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短いですが、お待たせしすぎなので…orz

(頭、痛い…。身体痛い)


絶不調の身体を持て余すヤヤは、もう指の先すら動かすのが億劫だ。


昨夜、食事をヴァンディットと共にとり、その後流されるまま入浴も共にと余儀なくされたヤヤの記憶は、入浴後から酷く曖昧だった。


(喉が乾いた…)


起き抜けに感じた倦怠感と喉の痛み。薄っすらと目を開ければ、日差しが思った以上に強く、ヤヤは顔を顰める。


(絶倫って、本当にいたのね)


すっきりとは言い難い起き抜けの頭でそんなことを思うヤヤは、今後、皇帝に飽きられるまでの期間、この状態を回避するべく、柔軟体操と体力作りに励もうと決意する。ふっとそこで、己の護衛騎士のことを思い出し、その騎士が今、どうしているのかが気になり始めた。


(リンクス…。大丈夫かしら)


静かに瞼を閉じれば、思い出される、その姿。護衛対象である自分に、損得なしの好意を寄せてくれていたリンクスに無性に会いたくなるが、こうなってしまえば、それが難しいことだとヤヤは知っていた。


皇帝の寵愛を一度だけならば今まで通りで良かったが、対の間を与えられ、今後も寵愛を得てしまうとすれば、ヤヤの護衛は後宮の女性騎士から再選出される可能性が高く、侍女に関しても再度検討されるだろうとぼんやりとした頭で考えた。


部屋付きの見習い侍女のサリはともかく、十年もの間、大した事件はなくとも、ヤヤを親身になって守ってくれていたのはリンクスだ。礼のひとつも言えずに、離れてしまった今、リンクスに対して申し訳ない気持ちと、この現状に追い込んだ皇帝と己の運のなさを呪った。


(手紙を書こう…)


会えなくとも気持ちを伝える手段はある。そう考えていると、ガチャリと小さな扉を開く音がして、ヤヤの思考がフッと途切れた。


「…起きているか?」


寝室に人の気配が潜り込み、ヤヤを今の動けない状態に追いやった張本人の声が静かに部屋に溶ける。


「へっ…かぁっ」


返事をしたヤヤのヒリつく喉からの声は酷く掠れている。皇帝のお出ましより、呑気にベッドに横になってもいれないヤヤはギシギシと軋む身体を起こそうと試みた。


プルプルと震える腕で身体を支えるヤヤを、ヴァンディットが面白そうに見やる。


ヤヤは顔にこそ出さなかったが、こんな状態にして、不用意に現れたヴァンディットに心の中で悪態をついた。


(起き上がれない状態の時に来ないでよっ!)


そう、身体が動けば文句は出ないヤヤ。ただ単に、皇帝が来れば礼儀を尽くす為に身体を動かさなければならない。今は全身筋肉痛で、それをしなければならないことに憤りを感じた。


「起きれないなら、無理に身体を起こす必要はない」


あと、もう少しで上体が起き上がるというところで、ヤヤに声をかけるヴァンディット。


(なっ!?ここまで来てっ!!)


ヴァンディットの発言で震える腕の力が抜けそうになるが、ここまでのなけなしの努力したのだ。このまま、また横になるのは気が引け、なんとか上体を起こしきった。


「おっ…かい、あり…と…ごっぃ…す」


"お気遣いありがとうございます"と、そう伝えるつもりのヤヤの喉は渇きも癒せておらず、引き連れた弱々しい声しか出ない。


ヴァンディットはベッドに近づくと、上体を起こしたヤヤの近くに腰かけ、ヤヤの顎を手に取った。


「………」


既に二度、身体を預けたヴァンディットに抵抗するはずもなく、それ以前に逆らうという意思のないヤヤはヴァンディットのされるがまま。


視線だけは律儀に外すヤヤのそれは、末端貴族として目立たず生きてきた癖でもあった。


気に食わないー。


ヤヤのその行為はヴァンディットを苛立たせた。礼儀にのっとている筈のその行為が、何故イラつくのかはわからない。


「俺を見ろ」


ヴァンディットの低い声にヤヤの肩がびくつく。そして、ヤヤの黒い瞳が榛色を捉えると、ヴァンディットは幾分気分がマシになった。


「お前は対の間の主だ。今後一切、下々と同じ真似はするなよ」


暗に、今後は視線を落とすなと言われたヤヤは、困惑した表情のまま、瞼を瞬かせて了承の意を示した。


それに満足すると、ヴァンディットはベッド脇のテーブルに乗せてある水差しからグラスに水を注ぎ、ヤヤの口元へと運ぶ。


ヤヤとしては、水が飲めるのはありがたかったが

、先程のヴァンディットの発言と手渡されず、口元に当てられるグラスに、ますます困惑するばかり。


(何がしたいのかしら?)


イセル辺りに言わせれば、天変地異の前触れかっ!?とでも言われそうなくらい珍しいヴァンディットの気遣いは、逆に飲みにくいわと思っているヤヤには、少しだけ余計なお世話だと思われていた。

せめて、週一は頑張りたいのですが(;´Д`A


今のところ気持ちだけになっています(ーー;)


申し訳ない(汗)

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