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プロローグ

 コホコホと咳が出る。


 ザイドは大きな体を捻り、枕に額とツノを押し付ける。切ることを怠り長くなってきた黒髪が、シーツの上に広がった。

 数日前から続く体調不良は一向に治まる気配がなく、ついにザイドは寝込んだ。


 『疲労と魔力が溜まり過ぎていますよ。これはもう静養し、ある程度魔力が放出されるまで様子を見るしかありません』


 今朝診てもらった医者は、そう言って薬も出さずに帰って行った。

 なす術も無くベッドに転がるだけとは、なんと無様なのだろう。体調管理が出来ていなかった自分に苛立つ。


「コホコホ」


 咳が出る度に、口から一緒に小さな破壊光線が出る。

 ああ、と溜息を一つ。枕が穴だらけになった。

 体を上向かせると、カーテンの隙間から差し込む月明かりが少しだけ眩しく感じる。なんとか眠ろうと目を閉じて――しかし咳は止まらない。


「コホコホ……ケホ!」


 苦しい。

 咳をした瞬間、少しでも楽な姿勢を取ろうとして横を向いたのがいけなかったのか――。


「…………!」


 口から飛び出した破壊光線は細く伸び、隣室との間の壁に小さな穴を開けた。


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