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研修生と化物の女王  作者: shio
第四章 たった一つの気持ち
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 それは、絶対にやってはいけないことだ。絶対に、なにがあっても。

 親が子供を殺そうとするなど、絶対にしてはいけない。例え、脅しであっても絶対にやってはいけない。

 常識や人道などという問題ではない。人が人として生きることが当たり前のように、それは人間が本来持つ自然で当たり前のことだった。

 それをした。

 リアの心には一生拭えない『何か』が刻まれた。

 研究材料として使われたとしても、まだリアは父を信じていた。

 研究の末、自分が死んでも構わないと思われていても、それでもリアは父がいつか変わってくれると信じていた。

 人間じゃない。子供じゃないといわれても、父と呼んだ。

 それを裏切った。最後の最後の一線を裏切った。

 自分の保身のために子供へと銃をつきつけた。

 自分の正当性を示すために娘を殺そうとしている。

 悲しみでも、絶望でもない。

 絶望という言葉すら生ぬるい。


「――――」


 紅耶とシリスは、ただ見つめていた。

 同情でも、悲しみでもない。怒りというだけでは生ぬるい。


「こ、殺す――!」


 蒼瀬源二が何かを口走ろうとした瞬間。


 ――ヒュオッ!


「あぐっ!!??」


 ガチッという無機質な音が響き、紅耶の放った縄の鉛は蒼瀬の銃を弾き飛ばした。


「ぁ、ぐ……っ!?」


 呻きながら落ちた銃に顔を向け、次に紅耶に視線を向けたとき――今度は蒼瀬源二が息を止めた。


「――――」


 紅耶とシリスの瞳――それに射すくめられ蒼瀬源二は震えながら立ちすくむ。


「リア」


 紅耶が静かに一言言うとリアはゆっくり父の横から歩き出し、


「…………」


 何も言わずそのまま紅耶に抱きついた。

 服をぎゅっと握ってくるリア――悲しみでも、絶望でもない。そんな言葉で現せるようなものではない。

 紅耶はリアを抱き寄せた。ぎゅっと抱きしめ、もう一度口を開く。


「リア――私には力がある」


 頭のいいリアであれば、それだけで意味が分かるだろう。


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