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研修生と化物の女王  作者: shio
第三章 同じ二人
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12


 リアの問いはもっとものように見えて実は間違っている。『父親のことを嫌いと言ったのに、自分のことは何故嫌いにならないの?』とリアは言っているのだ。

 そのおかしさはリアも気付いているのは知っていた。だからといって、それを一言で言うのは難しい。

 しばらくの間、春の風だけが二人の間を通り過ぎていく。その間紅耶はずっと考えていた。自分の気持ちをどう伝えるかを。

 道徳でも同情でもない。女の子だから、子供だからでもない。友達だから……というのは間違ってはいないかもしれないが、それではまだ浅い。

 頭の中でいくつもの言葉が浮かび消えていく中――紅耶はやっとその答えを見つけた。

 思いついてみればもっとも簡単で、単純な答え。でも、一番強くリアと自分を結びつける答え。


「――言ったでしょ」


 紅耶は一度だけ瞳を閉じ、真っ直ぐにリアを見つめると静かに口を開いた。


「わたしとリアは一緒だから」

「――――」

「リアと同じ気持ちだからだよ」


 その言葉に――


「…………」


 リアは胸で両手を握り締め、何かを耐えるように一歩後ろへと下がった。身体を縮こませ、小刻みに震えながら。

 その握り締めた両手に雫が落ちる。一つ二つと、俯き震える頬から。


「…………私は……」


 小さく囁く声……そこには嗚咽が混じっていた。


「……リア」

「近づかないでっ!」


 叫び、顔を上げる。


「…………」


 紅耶は黙ってリアを見つめた。歯を食いしばり、涙を流し続けるリアを。

 肩を震わせ涙を拭うこともせずに紅耶を睨みつけ、さらにリアは叫んだ。


「私、ママもパパも嫌いになれないもの!」


 息を切らせて、リアはなおも何かを叫ぼうと口を開けた。


「私……私っ!」


 しゃくりあげ、叫ぼうとするが感情に言葉が追いついてこない。それでも、叫ばずにはいられなかった。


「――分かってる」

「っ!」


 紅耶の言葉に、リアは叫びを止めた。


「分かってるよ」


 紅耶は静かにリアを見つめる。重く深い一言だけを言って


「…………」


 息を飲み、リアも紅耶を見つめた。叫びを止めたのは……紅耶も泣いているように見えたからだ。

 涙は流していない。でも、泣いているように見える。

 それは悲しみでも同情でもない。分かっている――それは、さっき言ったとおり――。


(私と……一緒だから)


 ――同じだから。


「私……」


 リアはその場に膝をつき、そのまま座りこんだ。溢れ出る涙はそのままに、感情に満たされた身体を震わせたまま。

 このまま……このまま紅耶の胸に飛び込めばどんなに楽だろう。きっとそれで救われる。自分の全部を受け止めて助けてくれる。


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