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(『拒絶しようとしている』、『恐怖がない』というのであれば……『リアは魔法使いが好きで、無理やり嫌いになろうとしている』って考えたほうが自然になる)
しかし、それはそれで違和感のあることだった。リアの父親のことを考えれば――
と、そこでふっと息をついてシリスは思考を止めた。
「確かに何かあるかもしれないし、実は何もないかもしれない」
そこまで言ってから、笑って紅耶を見つめる。
「だからこそのルームメイトでしょ」
「そうだけど」
シリスに習って紅耶も一息つき、苦笑した。
確かにそうなのだ。気にはなるが、詮索してリアに質問攻めするのは絶対にやってはいけないし、やるつもりもなかった。
一緒に暮らしていく中で、リアが話したいと思ったときにこちらが受け止めてあげればいい。いくら考えたところで、そうするしか出来なかった。
「考えるのは必要だけど、考えすぎなのかもね。性分とはいえ」
「――だったら、少し考えるのを休めないと」
紅耶の呟きに優しい声が重なった。見ると、ポットを持った瑞穂がこちらにゆっくりと歩いてきていた。
「あんまり思いつめないで、明るく笑顔で、だよ」
にっこり笑いシリスと紅耶に向かって瑞穂が言ってきた。
「ほんとだね」
さっき水沙と鈴に言った言葉を、今度は自分たちに言われてしまい紅耶とシリスは思わず笑ってしまった。
答えの出ない疑問を考えるよりも、それこそ笑顔でリアと接していた方が早く答えが出るだろう。そして、それが一番いいこともわかっている。
そう思いなおし、紅耶は新しく入れなおしてもらった紅茶に手を伸ばした。
――だが、その答えが思っていたよりも早く分かることに、この時の紅耶は当然気付くことはなかった。




