閑話 とある少女の拾いモノ②
なんだか、わけわかめ。何度も書き直してもうまくいかない…。
そんなときってあるよね?つか、そんなことばかり??
でもとりあえず投稿してみる。それがぺぺです!!
男は闇の中を漂っていた。
その闇は決して心地の良いものではなく、自身に重く絡みつき、もがき振りほどこうとしても離れるものではなかった。
(苦しい…)
息をするのもままならない程の闇に囚われた男は、虚無を知り、そして抜け出せない闇に深く身を委ねようと全身の力を抜いた。
『ねぇ、いきてるの?』
何も見えない闇の中で、男は己が最後に見た少女の声を聞く。
(俺は生きても、死んでもいない…)
だったら、なんだったのか―。
答えを出せない男は、その意識を闇に沈めた。
動きを止めた駒が再び動き出したとき、駒は漸く人へと変わり、心を動かす術を知る。
そして男はその心を最も望んだ夕焼けと夕闇の狭間に全てを明け渡す。
男はただ一人のために唯一の人となる。
…ただし、その一人が本当に喜ぶかどうかは別だった。
* * * * * * *
母親の迅速な対応により、男は一命を取り留めてはいたが、その状態は危うく決して良いものとは言えなかった。
夜になり、父親が帰ってくると、ヤヤはそれまでつきっきりになっていた男の看病を使用人に任せ、父親がいるであろう居間へと急いで向かった。
「とうさま、おかえりなさい!」
ノックに音がして、すぐさま飛びつくように父親の目の前に現れたヤヤを、父親は笑いながら抱き上げる。
「だだいま、私の天使。全くとんでもないものを拾ったな」
笑いながらヤヤに挨拶返す、父親はこのいたずらっこめという風にヤヤに頬ずりをするとその体をぎゅっと抱きしめた。父親の隣では母親が頬に手を当ててあらあらと微笑んでいる。
微笑ましい家族の帰宅風景ではあったが、それは突然父親によって終わりを告げる。
ぶっ飛んだ母親を妻に持つ父親である。一筋縄でいくような人物ではないのは確かだった。
「さて、ヤーヤ。今回の拾いものだが、どうして拾ったりしたのかな?」
口調は穏やかなのだが、母親と同じで目が笑っていない様子に父親にヤヤは父親の腕の中でブルッと震える。わけもなく謝りたくなるヤヤであったが、謝ったところで事態が好転するとは思えなかった。
怯える腕の中のヤヤを父親は可愛すぎると心中で悶えていたが、もちろんそんなことは顔に出さない父親の目は我が子を見る目とは程遠かった。…意外とヤヤの両親は似たもの夫婦なのである。
そんなことを知りもしないヤヤはこの状態から抜け出すために、頭をフル回転させていた。
(とうさまもかあさまも、なんでなにかをおしえるときはこうもせすじがさむくなるようなオーラをだすのかしら)
フル回転させたわりには、たいしていい案が浮かばなかったヤヤは、胸のうちでつい愚痴を零してしまう。
一応ヤヤにも、その両親の態度が愛情故であることは解っているのだが、その度に無駄にお腹が痛くなりそうなのが嫌であった。
「ヤーヤ、答えられないのなら、今すぐ彼は捨てようか?」
黙りを始めた我が子に、父親が口を開く。
「ダメっ!!いちどわたしがひろったの!!ちゃんとかんびょうするから、そんなこといわないで!」
慌てて言い返すヤヤに、父親は真顔で見返していた。
(怖いっ!)
