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研修生と化物の女王  作者: shio
第四章 たった一つの気持ち
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「まだ説明が終っていませんが?」

「魔法使いには任せておけない。こちらはこちらで動かせてもらう。だが……」


 立ち止まり顔だけこちらに向けてくると、井田は一言いった。


「この責任分かっているだろうな。覚悟しておくんだな、レイティーナ生徒会長」


 口調は笑っていないが、瞳で笑みを浮かべて再びドアに向けて歩き出す。


「お送りします」


 すかさず横に近づき紅耶がそう言うと、


「いや、結構だ」


 語気を強めたまま井田は断り、そのまま生徒会室を出て行った。


「シリスちゃん……」


 心配そうに瑞穂がシリスに声をかけた。今、生徒会室には三人――シリスと紅耶と瑞穂しかいない。

 水沙や鈴、そして、他の代表や生徒会役員をこういう場に置くわけにはいかなかった。水沙と鈴はリアの捜索を手伝うとまで言い出したのだが、それも止めさせた。『捜索していない』というのもあるが、出来うることなら『こういうこと』には関わらせたくはない。


「心配しなくて大丈夫よ。まあ、唾を飛ばされるのは嫌だったけどね」


 安心させるように瑞穂に微笑んでから、シリスは紅耶に視線を向けた。


「あの人、芝居が上手いとはいえないわね。内心喜んでいるのが見え見えよ」


 肩をすくめるシリスに、紅耶も笑って答える。


「こうも早く行動を起こすとは思わなかったけど、その後は予想通り早くて助かったよ。あんまり待たせるわけには行かないからね」

「ちゃんとできた?」

「もちろん」

「ふふ、さすが。じゃあ、早速準備しましょうか。といっても、なにも持っていくものはないけど」


 話を進める二人を、瑞穂は心配顔で見つめていた。事情は聞いているし、聞いているからこそ自分が口を出してはいけないことだと分かっているが、不安になるのはしょうがなかった。

 その視線に気づき、シリスと紅耶は不安を解消させるように散歩にでも行くような気楽さで瑞穂に向かって微笑んだ。


「少しだけ留守を頼むわね、瑞穂」

「んじゃ、行ってきます。帰ってきたら、またおいしいお茶を頼むね」

「うん……行ってらっしゃい。気をつけてね」


 胸で手をぎゅっと握って言ってくる瑞穂に、シリスと紅耶はもう一度微笑んでからドアに向けて歩き出した。


「さて」


 ポケットから先っぽに鉛がついたゴム縄を取り出し右手に結びながら、紅耶はドアを開け一歩外へ踏み出した。


「リアを取り戻しにいきますか」


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