ある殺し屋が初めて『尊敬』を知る
依頼主は10 才ぐらいのオスのガキンチョだ。
ボロい服に傷だらけの顔。
経験上、親の虐待ってのはすぐ分かった。
生意気に睨みつけてくる。
「俺は殺し屋だ。分かるか?そうだな。合い言葉を知っているなら分かるよな。スマン。本当に殺すのか?本気の本気だってか?うぅん。報酬はどうする?ガキの払える額じゃない。例のウワサ?ネットで見た?マージで?えー。ネットの掲示板?じゃあ。この仕事を最後にしばらく国外に行かなきゃな。そうだよ。楽に殺したら金はもらう。だが俺には趣味があってね。痛めつけさせて貰えたら割り引ける。どんな?そうだな。今は火の気分なんだよね。鉄板の上で人間を炭火でじっくり焼いてみたい。でさ。ケバブみたいに少しずつ肉を削ぎ落としたい。一口ぐらいは食いたいよな。タレ付ければ食えないことないし。食ってる間は火を止めてさ。生き長らえさせるわけ。一度氷水に浸したら美味しくなるかもな。ハハッ。不味かったら木に縛り付けて山の虫たちに食べてもらうさ。ただお前さ。なんか……こう。人の心とかさ。いくら嫌いな奴でも可哀想とか……無いのか。産まれてからずっと一緒だったわけじゃん?こう……情とか……無いのね。無いのか。そうか。じゃあ150万円のところ今回は特別に1000円でいいよ。えっ?300円しかねーの?……まぁいいか。その代わり片目をマイナスドライバーで潰してのスタートだ。オーケー?オーケーなのかよ。俺が言うのもなんだけど……お前イカれてるよ?」
虐待される自分を許せない……か。
強い子だな。
俺は少年を車に乗せた。




