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「リアを返す気はないんでしょ。なら実力で返させてもらう」
「な、なんだと……」
信じられないような面持ちで蒼瀬源二は呻いた。確かに、傍から見れば高校生二人が銃を持った二十六人の男達に立ち向かおうなどと、正気の沙汰ではないだろう。しかも、一人は魔法を使えないのだ。
紅耶は蒼瀬源二の表情を読み取ったようににっこり笑うと、右手のゴム縄を持ち上げた。
「これなんだと思う?」
「……なに?」
「わたしの武器なんだけど、別に特別なものじゃないよ。普通のホームセンターに売ってるゴム縄と鉛の重り。なんとこのゴム縄、工業用の丈夫なもので二百キロの重さにも耐える。しかも、伸縮にも優れていて十メートルの縄が三倍の三十メートルも伸びるんだよ」
両手でゴム縄を伸ばしながら説明する紅耶に、蒼瀬源二や周りの人間はなんといっていいか分からずただ戸惑った。
「そして、これ。学園に落ちてた小石」
そんな周りの反応は気にせず、紅耶はポケットから小石を取り出した。それを横目で見ていたシリスが、笑って確認してくる。
「準備万端?」
「うん、待たせたね」
頷き持っていたゴム縄の鉛を離すと、紅耶はゆっくりと回し始めた。鉛の重さに速度が増していき、ヒュンヒュンと風を切る音が響き始める。
「……!?」
分けが分からず、ただその行動に目を向ける蒼瀬源二たちに紅耶はもう一度だけ微笑むと、すぐに凛と瞳を光らせて口を開いた。
「ああ、銃を向けている人達、動かない方がいいよ。下手に動くと――」
手に持った小石を一つ親指で弾くと、戦いの合図をするかのようにそのまま紅耶は吼えた。
「当たり所が悪くて失明しちゃうかもしれないよ!」
――瞬間、
ヒュィンッ!!
紅耶の右手の縄が閃き、先についた鉛が落ちてくる小石を弾き飛ばした。
「がっ!」
「!!??」
弾かれた石が額に当たり倒れていく仲間を見て、銃を構えていた男たちが驚愕する。
「う、撃てっ!!」
黒スーツの一人が叫び、男たちが一斉に紅耶とシリスに銃を向け直す。
「遅いよ」
だが、銃を向けたその時にはもう紅耶とシリスは動き始めていた。
紅耶は小石をばっと放つと、踊るように身体を回転させながら縄で円の軌跡を描いた。
パパッ、パパパパンッ!!
「っ!」
「ぁがっ!」
鉛に弾かれた石は過不足なく全て飛んでいき、二階にいた六人の男が額を打ち抜かれ倒れていく。




