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「授業は受けなければいけないものだからみんな受けている、と思っている人がほとんどだと思う。授業の意味なんて考えずに。じゃあ、何故授業を受けるのか、授業は何の為にあるかといえば、みんなこう答える。『子供の成長のため』だと」
紅耶は歩きながら淀みなく話していく。先生でもない紅耶が、こういうことを話すのは不思議と言えば不思議だったが、何故か違和感はない。
「では、ここで質問。『授業や勉強じゃないと子供は成長できないのか』。リアはどう思う?」
また質問され、自分のことと何か関係があるのだろうかとどこかで思いながらも、リアは質問の答えを考えるために少し俯いた。
すっかり暖かくなった春の風を感じながら、思考を巡らせる。とはいっても、そんなに難しい質問ではない。勉強だけで子供が成長できるかどうかという質問なら、答えは簡単だった。
「ううん、勉強じゃなくても成長はできると思う」
少し間を空けてはっきり答えたリアに紅耶は満足そうに頷く。
「わたしもそう思う。成長と一言でいっても、実は何故授業を受けるのか、と同じくらいに曖昧に考えている人が多い。それを考えれば、勉強の教え方も変わってくると思うんだけど」
言葉を止めると同時に、紅耶は足を止めた。それに気付きリアも紅耶の横で立ち止まる。
「んじゃ、結局のところ一番なにが大事か」
「……なにが大事なの?」
立ち止まった紅耶を見上げて問いかける。すると、紅耶は腰を落としてリアに目線をあわせるとにこっと笑って、とんっと胸を拳で叩いた。
「ここの成長が一番大事」
「ここ?」
「心の成長」
紅耶は一言そういうと、腰を上げて空を見上げた。
「さーて、じゃあ今度は屋上にいこうか。こんな陽気だと気持ちいいよ、きっと」
「…………」
叩かれた感触に胸に手を当てる。紅耶の言葉の意味は分かるようでわからない。
「いくよ、リア」
「……うん」
疑問というよりも不思議な感覚を感じながら、再び歩き始めた紅耶の後についてリアは歩き始めた。




