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「なにかしたって言うの、リアちゃんが」
今度は水沙が口を開いた。鈴と同じように怒りをもってはいけないと分かっていても、周りのクラスメイトの態度に口調は冷たくなってしまう。
もちろん、水沙にしても鈴にしてもリアの父親と今聞かされた――蒼瀬源二という科学者のことはテレビで見る程度のことは知っている。魔法使いに差別的なことを言っていることも。
(だからといって!)
心で叫ぶ。リアと出会ってまだ十日だが、それでも、父親と同じように魔法使いを嫌悪していたようには見えないし、嫌悪するような性格じゃないことは知っている。拒絶しようとしても、自分たちのことを嫌うようなことはしなかった。
それに、さっきの表情――リアは嫌われる事を受け入れて当たり前だと思っていた。
(嫌われて当然だなんて、それが、そんなことが当たり前なんておかしい!)
「なにかしたかもしれないじゃないか。それに、ここに来る前は親と同じように魔法使いを差別していたかもしれないだろ」
また他の男子生徒の言葉に、水沙は心で叫んでいた言葉を声に上げようとして止めた。
そうなのだ……リアはそんな子じゃないと言ったとしても、おそらく周りは納得しないだろう。
嫌っていないと自分たちは分かっていても、周りを拒絶しようとしていたのは事実なのだから。
「リアちゃんはそんな子じゃない! 一緒にいて分からないの!」
「鈴ちゃん」
自分の変わりのように声を上げた鈴を、静かに水沙は止めた。
「水沙ちゃん……こんなのおかしいよ」
「いいよ。リアちゃんを追いかけよう」
悲しそうに見つめてくる鈴の手を掴んで、周りに集まった生徒を掻き分けて教室の扉に向かって歩き始めた。
「代表二人がそんなことしていいのかよ」
なお言い募ってくる男子生徒に、水沙は足を止めて振り返ると、
「リアちゃんは友達だから」
そう一言いって、再び歩き始めた。