父親の底の見えない瞳につい目を逸らしてしまったヤヤであったが、意を決すると改めて父親の瞳を見つめる。
「とうさま…、かれはね、いきてもしんでもいないんだって。だから、ヤヤはかれにいきてほしいとおもったの…」
そう言いながら、やはりだんだんと目を逸らしたくなるヤヤであったが、父親は変わらず無表情を貫いている。
「ヤヤがそう思って彼を助けてとして、彼が死にたいと望んでいたらどうするつもりだい?」
父親の思わぬ切り返しにグッと息の詰まるヤヤは、彼が意識が戻った後のことなどは特に考えていなかった。己の浅はかさを父親によって見せ付けられた気分のヤヤであったが、父親の言葉によりその時どうするのか必死に考えた。
「…っと、かれがしにたかったら…?ヤヤはどうする…?」
俯きながら必死に考えるヤヤを、両親は暖かく見つめている。両親も自分たちが我が子に対して、厳しすぎるのは解っていたがこのご時勢、甘さだけでは乗り切れないものがあったのだ。しかも自分たちは末端貴族、いつ上層部に見切りをつけられるかもわからないし、貴族としての矜持だけではやっていけない。人の計り知れない気持ちを少しでも理解出来る子に育って欲しいと願う故であった。
「ヤヤは…、ヤヤは、それでもいきてほしいといます!だって、いきていればつらいことがおおいかもしれないけど、たのしいこともうれしいこともあるもの!だから、かれがしにたかったら、ヤヤがかれのたのしいことやうれしいことをさがしてあげるわ!」
とても良いことを思いついたという風に頭をあげると、再び真顔に戻る父親。意外と役者の素質があるのかもしれなかった。
「それはとてもいいことだね、ヤーヤ。じゃあ、彼がもしとぉーっても悪い人で、起きた途端ヤヤだけでなくとうさまやかあさま、屋敷の使用人たちを殺すようなひとだったらどうする?」
最悪の事態を子供に想定させるなど、遣り過ぎな気がしないでもないが、ヤヤの父親はヤヤのためにそれをする。父親は理解できないからといって、知っておかなければならないことを隠したくはなかった。その結果、我が子が傷つこうともだ。
確かにヤヤは想定していなかったことであり、自分はともかく両親や使用人たちが死ぬかもしれない未来に驚き、恐怖したが、その親にしてこの子ありで、父親と母親、そしてその場にいた使用人たちを見回して、きっぱりと言い切ったのである。
「そのときはうんがわるかったとあきらめてください。にんげんあきらめがかんじんとおじいさまがいってたもん」
ヤヤの言うおじいいさまとは父親方の祖父のことであるが、その祖父はヤヤによく言い聞かせていたのだ。
『ヤヤ。人間、悪あがきも必要だが、諦めも肝心だ。諦めたからといって他に道がないわけじゃない。道は作ればいくらでもできるのだ。だから、ヤヤ、もう無理だと思ったらすっぱりきっぱり諦めなさい。そして、新しい道を開くのだ!!』
最後は声高らかに言い切った祖父を思い出しながら、そう言ったヤヤではあったが、よく考えてみれば熱しやすく冷めやすい祖父の言いだった気がしなくもない。なんだか違うかもと思ったが、人間死ぬときは死ぬのだ。どんなにあがいたところで仕方がないというのが、幼いにしては達観しすぎたヤヤの持論であった。
「はははっ、そうだな!ヤヤ、その時はきっぱりとあきらめるか!!」
父親は己ばかりか他の者が死ぬかもしれないことがわかったのに、自分の意思を貫いたヤヤに相好を崩した。母親もにっこりと二人を眺めている。
使用人たちにしてみれば、巻き添えはごめんだと思いながらも、どこかそうなったときは仕方がないなと思っている。
ベルーラ邸の人物たちは総じて、どうしようもないことに抗うことはしようと思わないのだった。
幼いヤヤの拾ったものが吉と出るか凶と出るか、このときは誰も知らない。
ただ両親も使用人もヤヤがしていることを良いとも悪いとも言わない。その結果が良くも悪くもヤヤが後悔をしなければいいのである。
仮にもし殺されそうになっても、簡単に死ぬつもりはないが、どうにもならないときは死んでもいいかなとは思っているのであった。
ね、わけわかめでしょ?
ほんとすいません。自分の文才のなさに凹み中。
それでも書き続けようと思う自分が大好き☆