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「それはそうと、古城学園の魔法使いどもはどうだった?」
父の言葉に、リアは俯いたままビクッと身体を震わせた。
「はは、謝るばかりでしたよ。所詮は魔法を使うだけのただのガキです」
「そうか。まあ、そうだろうな。精々、もがき苦しめばいい」
ひとしきり蒼瀬源二は笑った後、口を歪ませた。
「これからもっと苦しむことになるんだからな。魔法使いなぞ人間以下だ、早くいなくなればいい」
「――ごめんなさい」
小さな呟きに、蒼瀬源二は視線を向けた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
リアは小さな声で謝り続けた。涙をながしながら、何度も何度も。
「これから動くとなると研究も早く進めねばならんな。規制が強くなれば、魔法使いの反抗もありえる。その前に準備しておかなければならん」
だが、蒼瀬は何事もなかったように報告書に目を戻し、助手である井田に話を続けた。
「そうですね博士。すでに、上からの連絡も受けています。研究を早く進めるようにと」
「ふん、まったくそういうのなら捜査をとめさせればいいものを。まあいい、今回のことで私への疑いもなくなるだろうからな」
報告書を井田に返しながら、蒼瀬はまるで買い物を頼むように付け加えた。
「材料をさがしておけ」
「――――!!」
リアは身体を震わせて、顔を上げた。
「もう隠れて研究する必要はなくなる。子供がいい。あいつと同じような魔法使いの子供を」
「もうやめてっ!」
リアは身体を震わせ立ち上がり叫んだ。
「お願い……パパ。ママが好きだったパパに……パパに戻って」
震える手を握り、震える声を搾り出し、涙を流したままリアは呟いた。
祈るように、願うように……言葉が届くように、想いが伝わるように。
――だが、それでも、
「幼児もいるな。魔法使いの幼児なら、金を出せば喜んで差し出す人間もいるだろう」
「…………パパ……」
声は届かない。気持ちは伝わらない。こんなに叫んでも、何も変わらない。
「あれは、どうせすぐに駄目になる」
指をさされる。自分へと。
「だめ……」
それは駄目……私みたいな子を増やしちゃ駄目。
「だめ……やめて……」
苦しむのは私だけでいい。
「材料は多いほうがいい」
「だめぇぇえええっ!!!」
もう一度叫ぶ――
――と、同時だった。




