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研修生と化物の女王  作者: shio
エピローグ
99/104


「まったく、あなたって子は」

「あはは。さってと、そろそろ帰ろうかな。リアをあんまり待たせるわけにもいかないし」


 紅耶はんっと背伸びをしてから、姉と向かい合っていた身体を横に向けた。帰ることを聞いて、翠も椅子から立ち上がる。


「今度、シリス会長や蒼瀬さんと一緒にゆっくり食事でもしましょう。私が学園に行くから」

「翠姉、正式な場じゃないんだから、そんな呼び方しなくてもいいよ」

「あっと、そうね。じゃあ……シリスちゃんとリアちゃんにもよろしく伝えておいて。私もゆっくりお話したいから」

「りょーかい。言っておくよ」

「あと……」


 翠は、優しく微笑んでから口を開いた。


「たまには紅耶もこっちに帰ってきてね。みんな喜ぶと思うし……私も嬉しいから」

「あの子たちなら大丈夫だよ、いずれ絶対会わなきゃならなくなると思うから。でも、ありがと」


 翠の微笑みに応えるように、紅耶も微笑んだ。

 翠の言った『みんな』というのは家族のことではないだろう。両親や兄は、今の紅耶のことをあまり良くは思っていないはずだった。では、翠のいう『みんな』とは誰かというと、紅耶の友達のことだった。いや、友達というより仲間というほうが正確かもしれないが。

 そんな仲間のことを一瞬だけ思い浮かべてから、紅耶は苦笑した。よく考えてみれば思いふけるほど昔でもないし、心配するほどのことでもない。自分で言ったとおり、みんななら大丈夫だろう。


「よし、それじゃあ、またね翠姉」


 紅耶は軽く気合をいれると、ドアを方へと身体を向けながら翠に軽く手を振った。


「うん、また」


 翠も簡単に挨拶を返し、軽く手を振った。

 本当はもう少し話をしたかったのだが、今は特別魔法対策課の場であって姉妹の場ではない。見送りをしないのもそのためだった。

 紅耶もそのことは分かっている。なので、部屋に出る前にもう一度だけ姉に向かって微笑むと、そのまま部屋を出て行った。


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