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研修生と化物の女王  作者: shio
第三章 同じ二人
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 魔法都市市役所。


 都市の中央にあるわけでもなく、様々な理由――主に、政府の都合で都市の隅、市の境近くにその建物はあった。「外の世界」にもっとも近く、魔法都市の玄関口にもなっている。

 前述した魔法使いと魔法使い以外の「面会」もここで行われ、魔法都市から出るにはこの市役所を通らなければならない。ただし、市役所を通り抜け外に出たとしても、すぐに警備隊の中を通らなければならなくなるのだが。

 市役所の名の通り魔法都市の行政を担っており、何かあれば全てここに回されることになっていた。古城学園や生徒会の管理も名目上は市が担当していることになっている。ちなみに、水沙や鈴のような部の代表は当然学園の管理となっていて、市とは全く関係がない。まあ、部の代表も市の管理にすべきだなどと主張する役員と議論は毎回あるのだが。

 シリスが朝一番で呼び出されたのは、そんなくだらない馬鹿馬鹿しい議論を毎回している市役所の会議室だった。しかし、これも毎回思うことなのだが、シリスは会議室という名称は間違っていると感じていた。


(『取調室』か『尋問室』のほうが正しいでしょ)


 殺風景な会議室、その中央のパイプ椅子に座り、市長を始め役員の大人たちに見られながらシリスは内心で皮肉った。実際、そう言ってもいいのだろうが、大人たちに意地悪するのもかわいそうなので黙っている。

 そう――意地悪するのはかわいそうなのだ。事実、シリスにはそれだけの力があった。名称くらいなら一言いえばすぐに代えてくれるだろう……皮肉に怯え、言い訳しつつ気を使いながら。いや、それどころか、市役所に呼び出されることなく、逆に市役所の人間が学園に来いといっても通るはずだった。そして、言う事を聞いてしまう現実も市役所の人間は自覚しているだろう。


(まあ、これも意地悪といえば意地悪かな)


 威圧的になることもなく逆に大人しく言う事を聞くシリスに、市役所の人間は余計に怯えていた。表面上は平静と威厳と大人の余裕を保っても、国で一番の魔法使いであるシリスに対して心の内にある恐れは隠しようがなかった。

 そして、その恐れは年々大きなものとなっている。


(五年前の時点では、都合よく操れると思っていたんでしょうけどね)


 確かに五年前、シリスはまだ……といっても世間的に見たら今もだろうが、シリスはまだ子供だった。

 当然、魔法都市の中心人物になったとしても、当時、シリス一人で魔法都市の全てを取り仕切り管理することなど不可能に近かったし、周りもシリス一人に管理させようともしなかった。

 その結果、シリスは古城学園の生徒会長という形になり、都市の行政及び学園の管理は市役所が担当することになった。自然で当然な流れだと誰もが思うだろう。

 だが、このことが大きな矛盾とねじれを生むこととなる。といっても、これもシリスがそうしようとしたわけではなく、大人たちが勝手に作り上げたものなのだが。


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