で挙げないつもりだったんだ……というより見た目に反して

こいつやばいの考えてるな、と霞沢は心の中で呟いた。

しかしその作戦は確かに的を得ている。

詰まる所、どのみち見捨てるという最悪な選択肢には変わりないのだが

それに気づいているのはこの中でも少ないのかもしれないしほぼ大半なのかもしれない。

なにせここに集まったのは偶然でお互い顔も名前も知らないのだから。

……そう信じたい。


「じゃあそれが手を挙げた理由ってことになるのか……ふむ。

 確かにこの状況じゃみんながみんな勘繰り合うのもしょうがないか。

 まぁみんな不安だったからこそ言うのも言えないし若干気まずかっただろうにね。」


黒山がそう言うと榊原が眉を上げて黒山の方を睨む。

それに気づいた黒山はひっ!と声を上げてどうして睨まれているのかを

聞くが榊原は黒山ではなくその方向の奥を見つめていた。


「誰か……来る」


「誰かって誰―――」


と黒山が後ろを振り向かえるとそこには少し汗ばんだような

そうでないようなはぁはぁと息を漏らす、見知らぬ長身の男が

身体をひきずるようにしてこっちに向かっているのが見えた。

目は虚ろで誰とも目を合わせる素振りもない。

長身で髪を後ろに束ねるほど長い髪を持つ男はずるずるとその身をこちら側へと寄せて歩いていく。

それに各々はそれぞれの反応を示す。

黒山は驚き唖然とし榊原は立ち上がって警戒、彩都はじっとこらして見つめ

それでも警戒を怠らず岸谷は何かをポケットの中でガサガサとやり、

そして霞沢はそれが何なのかを見極めた。

すると良い塩梅の距離になり警戒度はほぼ完全に

高まったところでその男はバタリと倒れた。

それに黒山は驚いて駆け寄る。


「ちょっ!大丈夫ですか?!!」


「め―――」


「め?」


「めし……はありませんか……?」


……めし?

すると名前も知らない男は続けて呟く。


「起きたら……すごい腹が減ってたんです……

 あの空間にいた、ときも……ときからも

 ずっとお腹が……鳴りっぱなしで……なんでも良いです

 ……とにかく何か食べ物を……お恵み……」


と言って糸が切れるようにバタリと倒れ込むのを確認して

急げと言わんばかりに彩都と岸谷、霞沢は慌てて調理室へと駆けこむ。

その光景に呆れたように榊原ははぁと溜め息混じりに警戒を解いて椅子に座る。

黒山は一方でその男を叩いて起こそうとしていた。

それからほどなくして持ってきた苺のジャムが塗られた

食パンを持ってきた3人らは冷蔵庫に入っていた牛乳と共にその男へと振る舞われる。

男は既に気絶状態だったが苺のジャムの匂いを嗅いでか一瞬で

蘇り久々に食った味だと喜びながらその軽食を完食した。


「ふぅ……お粗末さまでした。

 いやぁありがとうございます!

 起き上がってからお腹がすいてしようがなかったんです!」


「そう、か。

 まぁ生き返ったようでなによりだ。」


と岸谷が若干引き気味で言うと男はそういえばと言った顔で話す。


「僕の名前は小幡楓オバタカエデ

 女っぽい名前ですけど気軽にカエデと呼んでください。」


「岸谷龍牙だ、よろしく小幡さん」


「いやぁ!小幡なんて!苗字で呼ばれるのは慣れてないんです。

 今後別に仲良くしてもしなくても良いんで取り敢えず名前でお願いします。

 僕も名前で呼びますから。」


それはそれで恥ずかしいような呼び慣れてないような

気がする、と霞沢は心の中で呟いた。


「彩都早紀、よろしくね楓さん」


「はい!よろしくお願いします!早紀さん!」


「霞沢芳樹だ、よろしくな」


「ええ!よろしくお願いします、芳樹さん!」


「黒山勇です、よろしくお願いしますね楓さん」


「はい!よろしくお願いします、勇さん!」


と交互に受け答えをしていると次はと言わんばかりに榊原が楓を見つめた。


「?」


「榊原茂、名前は気に入らない。榊原と呼んでくれ楓」


と榊原は名前もさん付けすることなくそう呟いた。

ここだけの話、榊原は大勢の前ではほとんど名前にさん付けをしているが

特定の人物なのかもしくは人が単に少ないだけかは

謎だがその際はさん付けを外しながら喋っている。

そのためにここでもさん付けをすることなく名前で呼んだのだが反応は……?


「ええ!よろしくです!榊原さん!」


「ふっ、ああ。よろしく。」


鼻で一蹴するかのようにお礼を呟くと楓はふふふと微笑しながらその光景を見つめた。


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