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あなたへ...2015年8月

泣き虫のお父さん

作者: あずま

今日は神社にお父さんが御参りに行くというのでついて行きました


でかけるまえ

仏壇であなたにお線香を上げながら涙をこぼしていました


車の中で

お母さんがあなたの夢を見たことを話していたら

目から泪が溢れていました


行く途中に寄ったおそば屋さんでも

目が赤くなっていました

初めていった店だから

あなたを連れて行きたいと思ったのかなと思いました


帰り道

車の中で

何もないところで

目が赤くなって

目から涙があふれていました


何もない山間の道です


不思議に思って

顔を上げて辺りを見回すと

あなたの命を一ヶ月つなぎ止めてくれていた

大きな病院が見えました


ああ

お母さんは職場の隣にある高校に

高校生が通ってくるの見て

毎日泣きながら通勤しているけれど


お父さんは

毎日あなたのいた病院を

あなたの心臓が動きを止めて

あなたのつめがクリーム色のマニキュアを塗ったように

色が変わっていくのを見つめた

あの病院の前を毎日通って病院に行くのだと

今日初めて気がつきました


きっと

あの病院を見たら

お父さんは泣かずに通り過ぎることはできないね


そのことをお姉ちゃんにいったら

私も、お兄ちゃんも

あなたと一緒に通った駅から電車に乗ってるんだよ

あなたの友達とも顔を合わせるときもあるんだよ

っていわれました


電車の中では泣けないから

お兄ちゃんとお姉ちゃんも辛いだろうなと気がつきました


お母さんは自分のことばかりで

ちっとも

周りが見えていませんね


でも

今日はあなたに泣き虫のお父さんの話をしましょう


いつも

あなたたちをからかってばかりのお父さん

激甘にいつも優しいお父さん

でも怒ると怖いお父さん


泣き虫のお父さんだって

誰も知らなかったのにね

いまはみんな知ってるよ


あなただけ知らないね






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