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「…………」
まだ納得がいっていないように俯く鈴に、シリスは手を伸ばして優しく頭を撫でた。
「鈴はみんなのこと嫌い?」
「……ううん」
「じゃあ、好き?」
「……うん」
こくりと小さく頷く鈴に、シリスは微笑む。
「それでいいのよ。鈴のそのままの気持ちで、今度はみんなの話をちゃんと聞いてあげるの。そうしたらきっとみんなも分かってくれる。だって、クラスのみんなも鈴の友達で、リアも鈴の友達なんだから」
「会長……」
「どちらも鈴の友達なら、きっとリアもみんなも友達になれる。そうでしょ、どちらも鈴の大好きな友達なんだから」
「うん……うんっ!」
シリスの言葉に鈴は顔を上げ、今度は大きく頷いた。
「みんなもリアちゃんもあたしは大好きだもん! だから、みんなで仲良くできるようにあたしがんばる!」
「よし」
元気になった鈴にもう一度微笑んでから、シリスは撫でていた手を離した。そんな鈴にほっとしながらも、水沙はこれからのことを考えて顔を曇らせるとシリスに問いかける。
「でも、これからどうするんですか?」
「そうね」
シリスは紅茶を一口飲んで間を空けてから、ゆっくりと話始めた。
「周りのことは気になるだろうけど、あまり気にしないで。喧嘩とかしちゃ絶対駄目よ。今話したようにみんなもリアも昨日までと同じように接してあげて」
「でも、リアちゃんは……」
「分かってるわ。でも、もし、なにかをすれば周りのみんなもリアも傷つけることになる場合もある。辛いのは分かるけど我慢して」
悲しそうに呟く水沙に、シリスはもう一度言い聞かせた。気持ちは分かるが、リアのことばかり気にしてしまうと今度は水沙と鈴に対して周りが悪い感情を持ってしまいかねない。そうなれば、ますます問題が大きくなる場合もあった。
「みんなにもリアにもいつも通り明るく元気に、ね。特別に何かしなくても、その明るさや元気がリアの何よりの励ましになる。だから、いつも笑顔で接してあげて。逆に、二人が落ち込んでいたらますますリアも落ち込んじゃうわよ」
それに、とシリスは元気づけるように明るく言った。
「リアと会ったらいけないっていってるんじゃないんだから。リアが落ち込んでいたり、周りから傷つけられそうになったらちゃんと助けてあげて。三人は友達なんでしょ?」
「はい、わかりました」
「うん、もちろんだよ!」
幾分か明るくなって頷く水沙に、続けて鈴も元気に手を上げた。
二人の笑顔が戻ったことに安心して、シリスは微笑んだ。それから、一際明るい声でこう付け加えた。
「まあ、色々言っちゃったけど、安心していいよ」
急に明るくなった声に不思議そうに見つめてくる水沙と鈴に、シリスはにっと笑ってウインクした。
「後は、ルームメイトの紅耶がなんとかしてくれると思うから」




