1/37
1
天上に淡く輝く弓張月と無数の星々が、闇を鮮やかに彩る夜。
ガルディナ帝国の帝都にある皇帝の住まう城の大広間、『聖光の間』には悲鳴と怒声が入り乱れていた。
西国の黄昏を呼ぶ鷹と称される偉大なる皇帝『ヴァンディット=ドルディ=ガルディ』の皇帝即位十周年を記念し開かれた夜会が、皇帝の独裁に憤慨し皇帝を排除しようとする貴族や騎士によって早々にぶち壊されたのだ。
筆頭貴族である、ソルディー公の宣誓の元に始まったそれは、夜会に訪れていた関係のない貴族や側室を巻き込んでの大騒動となる。
皇帝側の騎士や腕に覚えのある貴族と、元から武器を隠し持っていたソルディー公側の貴族や騎士が応戦し、逃げ惑うわけもわからない貴族と側室の怒号と悲鳴の不協和音がそこにはあった。
そんな中、側室である一人であるヤヤは思っていた。
―今しないでよ!
と。