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お久しサブマリン!
ハイッ!意味不明デスネ!!
やっと更新しましたが、短いですorzすみません(;´Д`A
更新を待っててくださった方、ありがとうございます!
あぁ、そんな話あったっけ。と思ってくださった方、思い出してくださってありがとうございます!
この作品をお気に入りにいれて下さったすべての方に…
更新遅れてごめんなさいorz
「そう、対の間に側室が…」
クリーム色の壁を薄い金箔の蔓草模様が彩る一室で、一人の女が誰に聞かせるでもなく呟く。
朝日の柔らかく差し込む窓際で、女は笑いを堪えるように唇を歪ませ肩を震わせた。
「下級貴族の分際で…、どんな手を使ったのかしら?」
窓の外の美しい庭園を見ているはずのその目には、どんな緑も花も映ってはおらず暗い光が宿るだけ。
「少し身の程を知らせてあげた方がいいかもしれないわね…」
目を細めてそう締めくくる女の表情は恍惚としており、朝日を浴びてより一層輝かんばかりだ。
『承知した』
女以外いない部屋に、嗄れた低い声が木霊した。
* * * * *
ヴァンディットに散々抱かれ、よくわからない気を使われた次の日から、ヤヤの周りは激変したと言っても過言ではなかった。
一日は本当にベッドから起き上がることは困難で、そのままヴァンディットと夜を過ごす羽目になり、背筋の寒くなる思いをしたのだが、前夜を考慮してかヴァンディットに求められることはなく、ただ抱きしめられて居心地の悪い思いをするだけですんだ。
しかし、次の日に体調がある程度戻ると、早速対の間に連れて行かれ、対の間の主に相応しいだけの使用人と護衛を紹介されることになった。
部屋付き侍女が五名に、対の間の主につく侍女が五名。それに部屋の警護兵が六名に護衛兵が十名。交代でつくので実質いつも周りにいる者はその半数以下なのだが、それでもヤヤにしてみれば、リンクスと部屋付き侍女が一名の生活だったために多すぎるものだった。
それなりに上っ面の付き合いは出来るが、人見知りが激しく他人と距離を置きがちなヤヤにとって、始終親しくもない侍女や護衛に囲まれる生活は、予想以上の負担となる。
そして、その一番の原因がヤヤについた侍女たちだったのだ。
笑顔を浮かべながら瞳に蔑みを滲ませて、平気で毒味をしない食事を出し、どこの誰からとも知れぬ贈り物をヤヤに開けさせては大袈裟に驚き、冷たい視線を送る。贈り物の中身は、蛆の湧いた死骸が一番多く、明らかに呪いの品であろう小物もなかなか多かった。たまに贈られる宝飾品や衣装などは無断で持ち去られたり、目の前で偶然のミスを装い壊された。
死骸は誰が準備してるのか?宝飾品など自分に贈ってどうするのか?など疑問に持ちながらも、侍女のすることに一切口を挟むことはなかった。
そんな状態が続けば、誰かしら気づきそうなものではあったが、ヤヤが対の間に入ってから一ヶ月たっても誰も気づくことはなくヤヤに助けが訪れることはなかった。
この一ヶ月、ヤヤは毒味なしの食事を黙って食べ、嫌がらせの品々をせっせと開けては侍女たちの嘲笑に堪えてた。
普通ならば発狂してもおかしくない状況にも関わらず、ヤヤはただ体重を落とすだけで、いつも平然としていた。
ヤヤをそんな状況に追い込んだヴァンディットといえば、ヤヤが対の間に移動してから一度も顔を出すことなく、反乱の処理と通常の執務に追われる毎日を過ごしており、ヤヤの異常な状況に気づくことはなかった。
いつも平然としているように見えたヤヤ。しかし、実際に平気なわけがなく、ヤヤの体は確実に弱ってきていた。
何をするでもなく、ただ部屋に閉じ込められるようにそこにいるだけのヤヤに、心の休まる時はなく、常に緊張した状態でい続けた結果が、もうまもなく誰の目にも明らかになってしまうのを、ヤヤは静かに感じ取っていた。
ーこの痛み…、身に覚えがあるわ。
と。