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シリスに促され二人並んで歩き出す。有名な二人が揃って歩く姿は十分目立ったが、二人のことを知っていて近づいてくる物好きは少ない。なので、普通に喋っても回りに聞かれる心配はなかった。
「もう、知っているかもしれないけど」
そう切り出してから、歩きながらシリスは紅耶の顔を見つめた。
「リアのことが、みんなに知られたみたい」
「うん……やっぱりそう」
「なにかあった?」
「いや、今のところはなにもなかったけど、そんな空気は感じてた。水沙と鈴は気付いていないと思うけど……リア自身も」
「只でさえリアは目立つからね。ハーフであんなに可愛くて転入生となれば興味を持たれないほうが不思議よ」
真偽はともかく――そして、善悪もともかくとして、今の時代、ネットに名前を入力するだけでも、様々な情報を見ることができた。
しかも、リアは普通の小学生ではなかった。父親のことを考えれば、有名人の部類に入ってしまう。蒼瀬源二が進んで娘の名前を出すとは思えないが、情報はどこからでも洩れるものだ。
「リアの父親――反魔法の強力な推進者である蒼瀬源二に恨みを持つ魔法使いは多い。とはいっても、この学園にいるかぎりそんな恨みを持つ連中がリアを傷つけるような真似はできないと思うけどね」
「そうね。わたしと紅耶を恐れないなら、とっくに何かをしているでしょうし」
傷つけないことに関しては確信があった。認めたくはないことだったが、シリスにしろ紅耶にしろ伊達に「化物」といわれているわけではない。
確かに、シリスが生徒会長になった年から一年間、その間は深刻な暴力事件が起こっていた。だが今ではそういう事件はほとんどなくなっている。しかも、三ヶ月前に紅耶が研修生としてきたときに起こった襲撃事件も、逆に紅耶が返り討ちにしてしまったので反抗的な魔法使いは鳴りを潜めていた。




