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「…………」
水沙と鈴と一緒にいるのに、何故か不安になっている自分いる。そして、その理由もすぐに気付き、リアは自分で驚いてしまった。
まだ会って一日も経っていないのに、紅耶と一緒にいることに安心を感じている自分がいる。
(安心――)
父があれだけ嫌っていた魔法都市に来て、安心という気持ちを感じている。それはつまり……。
「…………」
もう見えなくなった紅耶のほうにもう一度視線を向けた。
朝の光景が甦る。母の雰囲気を感じた、あの笑顔、あの言葉――
(……でも、ママは)
心の中で首を振る。母と似ているからこそ、自分はとけこんではいけない。
……あのルームメイトの女の人は、父のことを知っているのだろうか。知っていて優しくしてくれているのだろうか。
同情して……
(――そのほうがいい)
同情のほうがいい。哀れみのほうがいい。
同情は何もしてくれない。哀れみはなにも生まない。そのほうがいい。そのほうが、辛くないから。
「リアちゃん?」
水沙に声をかけられ、リアは思考を止めた。
「どうかした?」
足を止めて続けて問われると、リアは心の想いと一緒に首を横に振る。そんなことを考えること事態がおかしかった。
「……ううん、なんでもない」
なんでもない。そう、なんでもない。
「そう?」
実際はなんでもないようには見えなかったのだが、水沙はそれ以上は追求せずに手を握ったまま明るく言った。
「じゃあ、教室にいこう。もう授業始まっちゃうよ」
「二人ともなにしてるの~! ほら、はやくはやく!」
鈴が声をあげて戻ってくると、もう片方のリアの手を握り引っ張りだした。
「うん」
頷いて、引っ張られるままリアはまた走り出した。
なんでもない、なにもない……そう心に念じながら。
そう思いながらも、水沙と鈴の手の温もりを感じながら。




