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お待たせしました(;´Д`A


えっ、待ってない?待ってた?


どちらにせよ、遅くなって申し訳ないorz


そんな今回をどぞ!

闇に沈んだ部屋の中で、ヤヤは目の前の影が立ち上がり、危な気無く明かりを灯して回るのをぼーっと眺めていた。


部屋に光源が戻り、明るくなるとその影にも色彩が生まれ、人物を判別出来るようになる。


「…っ!」


(陛下…っ!!)


思わず、声が漏れそうになるのを慌てて口を手で押さえる。


ヴァンディットが元座っていた場所に収まるといよいよヤヤの脳は覚醒し、同時に混乱し出す。何も言われずに押し込められる形で部屋に通されたが、部屋の主が居ないことをいいことに眠りこけ、あまつさえその現場と寝起きの婦女子からぬ奇行を晒してしまったヤヤは、頭を抱えたくなる。


「随分と疲れていたようだな」


ヤヤの目の前でソファーに腰掛け、優雅に足を組むウァンディットの発言にピクリと肩が震えるヤヤ。


「陛下…。飛んだ醜態を晒してしまい、申し訳ありません」


(…首でも刎ねられるのかしら?それとも、ここから追い出されるとか?)


死なないで、追い出されれば願ったり叶ったりだと思うヤヤは、顔を伏せ非礼を詫びた。


「構わん。だが、辛ければ休めと書いて置いた筈だが?」


ヴァンディットはローテーブルに置いてあるヤヤの書き置きを手に取ると、それをヒラヒラとさせる。


「これはどういうことだ?」


ヤヤの視界にあった書き置きがヴァンディットの手に渡り、威圧感溢れるヴァンディットの物言いにヤヤはどう答えるべきか悩む。


「…はい。一応、起きたところ、動けなくはなかったので…。陛下にご迷惑がかかる前にと下がらせて頂いたのですが…」


どうやら、部屋に戻ってはいけなかったような雰囲気に、ヤヤは内心首を捻りつつも正直に答える。


「………。身体は痛まなかったのか?」


ヤヤの発言に眉を顰めるヴァンディットは、手加減したとはいえ、初めての女、しかも鍛えてもいない女が早々に動けるほどの抱き方をした覚えはないのを自覚している。精々起きれて昼過ぎだろうと見込んでいただけに、ヤヤが昼前に動けたことが不思議であった。それから、ふと護衛に抱かれて後宮へと帰るヤヤの姿が浮かび、眉間の皺が増えた。


「あの護衛に抱かれて帰ったか…」


ぼそりと不快げに呟かれたヴァンディットの言葉にヤヤは何気なく顔を上げた。上げた先のヴァンディットの視線は思いの外鋭く、ヤヤは再び顔を伏せる。


しかし、何やら勘違いをしているヴァンディットに、一応事実を伝えておこうと口を開いた。


「陛下?…リンクスは確かに迎えに来てはくれましたが、私は歩いて帰りましたわ」


「…なんだと?」


「ですから、私は歩いて帰りましたと」


だいぶキツかったけどねと心の中で呟きながら、ヤヤは昼間の苦行を思い出し、遠い目になる。


ヴァンディットは、ヤヤの言葉が信じられず、聞き直したが、答えは同じ。ここから後宮までの道のりを素早く計算するヴァンディットは、とてもじゃないが、自分が抱いたこれまでの女は歩ききるのは無理だろうと思う。


(なんだ?この女は…)


顔にこそ出なかったものの、内心の驚きは隠せないヴァンディット。


ー面白い。


一見、普通の女にしか見えないヤヤに、ヴァンディットの興味が刺激される。


(今夜は手加減は不要だな)


ニッと唇の端を上げるヴァンディットはヤヤにとってはありがたくないことを心の中で決めた。


「今はどうだ?」


昼間の苦行に意識を飛ばしていたヤヤは、突然のヴァンディットの問いかけに顔を伏せたまま、目をパチクリさせる。


何が?とも何のこと?とも聞けずに、ヤヤは何を言われているのかさっぱりであった。


「…体調はどうだと聞いている」


理解出来ていないヤヤを察してか、ヴァンディットが再度口を開くと、漸く合点のいくヤヤ。


「お気づかいありがとうございます。お陰様でだいぶ良くなりました」


その答えに偽りはなく、節々の痛みはだいぶ引き、睡眠をとったせいか体力も戻ったような気がしていた。


「それは何よりだ。では、夕餉を共にいただこうか」


そう言って立ち上がるヴァンディットに、ヤヤの頬がピクリと引き攣る。


(えっ…。何それ!?)


