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ゴガァァアァアアアアアッ!!
入り口のドアが吹き飛び、大きな穴が開いた。
「――っ!?」
倉庫にいた全員が、驚いて音のほうへと目を向けた。
吹き飛んだドアが盛大な音を響かせて床に転がる中、薄暗い倉庫の中に開いた穴から陽の光が差し込んでくる。
「こんにちは」
今の状況に場違いなほど落ち着いて挨拶をしながら、閃光を背に地面を踏みしめ、開いた穴からゆっくりと二人の少女が姿を現した。
「迎えにきたよ、リア」
二人並んだ左側の少女――赤い布で纏めた黒髪をなびかせながら、紅耶は倉庫の中に入るとにっこり微笑んだ。
「シリス……紅耶……」
リアが小さく呟く。
遠くにいるリアの小さな声が聞こえたわけはないだろうが、まるで名前に答えるようにシリスはウインクし紅耶は軽く手を上げた。
「な、なんでお前達がここにいる!」
明らかにうろたえた声で聞いてくる井田に、紅耶は上げた腕を下ろすと腰に手を当ててにっと笑った。
「なにいってるの? あなたが案内してくれたんじゃない」
「なに……!?」
「絶対、リアのところに行くと思ってたよ。わたしたちの様子を報告しに」
紅耶はなんでもないように話していく。自慢するほどのことでもなかった。こんな人間達に自慢しても、それこそなんの自慢にもならない。なので、あっさりと種明かしをした。
「……後をつけてきたっていうのか」
「そんな面倒なことはしない。『お送りします』って近づいたときに発信機をつけたから。ベタだけど、簡単だしね」
紅耶の話に、井田は慌てて身体をまさぐった。その姿は傍から見て滑稽だったが、どこにつけたかなど教えてやる義理もない。
井田は無視して、紅耶はリアの父親、蒼瀬源二へと視線を向けた。
「貴様ら……」
言葉は静かだが、瞳にはっきりとした憎悪の色を滲ませてこちらを睨みつけてくる蒼瀬源二を見返してから、シリスと紅耶は一歩踏み出した。
――その瞬間。
カチャ……
黒スーツの男たちが倉庫の一階と二階に現われ、入ってきた侵入者に向かって銃を構えた。
それを見て、シリスと紅耶は足を止める。そして、ざっと見渡してから呆れたように紅耶は呟いた。
「これはまた、一介の科学者にしちゃものものしいね」
ジャリッと床を踏みしめ、紅耶は蒼瀬にもう一度視線を向けた。
「銃を持った訓練された人間が二十六人。外のも合わせると三十八人。普通の科学者が用意できる人間でも人数でもない」
「そうね。裏に誰かいなければね」
紅耶の言葉に、シリスも続ける。予想はしていたことだ。リアを簡単に『外』へと連れ出せていたことからも。




