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初等部、中等部、高等部、大学部の各学部の教室は多少違うものの基本は同じ形――五人座れる横長の机が三列ずつ階段状に並んでいる形になっている。
その机の正面にある教卓の前に立ち代表である水沙がリアを紹介した後、転入生の宿命ともいうのか、リアはクラスメイトの質問攻めにあった。
その勢いに圧倒され、質問のほとんどをリアは答えられなかったものの容姿も相まって話は止まることなく、始業のチャイムが鳴ってからようやく質問攻めから解放された。
「…………ふぅ」
多少、いや、多分にぐったりしながらリアは空いた席に座る。と、隣に座った水沙が苦笑しながら謝ってきた。
「ごめんね、やっぱりこうなっちゃうよね」
続けて、もう一つ空いているリアの隣に座った鈴も笑いながら言葉をかけてきた。
「おつかれさま。まあ、転入生の定めだよねー。あきらめなきゃ」
「うん……大丈夫」
「しばらくはこんな感じになっちゃうと思うけど、嫌だったりしたら私にいってねリアちゃん」
「大丈夫。水沙も鈴も側にいてくれたから」
微笑んでくれたわけではなかったが、リアがそういって見つめてきた表情を見て水沙はほっと胸を撫で下ろした。
正直にいうと、リアがこうして普通に話してくれるのは嬉しかった。
三歳になった魔法使いは強制的に古城学園に入学させられるのだが、特殊で急激な環境の変化で部屋に閉じこもってしまう子供も多かった。家族から離れ、魔法都市に強制的に連れて来られればそれは当然といえば当然だろう。
転入生であれば尚更そういう傾向が強く、しばらくは一言も口をきかないという子がほとんどなのだが、リアはそんなことはなく普通に話してくれている。
(我がままを言っちゃうと、もう少し笑ってほしいなって思うんだけど……。でも、それは少しずつでいいよね)
転入一日目でそこまで望むのはこちらの我がままだ、そう思って水沙は最初の授業である国語の教科書を取り出しリアに向かって話しかけた。
「リアちゃんの通っていた学校ではどこまで進んでた? 教科書は一緒だと思うんだけど、ここの学園は少し特殊だから」
「…………」
水沙の言葉にリアは一瞬だけ何かを迷ったようだったが、教科書をぱらぱらとめくりながらぽつりと呟いて答えた。
「分からない……けど、教科書の内容にはついていけると思う」
「? どうして?」
教科書の進み具合に関してと、内容についていけることに関しての二つの疑問を一言で表して水沙とは反対方向から鈴が声を上げた。
だが、誰もが疑問に思う事を問われて――リアはまた何かを迷うように俯いた。その表情を見て、水沙は慌てて口を開いた。




