表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
研修生と化物の女王  作者: shio
第二章 転入生、蒼瀬リア
38/104


「…………」


 水沙と鈴と一緒にいるのに、何故か不安になっている自分いる。そして、その理由もすぐに気付き、リアは自分で驚いてしまった。

 まだ会って一日も経っていないのに、紅耶と一緒にいることに安心を感じている自分がいる。


(安心――)


 父があれだけ嫌っていた魔法都市に来て、安心という気持ちを感じている。それはつまり……。


「…………」


 もう見えなくなった紅耶のほうにもう一度視線を向けた。

 朝の光景が甦る。母の雰囲気を感じた、あの笑顔、あの言葉――


(……でも、ママは)


 心の中で首を振る。母と似ているからこそ、自分はとけこんではいけない。

 ……あのルームメイトの女の人は、父のことを知っているのだろうか。知っていて優しくしてくれているのだろうか。

 同情して……


(――そのほうがいい)


 同情のほうがいい。哀れみのほうがいい。

 同情は何もしてくれない。哀れみはなにも生まない。そのほうがいい。そのほうが、辛くないから。


「リアちゃん?」


 水沙に声をかけられ、リアは思考を止めた。


「どうかした?」


 足を止めて続けて問われると、リアは心の想いと一緒に首を横に振る。そんなことを考えること事態がおかしかった。


「……ううん、なんでもない」


 なんでもない。そう、なんでもない。


「そう?」


 実際はなんでもないようには見えなかったのだが、水沙はそれ以上は追求せずに手を握ったまま明るく言った。


「じゃあ、教室にいこう。もう授業始まっちゃうよ」

「二人ともなにしてるの~! ほら、はやくはやく!」


 鈴が声をあげて戻ってくると、もう片方のリアの手を握り引っ張りだした。


「うん」


 頷いて、引っ張られるままリアはまた走り出した。

 なんでもない、なにもない……そう心に念じながら。

 そう思いながらも、水沙と鈴の手の温もりを感じながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