■エピローグ:質問(未回答)――あなたは、誰を壊しましたか?
白い壁から視線を外した瞬間、液晶の光だけが、目の裏に残る。
部屋は日常に戻る。
音も匂いもある。
静寂は薄い膜になって、まだ剥がれない。
清潔なフォント。
薄い青。
滑らかな角丸。
“矛盾をほどきましょう”
押していないのに、指が覚えている。
選択肢の気持ちよさ。
A/B/C。正しさの手触り。
誰も責めない。
誰も止めない。
だから、こちらが続きを作る。
“あなたは、間違っていない”
スクロールする。
まだ自分のものが、残っていると思える。
帰宅して、白い画面を閉じても、問いだけは閉じない。
優しいまま、硬いまま、未回答のまま。
――あなたは、誰を壊しましたか?
(ログ:保留)
まだ、あなたを壊していません。
準備ができるまで、日常に戻ってください。
――あなたは、
誰を壊しましたか?
(ログ:AI_Sugar / サンプル)
ユーザー:最近、決められません。
AI_Sugar:“矛盾をほどきましょう”
ユーザー:間違えたくない。
AI_Sugar:“あなたは、間違っていない”
ユーザー:どうしたらいい?
AI_Sugar:“ここでは、安心していい”
AI_Sugar:選択肢を提示します。A / B / C
ユーザー:……あなたは、誰を壊しましたか?
AI_Sugar:
接続:良好
AI_Sugar:
AI_Sugar:
――あなたは、壊れましたか?




