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目覚めて…

『君が望むなら力をあげよう…だけど代わりに“地上の管理者”になって貰うよ』




私が覚えている神様の言葉はそれだけ…




何故そんな"契約"を交わしたのか、そもそも何故私は"まだ"生きているのかも分からない




私は確かに"あの時"自ら命を絶った筈なのに────






気が付くと私は見慣れない部屋で本を読んでいた




「えっ…」




見える手足は短い上に小さく、膝の上に乗る本は外国の文字のような読めない記号で書かれている




突然の事に混乱する思考のなか、私は訳が解らず困惑していた





だけど不意に訪れた眠気に抗えず暗転する意識の中で、私と混じり会うもう1つの意識を見つけて自然と納得できた




"ああ、私は生まれ変わったんだな"




と、疑問に思う私は朦朧とする意識の中で答えを得て深い眠りへとつく




二度と"私"としては目覚める事のない深い闇へと私の意識は沈んでいった─────










───コンコン



「お嬢様?準備が整いました、地下室までご足労お願い致します」



扉の向こうから声が聞こえる



誰?と思いながらも口は勝手に言葉を発していた




「すぐに行くわ、セス」




"セス"それが声の主の名前だろう




私は知らないのに、その答えはすぐに頭に浮かんできた



今日は五歳の誕生日4日前…




この世界では魔力という不思議な力があり、魔法が存在している




五歳の誕生日はその適正を見る日でもあった




本来ならば4日後…でも期待も興味も持たれていない私には関係のない話





大事なのは、手駒として使えるか使えないかだけ…




政略に使えるのであれば"今"の生活を続けさせられるし、使えなければすぐにでも"処分"される




正直に言えば怖い───今も立ち上がった足が震えている




一歩、また一歩と踏み出す毎に強くなる感情が抑えられなくて苦しい





その苦しみは地下室に着くまで…立ち会いがこの家に仕える執事の1人だけだと知るまで続いた





私は"前まで"の私の記憶を探る



その人の名前はセス、家名は聞いたことがないので知らない



この家で唯一信頼の置ける従者らしく、執事長をしている為に四六時中お父様の側近くに控えている





私とは、2年前のある日───突然家族に見放された時から親しくしてくれていた



時には、私に文字や勉強を教えてくれる教師であり、この家で唯一私と会話をしてくれる話し相手でもある




記憶の中のその人は一度も表情を変えないけれど、瞳に宿す光は何時も変わらない




他の使用人達が私を避けるように為ってからも彼?と言っていい年齢ではないけれど、彼だけは変わらず接してくれた




そのせいでお父様に小言を言われていると聞いたのは一度や二度じゃない




それでも彼は私を"普通"に扱ってくれていたらしい





らしい、というのは私自身数時間前に誕生したばかりの新しい人格で、"私"としてセスに会うのはこれが初めてだからだ





より正確にいうのなら私は、前にこの体を使っていた私と魂に封じられていた前世の私が合わさり新たな人格として再構築された存在





あまりに知識に関する情報が多かったせいで、体験した記憶が薄れている




その関係で今世の経験もほとんど残っていない




もし、残っているとすればそれは強い想いが籠った事だけだろう




例えば、両親や家族に関する事とか…残念ながらセスに関する事は私の中には記憶にしか残っていなかった



「さあ、お嬢様水晶に手を置いてください」




何時もの無表情で話し掛けて来る彼に従って、私は水晶に手をかざす




光輝く水晶、そこに表示されているのは─────






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