いつになったら部屋に帰れるのかと、やきもきしていたヤヤはヴァンディットの申し出を断りたくて仕方がない。別れ際のリンクスのことも気になっていたので、余計に早く帰りたいと願うヤヤ。


「陛下…。あの、…」


「なんだ?」


末端貴族のヤヤが皇帝からの食事の誘いを断れないのはこの際仕方のない事だとしても、いつ部屋に帰れるのかぐらいは知りたいと思ったヤヤは、立ち上がり威圧感の増したヴァンディットに身体を向けた。


「私は、いつ頃部屋に戻れるのでしょうか?」


ヴァンディットは自身からすれば、随分小さいヤヤの体を眺めていた。


(帰りたいと?…帰すわけがない)


今までの人生で執着というものを知らなかったヴァンディットだが、ヤヤに対してのそれは執着としか言いようのないもの。その顔に浮かぶ、暗い笑みは俯いているヤヤの目には入らなかった。


「お前は今日より、対の間で過ごす」


暗い笑みのまま、吐き出されたヴァンディットの言葉にヤヤはピシリと身体が固まる。


(対の間…!?)


それが何を意味するのかぐらいは、後宮にいれば嫌でもわかる。冗談じゃないと思うヤヤだが、末端貴族が皇帝に逆らえるわけもない。

しかも、後宮での家名の剥奪は、身分を問わず一列に皇帝のものとする為、末端貴族であろうがなかろうが正妃になることは可能であった。


「陛下、私如きが申し上げるのは不躾だと思いますが…。どうか、お考え直しをなされた方が良いかと存じます」


思ってもみない展開に、ヤヤは必死で逃げ道を探す。


「…何故だ?」


一方、ヴァンディットはそれ程までに己が嫌なのかと、燻る暗い闇が蠢き出す。ヤヤにしてみれば、嫌であれば昨夜の内に抵抗らしい抵抗はしていたと言わざるえないのだが、それはヴァンディットの知るところではなかった。


「陛下は尊きお方です。私のような、何も取り柄のない女よりも、美しく賢い女性の方がお似合いかと…」


しどろもどろになりそうな自分をなんとか奮い立たせたヤヤは、そこで一旦言葉を区切り、思い切って、顔を上げた。


(…怖っ!!)


赤みを増した榛色の瞳がヤヤを捉え、動けなくする。


「それを決めるのはお前ではなく、この俺だ」


バッサリと斬って捨てられたヤヤの発言と榛色の視線が、ヤヤを諦めの境地へと追いやる。


(…体力作りに励まなきゃ。いや、その前に柔軟体操かしら?)


何がどうしてヴァンディットの興味を引いたのかわからないヤヤは、目を逸らすことが叶わず、困惑顔のまま、そんなことを考えていた。


傍から見れば、大きな拒絶をするわけでもなく、だからと言って喜んでいる様子のないヤヤは掴みどころがなかった。まして、その心がわかるわけでもないヴァンディットは、ヤヤの思っていることをすべて吐き出させたい気持ちに駆られるが、自分がこれからすること考えると出来そうになかった。


(…早く飽きてくれないかしら?)


そう思うヤヤは、対の間の意味を知ってはいても、深く理解しようとはしていなかった。


ヴァンディットが飽きるのが先か、上級貴族から引き摺り下ろされるのが先かー。


どちらにしろ、流されるしかないヤヤは、どこか冷めた気持ちで命の危険の回避の仕方を模索していた。

自分の中でキャラがあやふやになってしまったヴァンディットとヤヤ…。


書き続けたいが、もはやグダグダorz見切り発車は危険だねっ☆


取り敢えず、頑張ります。

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